「大好きなコーヒーを販売するキッチンカーをやってみたいけど・・・儲かるのかな・・・」

「カフェをやってみたいけど固定店舗とキッチンカーでは何が違うんだろうか?」

「キッチンカーのコーヒーショップって、いくらぐらい稼げるんだろう?」

こんな疑問を持っていませんか?

その気持ちはよく分かります。なぜなら、私自身がキッチンカーを開業するときに、「こだわりのコーヒーを提供するカフェとかコーヒーショップって楽しそうだな」、と思い時間をかけて調査した経験があるからです。

キッチンカーを〇(ゼロ)から準備を始めて実際に開業した経験のある私が、自分が実際に経験したからこそ分かる情報も交えて、キッチンカーでのコーヒー販売について解説します。

この記事では、

  • コーヒーショップをキッチンカーで開業する6つのメリット
  • コーヒーショップをキッチンカーで開業する6つのデメリット
  • 開業までにやるべき8つの手順
  • コーヒーマシン選びの基礎知識
  • キッチンカーで営業するコーヒーショップ成功するための3つのコツ
  • キッチンカーでコーヒーを売ると年収はいくらになるのか?

をお伝えします。

キッチンカーでカフェやコーヒーショップを開きたいと思ったら、必ず理解しておくべき重要な情報をまとめましたので、ぜひ最後までお読みください。

キッチンカーでコーヒーショップを開業するメリット6選

メリット

コーヒーショップやカフェをキッチンカーで開業する場合には、固定店舗で開業する場合に比べてさまざまなメリットがあります。キッチンカーで開業するメリットとコーヒー自体のメリットを合わせて六つのメリットを紹介します。

1.固定店舗よりも少ない資金で開業できる

コーヒーショップやカフェを固定店舗で開業する場合に比べてキッチンカーで開業する場合は、圧倒的に少ない資金(初期費用)で開業できるのが一つ目のメリットです。

固定店舗でコーヒーショップを開業する場合には、初期費用として「テナント賃借費」「内外装工事費」「機械・什器・備品費」「運転資金」が必要です。「テナント賃借費」は出店地域や物件の広さにもよって大きく金額が変わりますが、固定店舗で開業には初期費用全体で約1,000万円は必要になります

一方、キッチンカーでコーヒーショップを開業する場合には、初期費用として「キッチンカー購入費」「機械・什器・備品費」「運転資金」が必要です。「キッチンカー購入費」の金額が最も大きく、すぐに使える程度の良いキッチンカーなら軽トラックサイズの中古車でも200万円程度は必要です

程度の良い中古キッチンカーを200万円で購入できれば、その他の初期費用を加えても300万円で十分にコーヒーショップのキッチンカーを開業できます。キッチンカー購入費が仮に400万円かかったとしても、初期費用は500万円程度なので、固定店舗で開業する場合に比べれば、キッチンカーなら約半分の資金でコーヒーショップを開業可能です。

2.集客状況に合わせて出店場所を変えられる

固定店舗でコーヒーショップを一度開店したら、基本的には移転できません。移転するためには現在のテナントの原状回復費なども必要になるので、新規開店以上の経費がかかります。したがって、開店後に競合店舗の出店や人通りが少なくなるなど外部環境の変化が起きても、実店舗では対応しづらい特徴があります。

一方、キッチンカーのコーヒーショップなら、毎日のように出店場所を変えることも可能です。したがって、出店場所の集客力が弱いと思えば、別の場所へとドンドン出店場所を変えられるのが、キッチンカーで開業することのメリットです。

さまざまな出店場所を試しながら、集客力が強く売り上げをしっかり上げられる場所を見つけることを継続すれば、安定的にキッチンカーのコーヒーショップで稼ぐことが可能となります。

3.出店条件に合わせて臨機応変に営業できる

ホットコーヒー

固定店舗のカフェやコーヒーショップは、開業時にお店のコンセプト・イメージを固めると、その後は大きく変化させることは難しいでしょう。提供するメニューもお店のコンセプトに合わせたものになるので、何でもかんでも試してみるのは現実的ではありません。

