「せっかく開業したキッチンカーをすぐにやめる人がいるらしいけど廃業率ってどれくらいなの?」
「固定店舗で飲食店をやっているけど、実際のところキッチンカーって大丈夫かな?」
「すごく楽しそうだけど、脱サラしてキッチンカーを始めても良いのだろうか?」
「キッチンカーに特有の開業後に失敗する原因ってあるの?」
こんな悩みを抱えていませんか?
その気持ちはすごく分かります。コロナ禍でキッチンカーが増えた印象があるけど、儲かるという声も儲からないという声も聞こえてくるので、実際のところどうなの?、と思いますよね。
フードトラックカンパニー社では5年間、キッチンカーの製作販売を行ってきました。購入後にキッチンカーを辞めた、または辞めたいから売却したい、との連絡があった件数は多く見ても全体の5%以下です。これはあくまで我々の把握している数字なので、もう少し一般的なデータをもとに、冒頭の疑問に対する答えを見ていきます。
この記事では、
- キッチンカー事業の廃業率について
- 開業したキッチンカーが失敗する6つの原因
- キッチンカー経営が上手くいかない人に共通する3つの特徴
- 成功に必要な5つの行動
について紹介します。
ぜひ最後までお読みください!
キッチンカー事業の廃業率について
キッチンカーそのものの廃業率に触れる前に、経済産業省の2022年版「小規模企業白書」を基にキッチンカーを取り巻く環境についてお伝えします。
白書によるとキッチンカーも含まれる「宿泊業、飲食サービス業」の開業率は17.0%(全業種平均:5.1%)、廃業率は5.6%(同:3.3%)です。開業率と廃業率のいずれも、全業種の中で最も大きな数値でした。このことから、開業するための敷居は低いが、継続することは難しい入れ替わりが盛んな業種といえます。
また、2006年版の「小規模企業白書」によると開業後の個人事業主の廃業率は、
- 1年後:37.7%
- 3年後:62.4%
- 10年後:88.4%
となっています。個人事業主として事業を続けることの難しさがこの数値からうかがえます。これら2つの数値から、キッチンカーに限らず飲食業の経営は決して簡単ではないことがわかり、しっかりとした準備や、注意点を踏まえた運営が必要だということがわかります。
いよいよ、キッチンカー事業の廃業率ですが、ある調査によると、開業後1年以内に30%のキッチンカーが廃業するそうです。しかし、フードトラックカンパニー社がキッチンカーを販売した顧客に限ると、廃業の連絡があった件数は全体の5%以下です。
これらを踏まえるとキッチンカー事業の廃業率は先ほど紹介した「小規模企業白書」の中の「宿泊業、飲食サービス業」の廃業率である5.6%程度であると考えられます。
キッチンカーが廃業する原因6選
せっかく開業したキッチンカーが廃業してしまうのには、いくつか理由があります。こちらではキッチンカーという商売形態だからこそ起こりえる代表的な六つの原因を紹介します。
1.良い出店場所を探し続けない
キッチンカーは店舗を構える飲食店と違い、場所にとらわれず出店できるメリットがあります。一方で、固定店舗を持たないキッチンカーというスタイルは出店場所が見つからなければ売り上げが作れません。また、順調に売上を伸ばしているキッチンカーは、良い出店場所を見つけた後も継続的に良い出店場所を探しているという特徴があります。
キッチンカーはどこで何を販売するかが大切です。人が集まる場所に出店し適切な商材を提供できれば、十分な売り上げが期待できます。キッチンカーの運営者はよい販売場所を探しているので、すぐには見つからないことがあるので根気強く、工夫して探す必要があります。ランチ需要が期待できる人の行き来が多いオフィス街などがこれに該当します。
大きな売り上げが期待できる場所に出店できるよう、イベントの主催者に問い合わせる、マッチングサイトを利用するなど、日ごろからの努力が欠かせません。出店場所の探し方については、以下の記事で具体例も使いながら詳細にお伝えしています。
» キッチンカーの出店場所おすすめ11選!出店料と3種類の探し方を解説
2.メニューに特徴がなく競合と差別化できない
キッチンカーで販売するメニューは、一般的に「誰もが知っている定番メニュー」の方が、「大部分の人が聞いたことが無いメニュー」よりも適しています。定番メニューの代表例は、クレープ・鶏の唐揚げ・たこ焼きなどです。ただし、定番メニューだからこそ、競合店にはない特徴を加えて差別化しないと、お客様に選ばれず十分な売り上げを確保することは難しいでしょう。
定番メニューでも、ちょっとした工夫で競合店との差別化は可能です。例えば、メニューに使用する食材(肉・野菜・果物など)を、地元産のものにすれば十分差別化できますし、メニューに使うソース類をオリジナルなものにすることも有効な方法です。キッチンカーでの販売におすすめのメニューについては、以下の記事で詳しく解説しています。
» 【2024年最新版】キッチンカーにおすすめの人気メニュー14選!
