
目次
どこでも買えるパン。だからこそ、移動販売ならではの「焼きたて」で魅力アップ
30年ほど前に始まったパンの移動販売。
当初は、ベーカリーで製造のパンを運んで売るという形態でしたが、現在はキッチンカー方式に進化しました。
ここ最近は、多種多様なパン屋さんが増え、パンだけのイベントが開催されほど注目を集めています。
「パン屋さんを移動販売(キッチンカー)で開業してみたいな」
「出来たら色んな場所で「焼きたて」のパンを提供したい!」
と思られる方に移動販売(キッチンカー)でパン屋さんを開業する方法をご紹介いたします。
キッチンカー(移動販売)でパン屋をする方法は3パターン

パン屋さんをする方法は、3パターンあります。
⚫自分で生地から作って販売
⚫委託製造したパンを販売
⚫お店で販売しているパンを移動で販売
自分で生地から作るところから関わりたいのか、それともパンの販売をしたいのか一度確認しておきましょう。
キッチンカーでパン屋さんをするメリット・デメリットは?

キッチンカーでパン屋さんをするメリットとデメリットを確認してみましょう。
キッチンカーでパン屋さんをするメリット

●初期費用が少なく済む。
キッチンカーだと、家賃や土地代などがかからないため、初期費用が少なく済みます。
●人を雇わなくてもよい。
キッチンカーですので、1人で生地製作~販売まで行うことが可能です。
●自分のペースで出来る。
週末だけ、週1のみの出店から毎日出店まで、自分のペースに合わせて営業をすることが可能です。
●自分のこだわりや価値観を出しやすい。
こんなパンを販売してみたい!自分のこれが得意だから生かして販売したいなど、自分のこだわりを展開することも可能です。
パン屋さんをするデメリット

●ブームに乗るだけでは売れない
このパンがが流行っているからそのパンを販売しよう!と1品だけでの販売で、流行りに合わせた場合、競合も多く、お客様も絞られてしまいます。
また、流行りが終わってしまう可能性もありますので、長期的に売上をあげることや営業することが難しくなってしまいます。
●準備や仕込みが大変。
食材の手配・生地の準備など、販売する時間以外にも作業が発生します。
●天気に左右される。
野外やイベントで出店を行う場合、晴れている日と雨の日では、お客さんの数が変わってきます。
また、暑い時期だと、冷たいパンや肉肉したパンは売れるけど、普段売れているパンが売れないなど、季節によって売れる種類も変わってきます。
天気や気温を加味した品揃えを考える必要があります。
キッチンカーでパン屋さんを開業する場合に必要な資格は?

キッチンカーでパン屋さんをする場合に必要な資格を確認してみましょう。
食品衛生責任者の取得
食品衛生責任者とは
飲食店や食品に関わるお店ごとに、食品衛生協会が実施している養成講習会の受講(計6時間)した食品衛生責任者を必ず1人配置することをが義務つけられています。
飲食を扱う出店の場合、必ず必要な資格でどこの県でも、取得が可能です。
ただし、1~2か月前には定員が満席になるところも多くあります。
取得の際、早めに予定を立てておきましょう。
修了証を取得後、有効期限はありませんが、地域によって更新が必要な場合がありますので、お気をつけください。
食品衛生責任者の取得が必要ない人
栄養士・調理師などの資格をお持ちの場合、食品衛生責任者の取得は免除されます。
保健所で営業するための許可を取ろう
キッチンカーでパン屋さんを開業するには、3パターンの許可方法があります。
地域によって、どのパターンになるか異なります。
開業される地区の保健所で確認の上、営業許可の取得をしましょう。
⚫菓子製造業の許可が必要なパターン
自分でパンを作って販売する場合に必要な許可となります。
例えば、クロワッサン、食パン、アンパン、カレーパンなどのパンを作ってキッチンカーで販売する場合がこちらの許可になります。
⚫飲食店営業許可が必要なパターン
サンドイッチなど惣菜パンを販売するときに必要な許可となります。
調理をして詰める行為が、お弁当に入れると判断されるため、菓子製造業とは別に必要な資格となります。
⚫菓子製造業と飲食店営業の両方の許可が必要なパターン
菓子製造業と飲食店営業の両方の許可が必要な場合があります。
移動販売の営業許可は保健所が決めますが、保健所の判断は都道府県によって異なります。
たとえば、東京県は飲食店許可のみ、神奈川県では、両方の許可が必要となります。
以下の公式サイトで確認を行いましょう。