それに対して、キッチンカーでは出店場所の条件に合わせて臨機応変に営業できるメリットがあります。例えば、コーヒーショップであっても、オフィス街でランチ出店しようと思えば、昼食に適したホットドッグ・ホットサンドなどのパン類やお弁当類などの食事系メニューを販売することが可能です。

休日の公園に出店する場合には、小さな子ども連れの家族をターゲットにアイスクリーム・かき氷などの調理の手間がかからないスイーツ類を販売するのもよいでしょう。もちろん、親御さんには自慢のコーヒーを購入してもらうことを期待できます。

このようにキッチンカーであれば、コーヒーを軸にして、出店場所・日時などの条件に合わせた臨機応変なメニュー販売が可能です

4.1年間を通して安定的な売り上げが期待できる

キッチンカーに限らず、コーヒーというメニューが持つメリットに、季節や時間帯を問わずある一定以上の需要が見込まれることがあげられます。例えば、暑い季節ならアイスコーヒーの需要が高まりますし、寒い季節ならホットコーヒーの需要が高まります。

1日を見ても、朝のモーニングコーヒーに始まり、10時・15時の休憩時間や昼食後のちょっと一息のお供としてもコーヒーは人気です。さらに夕方から夜にかけても、もうひと頑張り仕事や勉強に取り組もうと思ったときに、頭をシャキッとするための力強い味方にもコーヒーはなってくれます。

このように1年間を通して朝から晩まで、一定以上の需要が見込まれるコーヒーを販売すれば、キッチンカー事業においても安定的な売り上げが期待できます

5.専門知識・スキルがなくても開業できる

コーヒーはコーヒーマシンにコーヒー豆をセットすれば、誰でも簡単に提供でき、仕入れにも特別な専門知識は不要です。もちろん、こだわりたい人はどこまでもこだわりを追及できますが、専門知識・調理スキルがなくても一定水準以上の商品を提供できるのがコーヒーの特徴です

したがって、カフェなどでの勤務経験がなくてもキッチンカーでコーヒーショップを開業できます。また、コーヒーマシンの他に専用の調理器具も不要なので、初期投資金額を少なく開業できるのもメリットの一つです。

6.調理の労力が少ないのでワンオペで出店できる

フリーマーケット

コーヒー豆をコーヒーマシンにセットすれば、自動でコーヒーが抽出されるので、コーヒーショップのキッチンカーでは調理の労力が非常に少なくて運営できるメリットがあります。コーヒーマシンが抽出している間に、接客することも可能なので、イベントなど来客数が多い場所での出店でもどんどん客数をこなせるでしょう。

また、コーヒーショップではある時間帯にお客様が集中することはなく、出店時間を通してまんべなく来客があります。したがって、一緒に販売する軽食系メニュー・スイーツ系メニューを作り置きができる商品を販売すれば、オーナーまたはスタッフ一人でのワンオペ出店も十分に可能です

キッチンカーでコーヒーショップを開業するデメリット6選

コーヒーショップのキッチンカーには、キッチンカーが持つデメリットと商品としてのコーヒーがもつデメリットがあります。両者を合わせて六つのデメリットとそれらを補うための方法・考え方について解説します。

1.常に出店場所を確保する活動が必要になる

コーヒーショップに限らずキッチンカーを運営し、安定的に売り上げを確保するためには、何よりもまずは出店場所を確保する必要があります。出店場所がなければその日の売り上げは〇(ゼロ)になるので、何よりも優先して行うべき業務が出店場所の確保です

固定店舗のカフェには、当然ながら出店場所確保という業務はありません。リピートする出店場所が増えてくれば、少ない労力で出店し続けることも可能でしょうが、基本的にはキッチンカー運営する以上、常に出店場所を確保する活動が必要なのはデメリットの一つです。

2.コーヒーのみでは大きな売り上げは難しい

キッチンカーに限らず実店舗であっても、コーヒーのみを販売するなら、大きく売り上げることは難しいでしょう。700円から1千円前後の価格帯が多い食事系メニューに比べると、コーヒーの価格帯は300円から500円が中心となり、商品単価が低いのが原因です。

