「クレープを売っているキッチンカーをよく見るけど稼げているの?」
「キッチンカーでクレープを販売を始めるにはどんな資格が必要になるの?」
「クレープ屋で成功するコツがあるなら教えてほしい!」
こんな疑問を持っていませんか?
その気持ちはよく分かります。なぜなら、私自身もキッチンカーを開業しようと思ったときに、まず思いついたメニューがクレープだったので、同じように疑問を感じた経験があるからです。
実際にキッチンカーを自分の力で準備を進めて、開業した経験のある私だからこそお伝えできる、クレープのキッチンカーの開業を検討しているなら知っておくべき情報をまとめました。
この記事では、
- クレープがもっているメリット・デメリット
- クレープのキッチンカーを開業するまでに必要なこと
- クレープを販売して得られる売上・年収・月収の試算結果
- キッチンカーをクレープ販売で成功するコツ
- 先にクレープ販売のキッチンカーを開始した先輩たち
をお伝えします。
クレープのキッチンカー開業に必要な情報のみをまとめたので、ぜひ最後までお読みください。
目次
キッチンカーメニューとしてクレープにあるメリット7選
キッチンカーの定番メニューの一つであるクレープには、キッチンカーで扱うメニューとして他のものにはないメリットがいくつもあります。代表的な七つのメリットについて、詳しく解説します。
1.定番メニューながら購入できる機会は限られる
キッチンカーのメニュー選びに欠かせないのが「誰もが知っている定番メニューである」ことです。クレープは年齢・性別を問わず多くの人に知られているので、この点は問題ありません。
一方、定番メニューは、自宅で作れる・お総菜売り場で買えることが多く、キッチンカー以外にも競合が発生するデメリットがあります。それに対して、クレープは自宅で作ることや作り置きしたものが売られていることはほぼ無く、購入できる機会は外出したときに作りたてを手にするときに限られます。
つまり、定番メニューでありながら、どこでも購入できるわけではないクレープは、イベントやショッピングモールなどちょっとした非日常に出店するキッチンカーで販売するメニューにピッタリです。
2.価格が安定していて収益性が高い
クレープは購入機会が限られることもあり、価格は最低でも500円と広く認識されており、値崩れする心配はほぼありません。反対にトッピングの量を増やすなどすれば、簡単に単価を上げることが可能です。
キッチンカーに限らず飲食業では販売するメニューの原価率が低いほど、利益が残りやすい特徴があります。飲食業の原価の目安は30%ですが、クレープの原価は20~25%が一般的なので、平均的なメニューよりも収益性が高いことは明らかです。
3.季節・時間を問わず安定的に売れる
クレープは暑い時期にはいくらか売り上げが落ちるといわれていますが、かき氷やおでんなどの季節性が高いメニューに比べれば、1年を通して一定量の販売が見込めます。季節によって完全にメニューを変更する必要がないので、キッチンカーの運営もしやすいでしょう。
時間帯による売り上げの推移は、午前中からお昼にかけてはいくらか少ないものの、午後以降は時間を問わず安定してクレープは売れます。特に14時以降になると、クレープのキッチンカーの前だけ行列ができるような状態も珍しくありません。
4.子ども連れを中心にイベントでの人気が特に高い
キッチンカー運営を成功させるためには、特に大きな売り上げが見込める土日の営業でしっかり売ることがかかせません。特に土日は人出が多いイベントに出店することが成功への近道となります。
自宅で食べる機会が少ないクレープは、イベント・お祭り会場で食べるイメージが強いこともあり、子ども連れ・カップル・若い女性のグループを中心に特にイベントでの人気が高いメニューです。人出が多いイベントで人気になるメニューというクレープの特徴は、キッチンカーで利益を上げるために非常に大きなメリットです。
5.工夫次第でランチ・軽食メニューになる
クレープは生クリーム・各種フルーツ・ソースをベースとしたスイーツとしてのイメージが強いメニューですが、おかず系の具材を包む工夫をすれば、ランチ・軽食メニューとしても販売できます。
ハムチーズ・ツナコーン・ポテサラといった定番の食事系メニューに加えて、照り焼きチキン・キーマカレーチーズ・ミートボールエッグなどボリューム満点なメニューも販売可能です。このようにメニューの幅を広げられれば、購入してくれるお客様の層を広げることも期待できます。
6.アレンジの幅が広く単価を上げやすい
クレープはチョコバナナやいちごクリームなどの基本的なメニューから、中に入れるフルーツを変えたり、ティラミスやレアチーズケーキなどのケーキ類やアイスクリームを入れたりすることで簡単にアレンジできます。アレンジによって競合店との差別化や単価を上げることが可能になります。
同じメニューでもプラス料金で、生クリームやフルーツの増量ができるメニューを販売すれば、新しい品目の仕入れやメニュー開発することなく単価を上げることも可能です。このようにキッチンカー成功の秘訣の一つである単価を上げることを簡単におこなえるのは、クレープがもつ大きなメリットです。