3.初期費用を掛け過ぎて資金繰りが苦しい
個人事業主として新たにキッチンカーを始めるなら、資金には限りがある人がほとんどです。また、開業当初から十分な売り上げを上げられるとも限りません。つまり、最初のうちはこの限られた資金で材料費・出店料・燃料費などのランニングコストをまかなう状況になりやすいです。この点をしっかりと考えた資金繰りがキッチンカー経営には求められます。
キッチンカー車両本体や調理設備などの初期費用を使いすぎると、ランニングコストに回せる資金が不足し、資金繰りが苦しくなります。私も経験したことがありますが、資金に余裕がないと、精神的な余裕もなくなり、改善策を考え実行できず、問題を解決できない悪循環に陥ってしまう可能性があります。
そうならないために、十分な資金が準備できるのが理想ですが、それが難しいのであれば、身の丈に合った車両や設備にするなど、初期費用を抑える工夫が必要です。一般的な初期費用の目安・内訳・調達方法については、下記の記事を参考にしてください。
» キッチンカーの開業資金は350万円から!初期費用の金額・内訳・調達方法を紹介!
4.客単価を低く設定してしまう
キッチンカー事業では単価を低く設定することで利益が薄くなってしまうことがあります。
キッチンカーでの飲食は昼食やデザートなどの間食として使われることが多く、客単価は1,000円前後になることがほとんどです。メニューに付加価値を加える、セットメニューを作るなどして、客単価を高くする工夫が必要です。
とはいえ、客単価を高くすることには限度があるので、同時に決まった時間内で販売数を多くする必要もあります。オペレーションの手順、キッチンカー内の器具の配置、さらにはメニュー選びまで踏み込んでの工夫が求められます。
5.集客の試行錯誤を止める
キッチンカーや飲食に限らず、集客は商売の基本かつ最も重要なポイントです。お客様を集められなければ、十分な売り上げは難しくなります。常に販売場所が変わるキッチンカーは、店舗飲食店に比べて固定ファンが付きにくい特徴があるので、その点も考えた上での集客の試行錯誤の継続が必要です。
キッチンカーの集客は二つに分けて考える必要があります。一つ目はキッチンカーを出店した場所に人を集める、ということです。そのためには、SNSやホームページなどを駆使しての宣伝活動も重要ですが、それと同じくらい重要なのは、人が集まる場所に出店するということです。極端な話、見知らぬ土地であろうと人さえいれば、十分収益を上げられるだけの売り上げが可能です。特に週末はイベントへの出店が欠かせません。
二つ目の集客は、あなたのキッチンカーの前を通りかかった人をしっかり捕まえるということです。せっかく人が集まる場所に出店できても、そこにいる人たちを引き付けられなければ、売り上げには繋がりません。そのためには、どんな食べ物を販売しているのかが一目で分かる、写真付きのノボリや垂れ幕(タペストリー)が必須です。
このように人を集め、その人たちを自分のお店に引き込むという二つの意味での集客力を高める試行錯誤がキッチンカーの運営には欠かせません。
6.天候に売り上げが影響される
屋外での飲食が基本となるキッチンカー事業は天気の影響がもろに売り上げに反映されます。特に週末の天候の良し悪しは、年間を通した売り上げ全体に与える影響が大きくなります。私自身も週末に向けて天気予報とにらめっこが始まり、祈るような気持ちで起き、明るい空を見てホッとしたことが、何度もありました。
週末はいつでも天気に恵まれるのは現実的ではありませんので、週末の売り上げが落ちても、年間の収支がプラスになる事業モデルを考えましょう。
キッチンカーで失敗しないための5つの行動
キッチンカー事業は、廃業率が高い業種である飲食業に該当するので、成功するためには行動が欠かせません。さまざまな行動の中でも、特に成功に直結する5つの行動を具体的にお伝えします。
1.リサーチを継続する
キッチンカーに限った話ではありませんが、事業を成功に導く一番の秘訣は、リサーチを行い続けることです。起業に向けて事業計画書を作成するときはもちろん、実際に事業が始まった後もリサーチの継続が欠かせません。キッチンカー経営では、流行りのメニュー、新しい集客方法、成功・失敗事例など、多くの分野について常に新しい情報を収集し、自分のお店に取り入れる姿勢が欠かせません。