売上金額を大きくするためには、ホットドッグなどの軽食系メニューや焼き菓子などのスイーツ系メニューをコーヒーと一緒に販売することをおすすめします。単純にメニューが増えることで売り上げが大きくなることはもちろん、出店の幅(例:軽食系メニューがあればランチ出店も可能になるなど)が広がることによる売上金額の増加も見込めます。

3.他の出店形態も含めコーヒーを扱う競合が多い

カフェの外観

コーヒーのメリットである、「専門知識・スキル無しで提供できる」の裏返しになりますが、気軽に誰でも販売できるからこそ、競合が多いのがデメリットの一つです。

出店場所によってはキッチンカーに限らず、周辺の固定店舗のカフェやコンビニなどが競合相手になる場合もあります。なぜなら、どちらもキッチンカーのコーヒーショップと同様に入れたてのコーヒーをテイクアウトできる店舗なので提供できる価値が同じだからです。

どうしてもその場所で出店したいなら、商品の質や価格・(接客などの)サービスの質などで、競合相手との差別化を図らなければなりません。差別化が難しいようであれば、なるべく競合相手が少ない出店場所を選ぶなど、出店戦略から考え直す必要があります。

4.販売できるメニューの種類・数が限られる

コーヒーショップのキッチンカーは、固定店舗のカフェに比べて調理スペース(キッチンスペース)が狭くなります。調理スペースが限られるので、そこで収納できる食材の量も制限を受けます。

また、キッチンカーに積載する給排水タンク容量や自治体ごとの解釈の違いによって、キッチンカーのキッチンスペースで実施可能な調理工程の範囲が異なる可能性があるのが現状です。したがって、出店地域によっては思うような調理ができず、限られたメニューしか販売できない可能性があります

こうした理由により、販売できるメニューの種類と1日に提供できる数が固定店舗で開業する場合に比べて少ないのが、キッチンカーでコーヒーショップを開業するデメリットです。

5.固定店舗に比べてリピーターの獲得が難しい

毎日同じ場所・同じ時間帯で営業している固定店舗のカフェに比べて、毎日のように出店場所も営業時間も変わるキッチンカーのコーヒーショップは、リピーターを獲得しづらい点もデメリットの一つです。

たまたま購入してくれた人にもう一度来店してもらうためには、日頃からSNSなどで積極的に出店予定などについて情報発信することが欠かせません。また、毎週決まった曜日に同じ場所で出店すれば徐々にリピーターを獲得することも可能でしょう。

こうしたリピーター獲得施策と並行して、「リピーター獲得は期待できない」という前提に立った経営戦略もキッチンカーでコーヒーショップを運営するためには求められます

リピーターに頼らず経営を安定させるためには、人が集まる場所に出店し続けることが必須です。そのためには、週末の大規模イベントなど、多くの人出が見込まれる場所でのキッチンカー出店募集に対する感度を高め、出店場所を確保し続ける努力が欠かせません。キッチンカーの出店場所については、以下の記事で詳しく解説しています。

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2023.03.19

6.内外装による世界観・コンセプトの表現が難しい

キッチンカー

固定店舗とキッチンカーを比べると、固定店舗の方が内外装を使って表現できることの幅が広いです。つまり、落ち着いてコーヒーの味を楽しむ場所、太陽の光がたっぷり降り注いで元気が出る場所など、店舗ごとの世界観・コンセプトを表現しやすいのは固定店舗で、反対にそういった表現が難しい点はキッチンカーのデメリットです。

キッチンカーの内外装やSNSの投稿内容などで、コーヒーショップの世界観・コンセプトをできる限り表現することも重要ですが、キッチンカーの外装には通りがかった人をお店に呼び込むために分かりやすく魅力を伝えられる表現などが求められます。キッチンカーの装飾については、下記の記事で詳しく紹介しています。

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2016.01.30

キッチンカーのコーヒーショップ開業までにやること8選

アイスコーヒー

キッチンカーのコーヒーショップの売り上げを伸ばすためには、事業の特徴を理解した上で綿密な準備が欠かせません。実際に私がキッチンカーを開業した経験を踏まえて、開業までにやるべき8種類の準備を解説します。

