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キッチンカーでお酒の販売はできる?
日々、キッチンカーの開業を希望されるみなさまから開業のための相談をいただいておりますが、その中でも特によくいただく質問に「キッチンカーでアルコールの販売はできますか?」というものがあります。
その答えは「キッチンカーでアルコールを販売できる提供の仕方と、販売できない提供の仕方がある」です。また「キッチンカーではお酒を販売できない県がある」ということも注意が必要です。
この記事ではそれらの違いを詳しく解説していきます。
異なるお酒の販売方法
お酒の販売シーンをイメージしてみてください。
私たちが一般の消費者として普段、お酒を手に入れて飲むには、大きく2つの方法があることに気づくはずです。
一つは、コンビニやスーパー、酒屋さんでお酒を買う方法と、もう一つは、居酒屋やレストランで注文して飲むという方法です。自販機で買う方法もありますが、これも酒屋さんで購入するのと同じです。飲食店ではそのまま飲める状態で提供され、酒屋さんではお酒が缶ビールやワインボトルのように製品のまま販売されています。
お酒の販売方法により異なる管轄省庁
じつは、同じお酒でもこの2つは提供方法の違いにより、管轄の省庁と必要な許可や免許が異なります。
アルコールを飲める状態で提供する飲食店の管轄と許可は「出店の地域を管轄する保健所」による「飲食店営業許可」の取得が必要になります。
製品としての酒類の販売は「国税庁」による「酒類販売業免許」の取得が必要になります。
キッチンカーでアルコールを販売できる5つの条件

①飲食店営業許可
キッチンカーは、その営業をするために保健所から「飲食店営業」か「菓子製造業」か「喫茶店営業」の営業許可を取得します。このうち、キッチンカーでアルコールを販売したいときは必ず「飲食店営業」の営業許可が必要になります。
②飲める状態で販売
飲食店営業許可で販売するアルコールと、酒類販売業で販売するお酒はどちらも元は酒造メーカーが作った同じ製品ですが、どこからが飲食店営業許可でどこからが酒類販売業なのか、保健所と国税庁に「国税庁はこう言ってますが……」「保健所はこう言ってますが……」「飲める状態って具体的に何ですか?」と交互に確認した結果、違いは例えば缶ビールやワインボトルであれば「グラスに注いだかどうかではなく、缶や瓶を開栓しているかどうかで決まる」という説明になりました。
つまり、「キッチンカーは保健所で飲食店営業許可を取得することで、開栓した状態のアルコールを販売してよい」ということになります。
③大分県以外
現在、ほとんどの都道府県でキッチンカーは飲食店営業許可を取得することで、開栓したアルコールを販売することができますが、47都道府県中、大分県のみ開栓状態であってもアルコールの販売が認められておらず注意が必要です。2019年まで神奈川県もキッチンカーでのアルコール販売が制限されていましたが現在は提供可能になりました。
④品目数制限
キッチンカーの設備に影響を受けるのですが、軽自動車のキッチンカーであったり、給水タンクの容量が小さい場合、キッチンカーそのものの提供許可品目数が制限されることがあり、飲食店営業許可で1品目しか認められていない場合、たとえば「焼きそば+ビール」で提供したいと思っても「焼きそば」だけしか認められないため、結果的にアルコール提供ができない、ということになります。利益率を上げるために「私もアルコール提供もしたい!」という方は、ぜひ全国の保健所で複数品目提供が可能なフードトラックカンパニーのキッチンカーをご検討ください。
⑤出店場所の条件
キッチンカーは、出店するため出店場所を管理する人の許可を得て営業します。この出店場所によりメニューの制限がある場合があります。たとえばフェスなどのイベントへの出店では、アルコールは売上の花形商品のため、販売制限を受けることがあります。
キッチンカーで酒類の販売はできるか
飲食店営業許可を取得することで、キッチンカーでも開栓状態のアルコールを販売できることがわかりました。
ではキッチンカーで移動販売を目的として、国税庁の免許を取得したら未開栓の酒類の販売はできるのでしょうか?
答えは「できません」。
酒税法(https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=328AC0000000006#105)の第9条が、酒類販売業に関する条文に当たりまして、国税庁による法令解釈で次のように示されています。
16 酒類の移動販売の取扱い
一定の販売場を設けず、自己の住所等を根拠として酒類を携行し、又は運搬車、舟等に積載して随時随所において注文を受け、酒類を引き渡し、又は酒類の販売代金を受領する等の方法により酒類の小売を行ういわゆる酒類の移動販売に対する酒類小売業免許については、当分の間付与等しない。
引用 酒類の販売業免許(https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sake/2-06.htm)
つまり「自動車はお酒の販売場としては認めていないので酒類販売業免許は与えません」ということになります。
ここまでをご説明してキッチンカーでもアルコールが販売できるとわかると驚かれる方も多いのですが、アルコールを販売できないと思っていた理由を聞いてみると、この国税庁の法令解釈を人から聞いた、という方がほとんどです。
キッチンカーのアルコール販売 よくある質問

Q1:カップに注がなくてもよいの?
A1:カップに注がなくても販売の問題はありません。缶ビールであればプシュ!っと抜栓した状態であれば販売はできます。しかし抜栓した缶ビールの販売では消費者目線からも売価を高く設定しづらいため、カップに注いだ販売をされる方も多いようです。
Q2:カクテルやソーダ割りを作って販売できる?
A2:はい、カクテルやソーダ割りを作って販売することも可能です。ただし、カクテルに苺やグレープフルーツのような生フルーツやミントのような生の葉っぱを使ったものは販売できない都道府県がありますので事前に保健所に確認をおこなってください。
Q3:アルコール販売のときに氷は使えますか?
A3:はい、氷も使えます。ただし氷の使用については保健所のガイドラインで別のルールがありまして、キッチンカーの給水タンクの水を使って凍らせた氷は飲用には用いることができません。アルコール・ソフトドリンクを問わず、氷を使いたい場合は、製氷業者から仕入れた氷や、スーパーなどで売っている袋詰のロックアイスを用いて提供してください。
Q4:価格はいくらで販売してもかまわないのですか?
A4:はい、いくらで販売しても大丈夫です。メインのフードとアルコールのセット販売で客単価を上げることをおすすめします。
Q5:おすすめのアルコールはありますか?
A5:基本的に、フードもドリンクも出店場所や時間帯に合ったものが売れる傾向にあります。ドリンクはコンビニや自販機と価格比較されてしまうこともあります。フードトラックカンパニーのおすすめのアルコールの一つに、クラフトビールがあります。
クラフトビールは商品に特別感や人気があるだけでなく、種類も豊富で、コンビニや自販機で売っていないため比較されにくい商品です。フードトラックカンパニーでキッチンカーをご購入いただいた方は、ビールメーカーのキリン様のクラフトビール用のビールサーバーを無償で借りることができます。初期費用を抑えてアルコールを販売したい方におすすめです。