一人の経営者として必ずやり続けないといけないのは、「リサーチの継続」その結果、経営がどんなに上手くいくようになっても「更なるリサーチの継続」、この意識を徹底しましょう。
2.余裕を持った資金計画を立てる
キッチンカーの開業前には事業計画書を作成し、しっかりと利益が出せる見通しを立てることが必要です。ただし、事業計画書を精一杯考えても、実際にキッチンカー運営を始めると、予想外のことが起こるのが経営です。思うように出店場所が見つからない、出店しても思うように来客数が伸びない、といった失敗は当然のようにあります。こうした経験を踏まえて、改善策を考え実行し、新しい経験をし、また改善策を考え実行し、という繰り返しによって経営は軌道に乗ります。
計画通りにいかない状況をあらかじめ想定し、開業から一定期間のランニングコストも資金計画に折り込む必要があります。このように資金面での余裕を考えず、ギリギリ状態になると、精神的な余裕も失います。精神的な余裕がなくなることが、経営に悪影響を与えるのは既に述べたとおりです。
開業時に金融機関からの融資を受け、手持ちに現金を増やしておくことは、資金面で余裕を持つ点においても有効です。事業計画をしっかり立てれば、それを使って融資を受けられる可能性も高まります。この点からも、キッチンカーを開業する前には事業計画書の作成が必要です。
3.副業・アルバイトから始めてみる
飲食業や接客業の経験がないのであれば、まずは副業やアルバイトとしてキッチンカーを始めてみることもおすすめです。他に収入のある副業なら、資金的にも時間的にも余裕がもてるので、失敗を恐れずにさまざまなアイデアを試せます。行動量が増えれば、自然に成功にもつながります。
まとまった資金が無くすぐにはキッチンカーを開業できない、というのであれば、アルバイトとして実際に現場を経験するのも良いでしょう。自分のキッチンカーをやりたい気持ちが高まることが期待できますし、開業前の事業計画もより具体的で精度の高いものが作れるようになります。
4.成功者やプロのアドバイスを受ける
キッチンカーの開業前、開業後を問わず、既に成功している人やその道のプロの話を聞くことは、とても有効です。キッチンカー経営を実践している人の話は具体性が高く、良いことも悪いことも含めて学ぶことが非常に多いです。
私も開業予定だった市のキッチンカー協議会を通じて、複数台のキッチンカーを持つ経営者を紹介してもらい、色々なアドバイスをもらいました。また、キッチンカー開業を支援する企業のセミナーにも参加し、こちらでも多くのことを学びました。無料でプロの話を聞けるセミナーもありますので、成功のためにはこうした機会を逃してはいけません。
5.常に試行錯誤を続ける
キッチンカー経営が最初から上手くいく人はまれです。つまり、多くの人が当然のように失敗を経験します。一度や二度の失敗で諦めてしまってはいけません。
成功するためには、失敗を経験したところがスタート地点と認識し、改善のための試行錯誤を続けることが重要です。一気に大幅な改善はできないかもしれませんが、続けていれば確実に良くなり、最終的にはあなたが求める稼ぎを得ることも夢ではありません。
まとめ
経済産業省やフードトラックカンパニー社のデータを統合すると、キッチンカーの廃業率は5.6%程度であると考えられます。キッチンカーならではの、出店場所を常に確保しなければいけない、天候が売り上げに大きく影響するなどの条件に上手く対処できないと、廃業する可能性が高まってしまいます。
キッチンカー経営は簡単ではありませんが、今回紹介した廃業の原因に対して、適切に対応し、成功に必要な行動を継続すれば、稼ぐことは決して無理ではありません。サラリーマン時代には味わえなかった、仕事に対する楽しさを感じられる可能性もあるでしょう。そのために実績も経験も豊富なプロの手を借りるのはとても賢い選択です。
フードトラックカンパニー社では、キッチンカーの実物も見学できる無料セミナーを5カ所の常設会場(東京・大阪・名古屋・福岡・千葉)と全国各地の会場、さらにオンラインで随時開催しています。セミナー後には、無料で参加できる個別コンサルティングであなたの開業のお手伝いもしていますので、キッチンカー経営に興味のある方は是非一度セミナーにご参加ください。