1.お店のコンセプトと販売メニューを決める

キッチンカーのコーヒーショップの販売メニューやコーヒーの内容を決めるためにも、最初にお店のコンセプトを決めることが必要です。例えばコーヒーそのものの美味しさを味わってもらうことがコンセプトなら、コーヒー豆の種類・焙煎方法・入れ方にこだわったコーヒーを提供しなければなりません。

一方、お客様にコーヒーと一緒に楽しい時間を過ごしてもらうことをコンセプトとするなら、コーヒーにそこまでこだわる必要はなく、コーヒーと一緒に楽しめる定食系メニューやスイーツ系メニューを販売することが求められます。

このように、まずは「どういうお店にしたいか?」というコンセプトを決めて、それを実現するためにどのようなメニューを販売するかを考えましょう

2.事業計画を作成し利益が出ることを確認する

自分のコンセプトに沿ったキッチンカーのコーヒーショップを実際に開業して、利益を十分に出せるかを確認するために事業計画を作成しましょう。シミュレーションの結果、利益が出ないようであれば、その事業は行うべきではありません。

事業計画を作成しても、実際に事業を開始すると計画通りには進まないことがほとんどですが、少なくとも計画上は利益が出るコーヒーショップであることを確認することは必須です。

事業計画の基本は「売上高」「売上原価」「その他経費」の金額を算出し、それらを用いて「売上高」-「売上原価」-「その他経費」の式からいくら「利益」を出せるかを説明することです。

「売上高」「売上原価」「その他経費」を算出するためには、現実に即した条件を設定した上で様々な数字を用いる必要があります。例えば、「売上高」を算出するためには「メニューの種類と単価」「来客数(販売数)」「年間出店日数」などの数字が必要です

自分で事業計画を作成するのが難しいようであれば、各地域の商工会・商工会議所やプロの手を借りる(コンサルサービスを利用する)ことも検討しましょう。

» マンツーマンでアドバイスを受けられる!キッチンカー開業コンサルの詳細はこちら

3.キッチンカー開業に必要な資金を確保する

資金計画

コーヒーショップのキッチンカーを開業するためには、事業計画に則って必要な資金を確保しなければなりません。開業に向けて準備すべき資金は「開業時の初期費用」「開業直後の運転資金」「開業直後の生活費」の3種類があります。

キッチンカー購入費などの「初期費用」はもちろん、開業直後に思うように売り上げが伸びない可能性を考え「運転資金」「生活費」をあらかじめ準備しておくことをおすすめします。「運転資金」には原材料費・出店費・車両交通費などが含まれ、少なくとも3カ月分は準備しておくべきです。「生活費」は最低6カ月分(できれば1年分)準備しましょう。

これらの資金を確保するための方法は、「自己資金」「金融機関からの融資」「補助金・助成金」の三つが代表的な方法です。自分の経済状況や事業計画に合わせて上手に資金を確保してください。資金確保に関する詳しい情報は、以下の記事で解説しています。

» キッチンカー開業資金の内訳と計算方法と集め方(助成金、ローン、銀行融資など)

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2021.03.17

4.開業に必要な資格と営業許可を取得する

キッチンカーの営業許可を取得するためには、申請時にあらかじめ飲食業に関わる資格を取得しておく方法があります。代表的な資格は「食品衛生責任者」です。この資格は各都道府県で実施される「食品衛生責任者講習」に参加すると、即日取得できます。

「食品衛生責任者」以外でも「栄養士」「調理師」「製菓衛生師」などの資格があれば、営業許可を取得可能です

キッチンカーの営業許可は活動地域を管轄する保健所で取得します。審査基準などは地域によって異なる場合がありますので、キッチンカーでのコーヒーショップの開業を考えたら、まずは地域の保健所を訪れて必要な情報の確認が必要です。キッチンカーの営業許可取得については、下記の記事で必要な手順も含めて詳しく説明しています。