7.買取出店を依頼される機会が多い
キッチンカーの出店形態の一つに「買取出店」があります。これは、「クレープ100食分で6万円」といった形で、あらかじめ1日の報酬が固定で決まった状態で出店する形態です。住宅展示場・携帯ショップ・カーディーラーなどの店舗が集客を目的としたイベントの一環としてキッチンカーの出店を依頼するもので、報酬は店舗から支払われます。
私が実際に出店場所に関する情報を集めていた範囲では、「買取出店」の場合はメニュー指定がある場合がほとんどで、その中でもクレープを指定する募集案件が一番多い印象です。出店すれば確実に売り上げが計算できる「買取出店」の機会を得やすいのも、クレープがもつメリットです。
キッチンカーメニューとしてクレープにあるデメリット4選
キッチンカーで販売するメニューとしてメリットが多いクレープにも、当然ながらデメリットがあります。代表的な四つのデメリットとそれに対する対応策を解説します。
1.クレープづくりには技術が必要である
慣れたスタッフの人が簡単にやっているように見えるクレープ生地づくりは、実際には多くの人にとっては簡単ではなく、上手に焼くためには練習が必要です。さらに生クリーム・各種フルーツ・ソースを包んで上手に仕上げることにも技術が求められます。
このように、クレープはある程度の練習を積んだスタッフでないと調理できない点は、他の調理が簡単なメニューに比べてデメリットといえます。対応策としては、ある程度技術を身につける時間が必要なことを分かった上でのスタッフ雇用が必要です。
2.提供スピードに上限があり販売機会を逃す
クレープを販売するキッチンカーに行列ができる理由の一つが、実は提供スピードが早くないためお客様を待たせているからです。生地をあらかじめ焼いてストックすることはできますが、生地に生クリーム・フルーツなどを包んだ状態での作り置きは不可能です。
したがって、どうしても注文が入ってから一つずつ包んでいく必要があるので、提供スピードには上限があります。あまりに行列が長いと購入を諦める人も一定数はいるので、本来なら購入してくれた人を逃す(=販売機会を逃す)可能性がクレープにはあります。キッチンスペースの動線から見直して、少しでも提供スピードを上げる努力の継続が必要です。
3.客層が子どもと若い世代の女性に限られる
クレープを購入する客層の中心は子どもと若い世代の女性です。したがって、家族連れや若い女性のグループが多く訪れるイベント会場・ショッピングモール・公園などでは大きな売り上げが期待できます。反対にパチンコホールのように客層の中心が男性の場所や、高齢者向けのイベント会場では売り上げはそれほど大きくならないと予想されます。
メニューの工夫では限界があるので、最初からクレープを好む客層が集まる場所にキッチンカーを出店することを意識しましょう。最初は上手くいかないのが普通なので、出店経験を重ねて、クレープのキッチンカーに適した出店場所を一つずつ増やしていきましょう。
4.競合が多く出店場所確保が難しい場合がある
複数台のキッチンカーが出店するイベントやショッピングモールでは、同じメニューを販売するキッチンカーばかり集まらないよう主催者が調整するのが一般的です。また、ショッピングモールでは固定店舗で販売しているメニューを販売するキッチンカーは出店できない場合もあります。
クレープはキッチンカーで販売する定番メニューなので、同じ場所に出店を考える競合キッチンカーがいても不思議ではありません。メニュー被りにより出店を希望しても競合相手が選ばれ、思うように出店できない可能性があるのがクレープを販売するキッチンカーの大きなデメリットです。
思うように出店できなくても諦めずに出店場所を探し続ける姿勢が求められます。
クレープのキッチンカー開業に必要なこと一覧
クレープのキッチンカーを開業するためにやるべきことをお伝えします。最初に大まかな流れを説明し、開業に必要な資格・おすすめのキッチンカー車種・クレープ調理に必要な調理器具などについて解説します。
準備から開業までの流れを解説
クレープのキッチンカーの開業を決めたら、やるべきことは事業計画に基づいて「キッチンカーと厨房設備の購入」「営業許可の取得」の二つです。キッチンカーを発注する前には、営業予定地域を管轄する保健所で営業許可取得のために車両に求められる条件を確認する必要があります。
2021年6月の改正食品衛生法施行により、ある程度は全国一律の条件になりましたが、特有の条件が残っている地域もあるので、事前確認は欠かせません。キッチンカー発注から納車までは2~3カ月かかるのが一般的なので、この期間にレシピの完成・申請書類の準備・出店場所探しなど開業に向けた準備を進めましょう。
この期間中に保健所に提出する申請書類を完成させておけば、納車直後に保健所で検査を受けて営業許可を取得することが可能になります。実際に私は、キッチンカー納車の翌日に検査を受けて即日合格をもらい、その翌日から営業を開始できました。保健所での検査と開業全般に関する詳しい情報は、下記2記事にまとめています。
» 【2024年最新版】キッチンカーの営業許可証取得を申請から4ステップで徹底解説!
