2021年6月に施行されたキッチンカー営業に関するの保健所の許可基準については、以下の記事にまとめましたのでご覧ください。
» 2021年6月に施行されたキッチンカーでの保健所の営業許可・食品衛生法の詳細と対策
皆さんが、キッチンカー(移動販売)を始めようとするときに解決すべき課題の一つが保健所での営業許可取得です。
私たちは、キッチンカーの製作と納車を行なっている関係で、日本中の保健所にキッチンカーの営業許可について問い合わせをしています。
その結果、地域ごとの違いが分かってきました。
保健所ごとに異なる許可基準(要件)のポイント!?
- チェックする項目が異なる
- 許可の条件がそもそも異なる
- 許可取得に必要なキッチンカーの設備が異なる
- 仕込み場所の定義が異なる
正直なところ、担当者が変わると条件のニュアンスが変わる、ということも少なくありません。
その辺りを踏まえて、キッチンカーで保健所の許可をとるために、必要な情報をお伝えします!
特に、シンクとタンクは設置に時間もお金も必要なので、営業許可取得に必要なそれぞれの大きさ・数量については、キッチンカーを製作する前に出店地域を管轄する保健所へヒアリングすることをおすすめします。
目次
自治体ごとの保健所でキッチンカーの許可取得が必要
キッチンカーの営業許可は、実際に店舗を出店する地域を管轄する保健所で取得します。
保健所は自治体ごとに設置されています。都道府県に一つずつではなく、自治体に一つずつというのがポイントです。
固定店舗で飲食店を開業する場合は、最寄りの保健所に飲食店営業許可を申請します。
キッチンカー(移動販売)も同様に、出店する地域を管轄する保健所に飲食店営業許可を申請して、その地域の保健所が定める要件を満たすキッチンカーを製作することが必要です。
前もってどの保健所の管轄地域で、キッチンカー(移動販売)を営業するかを決めておく必要があります。
また、日本全国でキッチンカー(移動販売)ができるように、日本の全地域の保健所で営業許可を取得することは現実的ではありません。
理由は以下の通りです。
- 全国にある数十カ所の保健所の全てに出向く必要がある
- 保健所の検査基準は地域ごとに異なるので、地域ごとにキッチンカーを改造する必要がある
- 一カ所の許可取得で1万円以上必要なので、日本全国の営業許可を取得する場合には数十万円の費用が必要になる
まれに、キッチンカーを営業しながら、日本全国を旅したいと考えている人がいますが、そのような人にこの事実をお伝えするのが毎回心苦しいです。
事前にどの地域でキッチンカー(移動販売)の運営をするか決めてから、その地域を管轄する保健所の合格基準に合わせて、キッチンカー(移動販売車)の製作をスタートしましょう。
キッチンカーの製作は「保健所の検査に合格するように作る」ことが大前提になります。
私たちがキッチンカー製作をお手伝いさせていただいているお客様は、「ご自分の活動拠点地域+東京など大きなイベントがある地域」の2箇所で保健所の営業許可を取得するケースが多いです。
東京・埼玉・神奈川・千葉の全てで開業する場合の費用
東京都・埼玉県・神奈川県・千葉県では、都内・県内のどこの保健所で営業許可を取得しても都内一円または県内一円で営業することが可能です。
許可申請費用は保健所によって若干の差がありますが、業種1件あたり1万4千~1万8千円ほどです。東京都・埼玉県・神奈川県・千葉県の全地域を対象とする飲食店営業許可を取得するためには、5万6千~7万2千円ほどの費用が必要になります。さらに最初にキッチンカーの要件を満たすだけではなく5年毎の更新が必要になる点にも注意しましょう。
その他の43道府県の営業許可申請の状況については、以下の記事で詳しく解説しています。
» 【2022年10月更新】食品衛生法に伴うキッチンカーの営業許可エリアが変更になった都道府県一覧
保健所への営業許可申請は代行業者の利用がおすすめ
キッチンカーの営業許可申請は、専門家のサポートを受けることをおすすめしています!申請にかかる時間が驚くほど違います。
一ヶ所目はサポートをしてもらい、二ヶ所目からご自分で許可申請するのが最適な手段だと考えています。
「はじめてのキッチンカー」でおすすめしているのは、保健所への許可申請に強いキッチンカー(移動販売車)の製作会社に、保健所への許可申請も依頼する方法です。
保健所の営業許可申請をサポートするうちに分かったことは、保健所は食中毒が起きる可能性を低くしたいので、飲食業やキッチンカーの素人にはより厳しく審査し、その結果、保健所の営業許可がなかなか通らない、という事実です。
その点、キッチンカーを開業する方に保健所の代わりに、
食中毒が発生しない営業方針やキッチンカー設備の作り方を説明する人がいると、
保健所としても営業許可を出しやすくなるというニュアンスがあります。
自分自身が保健所の担当者だとして、全くの素人が0から質問をしてくる場合は、慎重に対応・情報提供しないといけないと考えるのは普通でしょう。
それに対して、経験者が許可申請にきた場合は、保健所の担当者も最低限のチェックで済むのは、どなたにもイメージがしやすいことです。
「はじめてのキッチンカー」では、行政書士と業務提携し保健所の許可申請を代行するサービスを提供していますので、お気軽にご連絡ください。
» キッチンカー(移動販売)の営業許可取得の申請代行サービス
「はじめてのキッチンカー」にキッチンカー(移動販売車)の製作をご依頼いただいた方は、保健所の営業許可申請代行(サポート)を無料でご利用いただけます。キッチンカー(移動販売車)の製作をお考えの方は、ぜひご利用ください。
キッチンカー営業地域の絞り込みがポイント!
