皆さんこんにちは。
この度「はじめてのキッチンカー」に記事を書かせていただくことになった”ゆきち”と申します。
はじめてのキッチンカーさんは、僕も開業するときに物凄く参考にさせていただいたホームページなので、ここに記事を書けることをとても嬉しく思います。
今回のテーマは「キッチンカーは儲かるのか」です。
キッチンカーを始めようと思ったときに一番気になるテーマではないでしょうか?
これまでの自分の経験を思い返して、事実と本音で書いていきます。
キッチンカーの現状
キッチンカー業界のリアル
現在、コロナの影響で飲食業界全体が落ち込んでいます。
その中で屋外でも出店でき、3蜜を避けることができるキッチンカーを取り上げるメディアが増えているのはご存知でしょうか?
「キッチンカー発注増える」
「キッチンカーで生き残り目指す」
「都立公園でキッチンカーの営業許可」
などと、各新聞の報道ではキッチンカーが盛り上がっているように見えますね。
今この記事を見ている人の中にも、心機一転脱サラして新たにキッチンカーを始めようとしている人も多いのではないでしょうか?
しかし、自分が最初に伝えたいことは、飲食業界というのは続けていくのが非常に難しい世界であるということです。
まずは、この表を見てください。
中小企業庁が発表している、業種別の開業率と廃業率です。
開業率は約8%で廃業率が約7%
つまり最も参入が簡単で、最も廃業に追い込まれやすい業界が飲食業界です。
その理由のひとつが、経費の大きさです。
原材料費、テナント費(キッチンカーでいうと出店料)、消耗品費や維持費など、何もしなくても出ていくお金が大きいので、飲食はビジネスとして難易度が高いと言われています。
飲食業界は参入は簡単ですが、生き残っていくのは難しい世界というのが数字で出ています。
キッチンカーの廃業率については、以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
» キッチンカーの廃業率は〇〇%!開業後の失敗の原因6選と失敗しない解決策5選はコレ!
筆者の自己紹介
そんなことを書いている自分も、大学卒業後8年間の公務員を経て、クレープ屋を開業した元キッチンカー業者です。
コロナの影響もあり約8ヶ月で廃業するに至りましたが、飲食業界、キッチンカーの厳しさを十分に思い知ることができました。
現在はキッチンカーが150台以上登録する公式LINEを運営し、出店場所を紹介することで、キッチンカーに携わっています。
自分自身がキッチンカーを運営していた時も、150台のキッチンカーを管理している今も、たくさんのキッチンカーを見てきました。
その中には、長年人気を誇るキッチンカーもいますし、逆に撤退に追い込まれてしまったキッチンカーも知っています。
キッチンカーで大きな利益をあげる人は確かにいる
キッチンカーが厳しい世界にあるということは何となく想像できたと思いますが、僕は決して将来性がない仕事だとは思いません。
冒頭の通り、屋外で開放的に出店できるので感染症対策には有効である事実や、集客にはキッチンカーを使いたいと思っているイベンターがたくさんいるのは間違いありません。将来も活躍する可能性は、大いにあります。
そして何よりキッチンカーは楽しい仕事です。
働き方も働く場所もすべて自由。
そして成果は自分だけの責任で出した結果となります。雇われるよりも「やりがい」という面はかなりあるのではないでしょうか?
廃業率が高いキッチンカーでも、大きな収益を上げる人は実際に存在します。
「絶対に成功するキッチンカー」という答えはありませんが、大きな収益を上げるキッチンカーの傾向や共通点は見ることができます。
この記事では自分の経験から、儲かるキッチンカーの傾向や共通点を紹介します。
その上で、キッチンカー開業時にとるべき行動をお伝えします。
キッチンカーをはじめる際に、重要なことのひとつが情報収集です。
この記事は、ひとつの「情報」として絶対に開業前に見て欲しい内容です。
そして、大いに活用してください。
キッチンカーで大きな収益をあげる人に見られる傾向
キッチンカーを見てきた自分の経験から「儲かるキッチンカー」の傾向を1つずつ紹介していきます。全部で6項目です。
料理がおいしい
(掲載キッチンカー:ロイスワンさん/たこ焼きが主力商材)
キッチンカーをやる上で絶対に押さえなければいけないポイントが料理です。
まあ当然といえば当然ですよね。
料理が美味しくないことには、これから紹介するポイントはすべて無駄になります。
飲食店の基本ですが、美味しいメニューを持っていることはキッチンカーの最低条件です。
しかし、それほどこの項目については難易度は高くないと思います。
美味しくないキッチンカーなんて、ほとんど遭遇したことがないので。
そもそも最近はもう「まずいハンバーガー店」なんてほとんど無いですよね。「まずいクレープ屋」もほとんど無いです。
現代は「美味しいハンバーガー 作り方」と調べれば、誰でも美味しいハンバーガーの情報を入手できる時代になりました。
昔のように「秘伝のタレ」みたいなのは、情報が共有され確実に減っています。
みんながちょっと本気を出せば、美味しい料理なんてのは作れる時代なんです。