全国保健所長会の公式サイトはこちらから
許可なしで販売した場合どうなるの?
許可なしで販売した場合、食品衛生法違反となります。
資格なしで販売できるのは、ジュースなどの飲料を開封せずにそのまま販売する時のみです。
また、似た資格で、喫茶店営業許可があります。
カップにジュースを注ぐ場合や、コーヒーを販売をするなど「食べ物をお客様に提供しない」場合に使える資格となります。
PL保険も入っておこう
PL保険(生産物賠償責任保険)
作ったモノや仕事の結果に欠陥があったことによって、お客様などに損害を与えてしまった場合の補償責任をカバーしてくれる保険です。
キッチンカーでパン屋さんをした場合、提供した食べ物に細菌が繁殖していて、お客様が食中毒になる可能性があります。
十分に気をつけて対策を行っていても、お客様が持って帰って、時間を空けて食べる可能性がありますので、完璧に防ぐことは難しくなります。
万が一のことを考えて、入っておくことをおすすめします。
パン屋さんをするためのキッチンカーを決める

では、実際キッチンカーを手に入れるにはどのような流れになるのか簡単に確認してみましょう。
車と同じように新車又は中古で購入する・レンタルする方法があります。
新車の場合、軽トラックや普通1.5tトラックなどを改造出来る車屋さんまたは、キッチンカー製作会社へ依頼する必要があります。
改造した場合、陸運局へ改造申請を出す必要があります。
改造申請まで対応してくれる所へ製作の依頼が出来ると自分で行う手続きが減り、開業への負担が少なくなります。
また、製作の際、保健所の許可を取得するために必要な注意点もあります。
そちらも考慮して、製作していただける会社に依頼されるといいかもしません。
購入をするには「ちょっと・・・」と思われる方は、レンタルも視野にいれてみてはいかがでしょうか。
購入する際のポイント
購入する場合は、必ず保健所で必要な条件を確認して、条件を満たしているものを選ぶようにされることをおすすめいたします。
パン屋さんをするためにおすすめなキッチンカーは?
キッチンカーと言っても色々な種類が存在します。
キッチンカーの種類
軽バン・軽トラック・軽ワンボックス
ワンボックスバン・ライトエース・タウンエース
クイックデリバリーエース・クイックデリバリーロング など
キッチンカーでパン屋さんをする場合、ワーゲンバスなどの中型タイプがよいでしょう。
なぜなら、焼きたてのパンを最初から自分で作る場合、生地成型~発酵~焼き上げをスムーズにこなすためには、ある程度のスペースのゆとりが必要です。
スムーズに作業を行えることで、キッチンカーならではの魅力「焼きたて」のパンを提供することが可能となります。
その他、キッチンカーに必要な準備は?
⚫保健所でチェックされる個所を把握して作成してもらう
キッチンカーを購入した後に保健所で営業許可の取得となります。
自分のイメージしたキッチンカーを作成してもらっても、実際保健所の許可がもらえない場合、また改造が必要となります。
二度手間とならないように、チェックされる個所を把握しておきましょう。
チェックされる個所の一例
・調理場と運転席はしっかりと区切られているか
・シンクの数は充分か
・石鹸を常備していて清潔を保てる状態か
・換気はしっかり考慮されているか
・棚の設置は移動販売をできるレベルか
・給水タンクは設置され容量は充分か
・排水も設置され容量は充分か
⚫車と同じように保険に入る
キッチンカーは、車と同じように保険が必要となります。
自動車保険(対人・対物賠償、搭乗者・車両保険)
キッチンカーを購入する場合は、入っておく必要がある保険です。
レンタルの場合は、レンタル会社が基本入っておりますので、どの保険でどのような保証かをしっかり確認しておきましょう。
ドライバーズ保険
レンタル会社からキッチンカーをレンタルする場合に必要な保険です。
レンタル中に起こってしまった事故を保証します。
心配な方は入っておくといいかもしれません。
その際、レンタル会社に保険の内容を聞き、同じ会社を検討するのが保険代を安くする秘訣となります。
また、レンタルの場合、保険に頼らずレンタル会社にキッチンカーを出店場所へ運んでもらうのも事故を防ぐための一つです。
パン屋さんを始めるために必要な装備を揃える