» キッチンカー(移動販売車)の開業のやり方11step!(完全保存版)
開業に必要な資格・営業許可・保険一覧
キッチンカーを開業するためには、自動車免許の他に「食品衛生責任者の資格」が必要です。さらに、飲食店としての「営業許可」を保健所で取得しなければなりません。
また、必須ではありませんが、思わぬトラブルに備えて2種類の保険(自動車保険・PL保険)への加入も欠かせません。それぞれについて、取得方法などさらに詳しい情報をお伝えします。
唯一必要な食品衛生責任者の資格
キッチンカーを開業するために唯一必要な資格は「食品衛生責任者」の資格です。各都道府県の食品衛生協会が実施している養成講習会(計6時間)を受講すれば、即日取得できる資格です。受講会場・受講日によっては、講習日の1カ月以上前に満席になることもあるので、早目に予定を立てて申し込むことをおすすめします。
なお、栄養士や調理師免許を取得している人や医学部・薬学部など特定の課程を修了した人は、養成講習会の受講は不要です。
飲食店営業の許可を保健所で取得
クレープを販売するキッチンカーを開業するためには、保健所で検査を受けて「飲食店営業」の許可を取得する必要があります。許可申請のために提出する書類の中には、「食品衛生責任者の資格証」も含まれます。
営業許可はキッチンカーを出店する地域を管轄する保健所ごとの取得が必要です。保健所によって細かい条件が異なる可能性があるので、開業準備を始めたらなるべく早い段階で、実際に保健所に足を運んで確認することをおすすめします。
自動車保険とPL保険への加入が必須
自動車で移動する飲食店であるキッチンカーでは、万が一の場合に備えて「自動車」としての側面を補償する「自動車保険」と「飲食店」としての側面を補償する「PL保険」の二つの保険への加入が必須です。
「自動車保険」は対人・対物賠償と搭乗者・車両保険の機能を備えた保険に加入しましょう。「PL保険」は食中毒や提供中の事故などをカバーする飲食店なら必ず加入する保険です。出店場所の管理者から信頼されるためにも、PL保険には必ず加入しましょう。
2種類の保険加入手続きが面倒な人には、株式会社フードトラックカンパニーが提供している「キッチンカーパック保険」がおすすめです。「自動車保険」と「PL保険」の内容を一つの保険で担っているキッチンカー事業者にピッタリの商品です。
キッチンカーは軽トラックサイズがおすすめ
キッチンカーは基本的に軽トラック・1.0t普通車トラック・1.5t普通車トラックのいずれかをベースにした3種類から選びます。一部、軽バンやハイエースバンなどを改造したキッチンカーもありますが、後述する理由によりおすすめしません。
3種類のキッチンカーはサイズが大きくなるほど価格も高くなります。なるべく開店時の初期費用を少なくするために、自分の事業計画を達成可能なら軽トラックサイズのキッチンカーがおすすめです。
ただし、購入予定の調理機材が搭載できない、保健所に確認したら考えていた軽トラックサイズのキッチンカーのスペックでは営業許可がおりないことが分かった、などの事情が生じたときには、1.0t普通車トラック以上の大きなサイズのキッチンカーを購入しましょう。
軽バンタイプは体への負担が大きい
軽バンやハイエースバンを改造したキッチンカーはトラックを改造したキッチンカーに比べて、安い価格での購入が可能です。しかし、バンタイプのキッチンカーで営業するときは常に座ったままでの作業になるので、腰や背中を中心に体への負担が大きくなってしまいます。
バンタイプのキッチンカーをすすめる人の中には、定期的に車外に出て休憩すれば大丈夫、と伝えている場合がありますが、これは現実に沿った意見ではないので注意しましょう。
例えば、土日のイベントに出店して行列ができるほど来客があったとします。行列で待たせている人がいるのに、調理する手を止めて休憩などできるわけがありません。したがって、キッチンカーを購入する際には、立って作業ができるサイズの車両を必ず選びましょう。
クレープの中古キッチンカーには要注意!