ただキッチンカーの最大の特徴は「移動」できること。
つまり言い換えると、”砂漠でも水を売ることができる”のです。
普段は食べることができない場所でも、キッチンカーなら美味しいメニューを提供できてしまいます。
非日常的な場所で食べる料理は、格別美味しく感じるものですよね。
今まで食べたことないレベルの料理までは必要ないです。(もちろん美味しいに越したことはないが)
安定的に美味しいものを、特別な場所で作れるということが儲かるキッチンカーの最初の条件です。
現場の広告力がすごい
(掲載キッチンカー:Gatherさん/まぜそばやグリルチキンが主力商材)
これはつまりメニュー、看板の広告力です。
儲かるキッチンカーは、思わず目を引く看板を掲げている傾向が強いです。
特にイベントなどは、複数台のキッチンカーが並んでいて、お客さんにとっては初めて出会うキッチンカーばかりですよね。
この状況はもう客の奪い合いです。
人は第一印象、3秒くらいで食べたいかどうかを決めるようです。
中でも視覚からの情報は大きく、第一印象がいいと有利なのは間違いないでしょう。
儲かるキッチンカーは特に看板に力を入れていて、常に「どうすれば第一印象で買ってもらえるのか」ということを考えているように見えます。
看板も強風だと安全を確保できなくなってしまうので、強風用の看板を用意していたりと、環境に応じて最適なパターンを持っている方もいます。
初期投資として看板力に費用をかけているキッチンカーには、長蛇の列を作っている光景をよく見ます。
たくさん売れる設備やシステムを備えている
キッチンカーが最も収益をあげられるのが、人がとにかくたくさん集まるイベントです。
コロナの状況下で現状は、イベント数が少なくなってきてますが、徐々に再開傾向にはあるようです。
大きいところでいうと音楽フェス、国際的なスポーツイベント、大型展示場などでの出店は、1日で何百万円が売れる世界です。
まず、ここに出店することができるキッチンカーは、儲かる可能性が高くなります。
大型イベントに出店するためには、食材をたくさん積み込めるキッチンカーであり、内部は複数人で流れるように作業できる場所でないと出店は難しいでしょう。回転率というのが非常に大事です。
儲かるキッチンカーは、たくさんの量を素早くさばける仕組みを持っている傾向が強いです。
人がたくさん集まるイベントほど、行列を作らせるわけにはいきません。
待ち時間というのは来場者の不満を生み、結果的にイベントの満足度低下にも繋がりかねません。
行列をさばけないキッチンカーは、イベント主催者の印象が悪くなり、次回以降イベントに呼ばれなくなったということも耳にします。
儲かるキッチンカーを目指すなら、たくさんの食材を積み込め、効率的な作業場を作る必要があるでしょう。
買取形式のイベントを定期的に持っている
キッチンカーには、大きく2種類の出店方法があります。
出店料を払って通常の出店をする方法と、集客のためにあらかじめ商品を買い取ってもらい、来場者に無料もしくは格安で商品を提供する方法です。
住宅展示場や携帯ショップ、パチンコ店などが後者のイベント方式をよく採用し、1回あたり3万円~5万円くらいの買い取り価格が相場です。
キッチンカーにしてみると、この買い取り形式はとても助かります。
理由は、1日の売上がすでに担保されており、必要個数も決まっているので在庫が残りにくく、出店が短時間で終わることもあるので、肉体的にも精神的にも非常にありがたかったです。
儲かるキッチンカーは、この「買い取りイベント」を定期的に確保している傾向が強いです。
出店場所を探している
儲かるキッチンカーを目指すなら、条件のいい出店場所を確保するのは当然必要なことです。
例え、一つ条件のいい場所を見つけたとしても、毎日そこに出店できる確証は無いし、出店場所としてそのうち消えてしまうかもしれない。
または、季節によって、売れない場所になってしまうなどのリスクを持っています。
だから常にいい出店場所を複数持っておかないといけないのです。
儲かるキッチンカーは、条件のいい出店場所を曜日で押さえつつ、さらに新しい場所も開拓している傾向があります。
常に「今よりいい場所」という向上心を持つことが、儲かるキッチンカーの条件かもしれないですね。
人柄が明るい
科学的な根拠は分からないですが、儲かるキッチンカーの人で無愛想な人というのは、あまりいない印象があります。
接客商売でもあるので、人と積極的にコミュニケーションが取れるというのは必要なことかもしれないですね。
自分もたくさんのキッチンカーの人に会ってきました。
内面の性格まではさすがに分からないですが、少なくとも初対面では明るく接してくれる人が多かったです。
キッチンカー開業時にとるべき行動
以上の「儲かるキッチンカーの傾向」を踏まえて、キッチンカー開業時に”何をするべきか”をお伝えします。
提供メニューの考案
もう一度言いますが、キッチンカーで大事なことは砂漠で水を売ることです。
誰にも作れない最高のメニューは、絶対条件ではありません。
しっかりメニューの研究をして、いつでもおいしく提供できる安定の商品を作りましょう。