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2021.01.26

5.キッチンカーと調理設備を入手する

同じようにキッチンカーでコーヒーショップを開業するとしても、営業スタイルによって必要なキッチンカーの車種は異なります。キッチンカーの代表的なベース車両は軽トラック・普通車1.0tトラック・普通車1.5tトラックの3種類です。価格と大きさ(車体全体またはキッチンスペース)がそれぞれ異なります。

コーヒーを中心に一部のみ食べ物を扱う営業スタイルや、軽食系メニューと一緒にランチの時間帯にコーヒーを販売するスタイルであれば、軽トラックサイズのキッチンカーが適しているでしょう。

食事系メニューを積極的に扱って売上金額が大きいコーヒーショップにしようと考えているなら、キッチンスペースや食材保管用スペースをたくさん確保できる、普通車1.5tトラックが適していると考えられます。

キッチンカーの車両と一緒に調理設備も購入しましょう。コーヒーマシンは必須ですが、その他の調理設備は実際に作るメニューに合わせて必要なものを購入します。卓上に置いて使うタイプの調理器具であれば、1台のキッチンカーでさまざまなメニューを販売することも可能です

6.万が一に備えて各種保険に加入する

保険

キッチンカーでコーヒーショップを開業するときには、万が一の事故に備えて2種類の保険に加入することをおすすめします。一つ目は、キッチンカーで販売する飲食物が原因で食中毒などを起こしてしまったときに備える「PL保険」です。公益社団法人日本食品衛生協会が提供している「あんしんフード君・スーパーあんしんフード君」などが代表例になります。

二つ目はキッチンカー運転時の事故に備える「自動車保険」です。自動車保険の対象は「対人賠償」「対物賠償」「搭乗者保険」「車両保険」と多岐にわたり対象を広げるほど、保険料が高くなるのが一般的です。自分に必要な補償内容を見極めて、なるべくコストをかけない形で加入することをおすすめします。

複数の保険を検討するのが面倒に感じる人には、株式会社フードトラックカンパニーが三井住友海上火災保険株式会社と共同で提供している「キッチンカーパック保険」をおすすめします。この保険は「PL保険」と「自動車保険」の両方の性質を備えているので、キッチンカー事業で起こりうるさまざまなリスクに対応可能です。

【参考】キッチンカー(移動販売)事業者向けの「キッチンカーパック保険」のご案内

7.コーヒーショップのキッチンカーの出店場所を確保する

コーヒーショップに限らずキッチンカー事業で安定的に利益を出すためには、「出店場所を確保し続けること」が必須です。出店できなければ、その日の売り上げは0円になってしまうので、どんな業務よりも最優先で進めるべきでしょう

キッチンカーの納車・営業許可の取得前であっても利用できる出店場所紹介サービスもあるので、開業前であっても出店場所を確保するための活動は進めていきましょう。

主な出店方法は「ランチ出店」「イベント出店」「軽食出店」「買取出店」の4種類です。それぞれの出店形式ごとに、人気メニュー・客層・来客が多い時間帯などは異なります。開業直後はさまざまな場所・形式で出店を繰り返し、自分のコーヒーショップに適した出店方法を見つけましょう。出店場所を見つける具体的な方法は、以下の記事で詳しく解説しています。

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2016.03.11

8.コーヒー豆や各種食材を仕入れる

コーヒーショップのキッチンカー開業に向けて、車両の準備・営業許可取得などにめどが立ったら、コーヒー豆やその他メニューに使う食材を仕入れます。

キッチンカーの利益を大きくするためには、売上金額を大きくすることと同時に、仕入れコストを下げることが必要です。食材の消費期限に注意しつつ、なるべく大量に購入して単価を下げるなど工夫しましょう。

コーヒーマシン選びの注意点と代表的な3種類を紹介

エスプレッソマシン

コーヒーショップのキッチンカーの要であるコーヒーマシンの選び方について解説します。キッチンカーを取り巻く電気事情を考慮して注意すべき点と、使用するコーヒー豆の形態が異なる3種類のコーヒーマシンの方式を解説します。

コーヒーマシンの電圧と消費電力を要チェック!