クレープのキッチンカー開業時の初期費用をなるべく安くするために、中古キッチンカーの購入を検討している人もいるかと思いますが、おすすめしません。なぜなら、中古のキッチンカー購入には、車の状態を正確に判断できる目と設置されている厨房設備の価値を目利きできる目の両方が必要だからです。
プロの目で見ても整備が必要な個所を見逃すことがあるので、素人が手を出すべきでないのは明確です。自分自身がプロもしくは、信頼できるプロの力を借りられる人以外は中古のキッチンカーを購入することは選択肢から外しましょう。中古のキッチンカーについては、以下の記事で詳しく解説しています。
調理設備はクレープ焼き器とトンボが必要
キッチンカーでクレープを調理するために必要な主な設備は「クレープ焼き器」です。「クレープ焼き器」の火元は電気またはガスのいずれかとなります。両者のメリット・デメリットを解説した上で、「クレープ焼き器」上の鉄板の選び方やその他に必要な調理設備を紹介します。
ガス式と電気式のメリット・デメリットを解説
クレープ生地を焼くクレープ焼き器の火力は「ガス式」と「電気式」の2種類です。キッチンカーで使用するガスは「LPガス」ですが、新規契約を断られることがあるので、あらかじめ契約先を確保してから準備を進めましょう。
「ガス式」「電気式」のメリットデメリットは以下に解説するので、自分自身の運営方針にあったクレープ焼き器を選びましょう。
<ガス式のメリット>
- 電気式より本体価格が安い(ただしコンロが必要)
- クレープ生地がふわっと焼きあがる
- 火力が強いので連続してクレープ生地を焼ける
<ガス式のデメリット>
- 温度管理が必要で初心者には火加減が難しい
- 夏場はキッチンスペースの温度が上がり熱中症の危険が生じる
- 電気式よりも片付けが大変
- 火気使用禁止の施設内には出店できない
<電気式のメリット>
- 温度設定ができるので温度調整がしやすい
- 夏場もキッチンスペースが熱くなり過ぎない
- 火気が使えない屋内施設にも出店できる
<電気式のデメリット>
- ガス式に比べて本体価格が高い
- 連続して焼くと鉄板温度が下がるので、焼き続けるのは難しい
- 電気使用量が大きいので出店場所に電気を借りる場合は容量に注意が必要
鉄板は直径400mm以上・厚さ6mm以上
クレープ焼き器に設置する鉄板は分厚いものほど鉄板の温度を一定に維持しやすく、クレープ生地を早く焼けます。目安として、厚さ6mm以上の鉄板を選ぶようにしましょう。
鉄板の直径は360mm・400mm・410mmの3種類のいずれかであることが多く、クレープ焼き器を設置するスペースに合わせて選ぶことをおすすめします。初めてクレープを販売する人は、400mmまたは410mmの鉄板を選ぶ割合が大きいです。
トンボは適度な重さがあるものがおすすめ
クレープ生地を焼くためには、その他に鉄板にのせた生地を素早く均一の厚さで広げる際に使用する「クレープ用トンボ」が必要です。見栄えよくクレープ生地を焼くためにもトンボは重要な調理器具で、トンボ本体に適度な重さがあるものが、回しやすいのでおすすめです。
鉄板上で焼き目を付けたクレープ生地をひっくり返して裏面を焼くために「スパチュラ」を使います。スパチュラの刃のサイズをクレープ生地・クレープ焼き器の鉄板のサイズに合わせると、ひっくり返す作業がやりやすくなります。
クレープキッチンカーの初期費用の目安は307万円
クレープ販売のキッチンカーを開業するときの初期費用を算出します。車両はベース車両に新車を使った軽トラックサイズキッチンカーの中では、最も安い価格帯であるフードトラックカンパニー社の「キッチンボックス350」を購入するものとします。
費用内訳 | 内容 | 金額(円) |
キッチンカーの購入費 | キッチンボックス350の製作費用 | 2,340,000 |
厨房機器の購入費 | クレープ焼き器+ガス台+2ドア冷蔵コールドテーブル | 208,000 |
容器・包材の購入費 | 紙コップ+クレープ用包材(100食分) | 2,000 |
販売促進ツールの購入費 | タペストリー2枚・A型看板・メニュー看板の製作費・デザイン費 | 100,000 |
保健所の許可取得費 | 食品衛生責任者講習+保健所の営業許可の取得費 | 38,300 |