この後にも紹介しますが、提供メニューは回転率が非常に大事です。こだわるほど提供スピードが落ちるということも、知っておきましょう。
目立つ看板の準備
キッチンカーが掲げている大型のメニューは「タペストリー」や「横断幕」と言われています。目立つ看板を印刷して配達してくれる業者はたくさんいます。
「タペストリー 発注」などと検索すれば、理想の大型メニューが注文できるでしょう。
看板のデザインは、すでに活躍しているキッチンカーが参考になります。
インスタグラムを使って目立つキッチンカーからアイデアを盗みましょう。
回転率を上げる工夫
回転率を上げる方法は2つです。
②提供メニューを素早く提供できるように工夫する
まず、キッチンカーを製作する段階から、作業スペースを考えなくてはいけません。
複数人で作業する場合はその分の広さが必要ですし、材料を置いておく場所のスペースも必要です。
実際にどのような流れで商品を提供するのかをイメージした上で、キッチンカーの作業場を設計する必要があります。
次に先ほども紹介した通り、料理もただこだわればいいということではないです。
手間をかける分だけ回転率は落ちるものです。
メニューの提供スピードと、クオリティとを天秤にかけた商品開発が大事です。
地道な営業
大きな収益が見込めるイベントや、買い取りイベントを確保できるかは”地道な営業”にかかっています。ボーッとして仕事が入ってくることは絶対にないです。
常に目を光らせ、いい場所を見つけ、積極的に電話をして、自分を宣伝して、ようやく掴むことができる世界です。
キッチンカーの出店も大事なのですが、それ以上に新しい場所を探し続けることが大事です。キッチンカーで成功したいなら、たくさんのことを並行して進める必要があります。
①出店してみたい場所リストを作る(行けそうもない場所も一応リストに入れる)
②片っ端から電話する(90%以上断られます)
③話を聞いてくれそうな場所とアポを取る
④キッチンカーの魅力が伝わる資料を作る
⑤会って資料と言葉で出店を許可してもらう
出店場所ひとつを押さえるのも、非常に時間と労力がかかります。
しかし、儲かるキッチンカーを目指すなら、この道は避けられないのかなと思います。
またキッチンカー同士で繋がりを作って、イベントに誘ってもらうという光景もよく見ます。
出店場所のオーナーだけでなく、キッチンカー同士の繋がりも大事にしましょう。
積極的に出店場所を広げて、大型フェスや買い取りイベントを確保すると、収益は大きくなりやすいです。
いい条件の出店場所に絞る
出店場所を押さえるのはもちろん重要なのですが、場所ごとの条件も気にしないといけません。
例え人がたくさん来る場所であろうと、キッチンカーにとって不利な条件だと思うように収益が伸びないこともあります。
特に注意するべきことはやはり出店料です。
来場者数が多い場所は当然売上も伸びやすいですが、出店料もその分高くなる傾向があります。
最終的に手元に残る利益が大きい場所に絞っていきましょう。
また、雨天による出店中止ができる場所や、売上金を一度預かられない出店場所もキッチンカーによっては好条件です。
自分のキッチンカーと相性のいい場所を探してみましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
以上が儲かるキッチンカーに見られる傾向と、開業時にできることの紹介でした。
もう一度言いますが、今までお伝えしたのことを押さえても確実に売れるキッチンカーとなることは保証できません。
あくまでも自分が今まで見てきたキッチンカーの中で、上手くやっているなと感じたキッチンカーの傾向です。
キッチンカーで成功している人は確実にいます。
キッチンカーを始めようと思うなら、失敗していった人の共通点を見つけ、上手くいっている人の傾向をみましょう。事前の情報がとても大事です。
もう一度今回の内容をまとめます。
①料理が美味しい
②看板力がすごい
③回転率が高く、量もある
④買い取りイベントを確保している
⑤出店場所を積極的に探している
⑥人柄が明るい
①安定して美味しいメニューを研究する
②目立つ看板などを発注する
③回転率が高くなる設計をする
④出店場所をたくさん探す
⑤条件のいい出店場所に絞っていく
今回は「儲かるか」というテーマで記事を書きましたが、僕はもっとキッチンカーにしかできないこともあると思っています。
そのひとつが「災害派遣」です。
キッチンカーなら食材を積んで被災地へ行き、人々に希望と笑顔を届けられます。
僕自身が元消防士ということもあり、災害への対応としてのキッチンカーは非常に格好いいなと思います。
今後は新しいキッチンカーの活躍の場も広がるかもしれないですね。
これからキッチンカーを始めようと考えてる人には、やるからには稼いで欲しいし、この記事を読んでくれたからには応援したいと思います。
きっと厳しい道ではありますが、儲かるキッチンカーになることは不可能ではないです。先人たちの経験を糧に頑張ってください!!
大事なことは「事前の準備と情報」です。
それでは最後まで読んでいただきありがとうございました。
元移動販売のクレープ屋/現在はキッチンカーのサポート事業を展開