キッチンカーのコーヒーショップで使用するコーヒーマシン(エスプレッソマシン)を選ぶときは、必ず電圧と消費電力を確認し、「電圧:100V・消費電力:1,500W以下」の商品を選びましょう。なぜなら、これ以上の電圧・消費電力のコーヒーマシンはキッチンカーで使えない可能性が高いからです。

キッチンカーを営業するときの電源は、出店場所の施設の電気を使わせてもらうか、自分で発電機や蓄電池を持ち込むか、のどちらかになります。施設で借りられる電気は、基本的に電圧は100Vで、消費電力については制限がない施設もありますが、1,500W以下の条件が付くこともあります

また、キッチンカーの営業で使う発電機は一人で持ち運びができるサイズの機種を使うのが一般的で、このサイズのポータブル発電機の定格出力(発電量)は1.6kVA(消費電力の1,600Wに相当)から2.0kVA(同:2,000Wに相当)です

例えば、持ち運びできる発電機の代表モデルである「HONDA EU18iT1」の定格出力は1.8kVA(消費電力の1,800Wに相当)、「ヤマハ EF16HiS」の定格出力は1.6kVA(同:1,600Wに相当)です。

以上のようなキッチンカー出店時に使用できる電源環境を考慮すると、出店場所の電気を借りる場合・発電機を用意する場合の両方に対応できる「電圧:100V・消費電力:1,500W以下」のコーヒーマシンを選ぶことをおすすめします。

代表的な3種類のコーヒーマシンの特徴を解説

コーヒーマシンはコーヒーを抽出するときに使うコーヒー豆の形態によって3種類(パウダー式・カフェポッド式・パウダーとカフェポッド両方対応)に分類されます。それぞれの方式の特徴やキッチンカーで使用するときのメリット・デメリット、代表的なメーカーと相場価格を解説します。

パウダー式専用マシン:こだわりの一杯を提供できる

コーヒーマシンに自分でコーヒー豆を手作業でセットして、コーヒーを抽出するのが「パウダー式専用マシン」です。業務用マシンの代表的なメーカーは「De’Longhi(デロンギ)」「gaggia(ガジア)」「Breville(ブレビル)」などで、15万~30万円が相場価格です。

どのようなコーヒー豆を使うかは自分で決められるので、コーヒー豆の種類・焙煎方法などにこだわったコーヒーを提供できます。もちろん、自分のお店限定のオリジナルブレンドのコーヒーを販売することも可能です。

一方でカフェポッド式専用マシンに比べると抽出時間がかかる、抽出後のコーヒー粉の清掃が必要などのデメリットがあります

カフェポッド式専用マシン:手軽で簡単に抽出できる

ひいたコーヒー豆が入っているカプセル(カフェポッド)をセットして、コーヒーを抽出するのが「カフェポッド式専用マシン」です。代表的なメーカーは「De’Longhi(デロンギ)」「gaggia(ガジア)」「Nespresso(ネスプレッソ)」などで、価格は2万~5万円が中心です。

カフェポッド式の方がパウダー式よりも本体価格が安いので、初期費用が少なくてすむほか、コーヒーの抽出時間がパウダー式よりも早い、カプセルを捨てるだけなので掃除が簡単などのメリットがあります。

反対にカプセルはコーヒー豆そのものよりも価格が割高である、商品化されたカプセルを使うのでコーヒーの味・入れ方へのこだわりには限界がある、といったデメリットがあります。

パウダー式・カフェポッド式両方対応のマシン

「De’Longhi(デロンギ)」「BONMAC(ボンマック)」などのメーカーからパウダー式とカフェポッド式両方に対応したコーヒーマシンが3万~5万円の価格帯で発売されています。

スペックや使い勝手を確認した上で自分自身の希望を満たす商品であれば、パウダー式とカフェポッド式のどちらも使ってみたい人にはおすすめです。

コーヒーショップのキッチンカーで成功するコツ3選

キッチンカー

コーヒーショップのキッチンカーで成功するためには、キッチンカーのメリットとデメリットの両方を理解した上で、継続的に利益を上げるための施策実行が重要です。成功するためには欠かせない3種類の具体的な施策を解説します。