パン屋さんの業態はさまざまです。
ここでは、生地づくりからの一貫生産という前提で述べてみます。
必須な装備
●生地を発酵させる発酵機
●焼き上げに使うオーブン
発酵機は、移動店舗の場合、卓上タイプで充分です。
価格も3〜4万円と手頃なものを選びましょう。
また、オーブンは、家庭用として売られているものを使用する場合、毎回余熱が必要なため、次から次に焼くことができません。
ここはやはり、業務用のガスオーブンが必須です。
大型のものは高価な上に車載には不向きですから、これまた卓上タイプがおすすめ。
価格は20万円前後が相場となります。
通常のオーブンではなく、電子レンジとガスオーブンの機能を併せ持つガスコンベックタイプを使うお店もあります。
発酵機もガスオーブンも、中古品がたくさん出回っています。
購入前に一度、ヤフオクなどをチェックするとよいでしょう。
そのほか必要なものを以下にまとめてみました。
⚫正しく計量するためのはかり(キッチンスケール)
⚫生地温度を測る温度計
⚫生地成型に使う麺棒
⚫生地をこねるこね板
⚫生地を分けるスケッパー
⚫ステンレス製のボウルなどの道具類
これらは、楽天などのサイトで簡単に揃えられます。
メニューを決める
パン屋さんのメニューを決める際のポイントを確認してみましょう。
パン屋さんでおすすめなレシピは?
街中の店を構えているパン屋さんは、調理パン・菓子パンなどを合わせて数十〜数百もの種類のパンを扱っています。
移動店舗は、とても太刀打ちできません。
そのため違いを出すには、やはり「個性」がキーポイントです。
「焼きたて」をアピールするのはもちろん、揚げパン、ホテル食パンなど、お店の目玉商品を打ち出すとよいでしょう。
普通は店舗ですが、東京でも最も人気のあるパン屋さんの1つと言われる「ゴントランシェリエ(渋谷)」は、独特の「クロワッサン」がメイン商品です。
そういった個性的なお店は、よい参考になります。
また、出店をする地域のパンを販売している店舗で、どんなパンが良く売れているかをチェックして、出店する際の参考にするのもおすすめです。
メニューの価格の決め方のポイント
飲食店の場合、原価は販売価格の30%前後が一般的です。
例えば、500円の販売価格の場合、材料費は150円となります。
出店場所の確保方法をチェックしておこう

キッチンカーで開業した場合、継続的に売り上げを上げることを考えると、出店場所を探すことも大切です。
出店方法は、常に出店する「常時出店」かイベントの時のみ出店する「イベント出店」があります。
常時出店
常に同じ場所で出店すること。
例えば、ランチタイムのみ出店/スーパーマーケット/公園/ショッピングモール/商店街/神社/大学・病院・工場など
※常時出店の場合、毎日の場合と週1の場合と色々なパターンがあります。
イベント出店
単発や短期で出店すること。
例えば、大型音楽フェス/地域のお祭り/フリーマーケット/企業や個人のイベント/マルシェ/スポーツ観戦場など
どちらの場合も、管理者に連絡や依頼をすることが必要です。
契約する時に必ず確認をするようにしましょう。
出店場所を確保するためのコツ
キッチンカーで失敗する要因の1つに「積極的に出店場所を探さなかった」ことがあるそうです。
自分で、新規開拓を行うことがキッチンカーを続けていくことのカギとなります。
出店応募の企画書の作成や開拓企画書を作成して、ここはいいかも!と思った場合、どんどんアプローチをしていきましょう。
キッチンカー・パン店の先輩訪問:25種類の個性的メニューで人気の「BORDER CAFE」
目印は「焼きたてパン」と大きく書かれたのぼり。
埼玉県越谷市・春日部市を中心に住宅街でパンの移動販売を展開する「BORDER CAFE」さん。
7種類あるクロワッサンをメインに、ロールパン、デニッシュなど常時25種類のメニューを提供し、そのどれもが個性的です。
「BORDER CAFE」さんのように「このパン屋さんであればこれのパン」とイメージをつく展開をされることも大切です。
最後に
いかがでしたでしょうか。
少しでも、キッチンカーでパン屋さんを開業してみようと思われた読者の方のご参考になると幸いです。
キッチンカーのイベントやどんなキッチンカーがあるか見てみたいなとご興味をもたれましたら、以下にイベントの日も記載してますので、ご参考いただければと思います。
素敵なキッチンカーライフを!