やみくもに多くの地域の営業許可を取得するのではなく、どこか一箇所(もしくは数箇所)の開業許可の取得をまずは検討しましょう。
そのためには、「キッチンカー(移動販売車)をどこに出店するか」というを決めなければなりません。キッチンカーの代表的な出店場所と探し方については、以下の記事で詳しく解説しています。
» キッチンカーの出店場所おすすめ11選!出店料と3種類の探し方を解説
保健所に行く前に知っておくべき要点
自動車による移動販売は大きく2種類に分かれます。
- 販売業・・・自動車に施設を設け移動して食品を販売する形態(移動コンビニや移動スーパーなどが該当)
- 調理営業・・・自動車に施設を設け、車内で調理・加工および販売する形態(キッチンカーが該当)
皆さんがキッチンカーで「何の商材を提供するか?」によって、設備基準や営業許可の種類が変わってきますのでご注意下さい。
移動パン屋・移動カフェを開業したいという方からの質問が相次いだので、それぞれについて詳しくまとめました。
» キッチンカー・移動販売パン屋の開業に必要な4種類の資格・許可・届出を徹底解説!
» 移動販売(キッチンカー)カフェ経営と店舗型カフェ経営の4つの違いを解説!
キッチンカーの仕込み場所の概念
キッチンカーの営業許可取得について、もうひとつの重要なポイントが、「仕込み場所」という概念です。
キッチンカーの車内でどこまでの仕込み調理が可能かは、各地域の保健所によって基準が異なるので、自分が出店予定の地域を管轄する保健所への確認が欠かせません。メニューによっては、ほとんどの工程がキッチンカーでは調理できない可能性もあります。
仕込場所が準備できない場合には、「仕込み行為がないメニューを提供する」ことを検討しましょう。具体的には、仕込み済の食材(レトルト・冷凍食材・カット野菜など)を使用すれば仕込み行為が不要になるので、仕込み場所の準備も不要です。
自前で仕込み場所を準備しなくても、「キッチンシェアサービスを利用する」「知人の飲食店の厨房を借りる」「キッチンカー仲間同士で共同の厨房を使う」などの方法で仕込み場所を確保することも可能です。キッチンカーの仕込み場所については、以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
» キッチンカーの仕込み場所の準備を徹底解説!無いときの対応策も紹介
キッチンカー営業時の電力準備
最近の傾向として、電力の準備にも注意が必要です。例えば、東京都の場合は設備基準の項目の中に「営業のために必要な電力を供給する電源装置を営業車の食品衛生上支障ない箇所に設けること」という文言があります。
要はエンジン発電機は外に出しちゃダメという解釈らしく、車体の中に組み込むか、バッテリーからDC12V→AC100V変換してねという意図のようです。
キッチンカーの営業許可申請書類一覧
営業許可申請時には何種類かの書類を提出する必要があります。保健所によって書式やフォーマットに若干の違いがあり、提出書類の種類も保健所によって異なる場合があります。提出書類の一覧は以下の通りです。
- 営業許可申請書
- 営業設備の大要・配置図
- 仕込み場所の営業許可証の写し
- 営業の大要
- 食品衛生責任者の資格を有する証明するもの(食品衛生責任者手帳)
- 車検証写し
- 仕込み場所の水質検査証明書
- 検便検査成績書
- 申請手数料
キッチンカー営業許可取得までの流れ
キッチンカーの営業許可を取得するために、保健所でやるべき手続きの流れは以下の通りです。
- 保健所に事前の相談(商材・出店場所・キッチンカーの設計図を元に担当者と打ち合わせ)
- 申請書類に記入(記入方法がわからない場合は保健所の担当者に確認)して申請書提出
- キッチンカー入手後、施設検査の日程調整
- キッチンカーを保健所に持ち込み施設検査の実施(指摘事項を受けた場合には改善して後日再検査を実施)
- 許可証の交付
事前の相談の時点で担当者とよく話し合うことが重要です。保健所のホームページでダウンロードできる資料もあるので、あらかじめ入手して調べてみることをおすすめします。
考えすぎて手足が止まってしまうのは良くありませんが、この辺りは丸1日使って保健所との打合せ準備をすることは、大切な仕事だと思います。
まとめ
保健所でキッチンカーの営業許可を取得する際に特に気を付けたいポイント(営業許可を取得すべき保健所、開業までの流れ、仕込み場所の準備など)についてお伝えしました。
キッチンカーの営業許可に向けた保健所とのやり取りや許可取得条件・要件などを含め、キッチンカーの開業について学びたい人には株式会社フードトラックカンパニーが開催する「キッチンカー開業セミナー」がおすすめです。
東京・大阪・名古屋・福岡をはじめとする、地方都市を含めた全国各地で随時開催しているので、どなたでも参加可能です。
こんにちは。フードトラックカンパニーの代表の浅葉です。
今回は、保健所で取得するキッチンカーの営業許可について説明していきます。