コーヒー以外のメニューも販売して単価を上げる

コーヒーというメニューのデメリットとして、単体では売上金額を大きくするのが難しい点があげられます。コーヒー自体の単価を上げるためには、オリジナルブレンドなどコーヒー豆にこだわったり、「カフェ・オ・レ」「カフェモカ」「ウインナー・コーヒー」などをメニューに加えたり、大きさを複数用意したりするなどの方法が考えられます。

コーヒーショップ全体の単価を上げるためには、軽食系メニュー・スイーツ系メニューを一緒に販売することが欠かせません。特に食べ物とコーヒーをセットにしたメニューは、単価を上げることに大きく貢献してくれることが期待できます。

また、コーヒー以外のメニューの販売は、出店機会を増やすことにもつながります。例えば、平日昼間のランチ出店はコーヒー専門店では難しいですが、ホットドッグなどの軽食メニューがあれば出店が可能です。キッチンカーでコーヒーと一緒に販売することをおすすめする3種類のメニューを紹介します。

おすすめ1.ホットドッグ

ホットドッグは広く世間に認知されているメニューで、コーヒーとの相性が抜群で季節を問わず需要が見込まれるメニューになります。また、食材はパン・ソーセージ・野菜(レタス、タマネギなど)と少なく、調理器具もパンやソーセージを温める物があれば十分です。さらに調理工程もパンに具材を挟むだけと簡単なのも魅力です。

ケチャップとマスタードの味付けが基本ですが、チリソース・チーズソースなどのトッピングにより、販売メニューの種類を増やし、単価を上げられます。コーヒーと一緒にホットドッグを販売するキッチンカーなら、ランチ出店も可能です

おすすめ2.ホットサンド

ホットサンドも多くの人が認知しているメニューで、季節を問わず需要が見込まれるコーヒーとの相性が抜群のメニューです。コーヒーと一緒にホットサンドを販売すれば、ランチの時間帯のキッチンカー出店も可能です

ホットサンドはホットサンドメーカーさえあれば調理可能なので、新たな調理器具の購入は最低限で済みます。さらにホットサンドメーカーはガス・電気の両方を熱源とする商品があるので、(電源が少ない・ガスコンロを設置済みなど)キッチンカーの状況に応じて適切なものを選べます。

食材はパン・ハム・チーズと少なく、パンに食材を挟んでホットサンドメーカーで焼くだけと簡単な工程で調理可能です。パンの中に挟む具材やソースを工夫することで、販売メニューの増加・単価アップも図れます。

おすすめ3.焼き菓子・スイーツ類

コーヒーとの相性が抜群の焼き菓子・スイーツ類もキッチンカーで販売するメニューとしておすすめです。ただし、パフェ類・クレープといった調理に手間のかかるメニューは、オペレーションの効率を下げる恐れがあるので、避けた方が良いでしょう。

他の場所でパッケージ済みや作り置きができるメニューがおすすめです。具体的には、クッキー・フィナンシェなどの焼き菓子、ドーナツ、ケーキなどがキッチンカーのコーヒーショップで販売するメニューとして適しています。

出店場所の客層に合わせたメニューを販売する

テイクアウトの食べ物と飲み物

キッチンカーは出店場所によって、客層が大きく変わります。平日昼間のオフィス街での出店なら、昼食をとりたい大人が主な客層です。一方、週末のイベント出店であれば、子ども連れの家族が主な客層となるでしょう。

このような客層の変化に応じてコーヒーショップのキッチンカーで扱うメニューも変える必要があります。食事をしたい人向けにはホットドッグ・ホットサンドなどの軽食系メニューが必要ですし、午後のひとときにコーヒーを楽しみたい人向けには焼き菓子などのスイーツ系メニューが喜ばれるでしょう

キッチンカーの外装にこだわり通行人を呼び込む

キッチンカーの外装には店の前を通った人に「何を売っているお店か?」が一目で理解できる分かりやすさが欠かせません。キッチンカー自体に塗装をしなくても、タペストリー・看板・のぼりなどを使えば、分かりやすく伝えることは可能です。

その際には文字情報だけではなく、商品の写真をタペストリーに使うなど視覚的にも、コーヒーショップで販売するメニューの魅力が伝わる工夫をしましょう。

コーヒーショップのキッチンカーの収益シミュレーション

年収

キッチンカーでコーヒーショップを開業したらどれくらいの売り上げになり、年収はいくらくらいになるのか条件を設定してシミュレーションしました。実際の収益実績ではありませんが、一つの例として参考にしてください。

週5日稼働で年間売上金額は約836万円

キッチンカーでのコーヒーショップの収益を算出するために、以下の条件を設定します。

  • メニュー:コーヒー 400円フードメニュー 500円コーヒーとフードメニューセット 800円
  • 購入比率:来客者の50%がコーヒー、20%がフードメニュー、30%がセットを購入する
  • 稼働日:土日(52週×2日)と月曜祝日(年に4日)、平日のうち3日(52週×3日)稼働する
  • 来客数:土日 100人・平日 30人

土日(月曜祝日含む)と平日1日当たりの売上金額を算出します。

  • 土日1日の売上金額:コーヒー 400円×50人+フードメニュー 500円×20人+セット 800円×30人=5万4千円
  • 平日1日の売上金額:コーヒー 400円×15人+フードメニュー 500円×6人+セット 800円×9人=1万6千200円

年間で土日(月曜祝日含む)は108日、平日は156日稼働する条件なので、年間の売上金額は以下の通りです。

  • 年間売上金額=5万4千円×108日+1万6千200円×156日=835万9千200円

実際にはメニューごとの購入比率や来客数がシミュレーションとはズレますが、単価が低くなりやすいコーヒーショップやカフェの業態でも、土日100人・平日30人の集客ができれば、約836万円の売り上げを達成可能です

年収は約402万円(月収:約33万円)

コーヒーショップのキッチンカーの年収(年間利益)・月収を算出するために、運営に必要な経費を以下の条件で算出します。

  • 原価コーヒー 52円(売値の13%)・フードメニュー 150円(売値の30%)・セット 202円(売値の25.25%)
  • 出店料:売上金額の10%
  • バイト人件費:土日と月曜祝日のみ1名を1日8,000円で雇用
  • その他雑費:売上金額の10%(車両交通費など)

上記の条件を基に算出したキッチンカー運営に必要な経費の金額と年収(利益)・月収は以下の通りです。

  • 原価:180万4千968円
  • 出店料:83万5千920円
  • バイト人件費:86万4千円
  • その他雑費:83万5千920円

  • 年収(利益):401万8千392円(年間売上金額-原価-出店料-バイト人件費-その他雑費)
  • 月収:33万4千866円

実際にキッチンカーを出店すると、各経費の金額はシミュレーションとはズレますが、単価が低くなりやすいデメリットのあるコーヒーショップやカフェでも、年収400万円を稼げることが分かりました。もちろん、メニュー開発・集客の工夫などを継続することで、今回のシミュレーション以上の売り上げ・年収を達成することが可能です。

キッチンカー事業者の年収については、次の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。

» キッチンカー事業者のリアルな年収と収入アップのコツ9選

キッチンカー事業者のリアルな年収・月収と収入アップのコツ9選

2022.08.01

まとめ

コーヒーをメインメニューにするキッチンカーが持っているメリットとデメリットを、キッチンカーと固定店舗を比較する形で紹介しました。キッチンカーを開業するまでにやるべき手順を解説した上で、稼ごうと思ったらコーヒー以外のメニューの販売が欠かせないことや出店場所ごとの顧客ニーズを満たす重要性をお伝えしました。

キッチンカーのコーヒーショップでは、年間840万円弱の売り上げを達成し、400万円ほどの年収を得ることが可能なことを収益シミュレーションから導きました。

コーヒーに限らず、キッチンカー運営全般について、しっかりと学びたいと思った人には株式会社フードトラックカンパニーが主催するセミナーがピッタリです。参加費無料でメニュー選びのコツから車両選びに欠かせない知識まで学べます。全国4会場とオンラインで随時開催しているので、誰でも気軽に参加可能です。