その他費用 | 研究開発費など | 100,000 |
税抜き合計金額 | 2,788,300 | |
消費税 | 10% | 278,830 |
税込み合計金額 | 3,067,130 |
今回の試算では、初期費用として約307万円必要なことが分かりました。実際にはこれに加えて、開業直後数カ月分の店舗運営費と生活費の用意が必要です。
定番を中心にメニューを決定
クレープを購入する人の大部分は生クリームを使ったメニューを購入します。例えば、チョコバナナ・イチゴ・カスタード・キャラメル・アズキなどです。このような定番メニューを中心にさまざまな種類のメニューをそろえることで、お客様の選択肢も増え購入につながりやすくなります。
クレープに使用する生クリームは、冷凍製品ではなく毎朝ホイップして手作りすることをおすすめします。ホイップした生クリームの方が、冷凍製品よりも風味が増して、美味しさが格段にアップするからです。
週末を中心に出店場所を確保
クレープに限らず、キッチンカー運営で成功するために最も重要なことの一つが「継続的に出店場所を確保すること」です。出店場所がないと売り上げゼロになってしまうので、何よりも優先して行うべき業務が出店場所探しです。
特に週末は多くの人出と大きな売り上げが期待できるので、イベント・ショッピングモールなどを中心に必ず出店できるように、常に情報にアンテナをはり続けましょう。出店場所探しについては、具体的な場所から出店料まで以下の記事で詳しく解説しています。
» キッチンカーの出店場所おすすめ11選!出店料と3種類の探し方を解説
クレープキッチンカーの売上・年収の試算結果紹介
実際にクレープを販売するキッチンカーが稼げるのかを判断するために、一定の条件を設定して年間の売上金額・利益金額(=年収)・月収を算出します。単価いくらのクレープを何人の来客を集めて販売すると、自分の稼ぎがいくらになるのか把握する材料にしましょう。
週5日稼働で年間売上金額は1,015万円
クレープを販売するキッチンカーの1年間の売り上げを試算するために、以下の条件を設定します。
- メニューごとの平均単価:クレープ 600円・ソフトドリンク 200円
- 購入比率:来客者の95%がクレープ、20%がソフトドリンクを購入する
- 稼働日:毎週5日(土日と平日3日)稼働
- 年間稼働日:土日 104日(52週×2日)、平日 156日(52週×3日)
- 来客数:土日 100人・平日 40人
1日当たりの売上金額を土日と平日に分けて算出します。
- 土日1日の売上金額:クレープ 600円×95人+ソフトドリンク 200円×20人=6万1千円
- 平日1日の売上金額:クレープ 600円×38人+ソフトドリンク 200円×8人=2万4千400円
設定条件では年間で土日は104日、平日は156日稼働するので、年間売上金額は以下の通りです。
- 年間売上金額=6万1千円×104日+2万4千400円×156日=1,015万400円
どの数値も実際に営業したときのものとはズレると予想されますが、クレープを単体で販売するキッチンカーでも、土日100人・平日40人の集客ができれば、年間では1,000万円以上の売り上げが期待できることが分かりました。
年間利益・年収は506万円(月収は42万円)
キッチンカー運営に必要な経費を以下の条件で算出し、年収(年間利益)・月収を計算します。
- 原価:クレープ 132円(売値の22%)・ソフトドリンク 40円(売値の20%)
- 出店料:売上金額の10%
- バイト人件費:土日のみ1名を1日8,000円で雇用
- その他雑費:売上金額の10%(車両交通費など)
この条件で算出した1年間の経費金額と年収(利益)・月収は以下の通りです。
- 原価:221万9千776円
- 出店料:101万5千40円
- バイト人件費:83万2千円
- その他雑費:101万5千40円
—
- 年収(利益):506万8千544円(年間売上金額-原価-出店料-バイト人件費-その他雑費)
- 月収:42万2千379円
実際の経費金額は、試算の数字とはズレると考えられますが、クレープのみを扱うキッチンカーで、年収506万円(月収42万円)を稼げる可能性があります。今回の設定以上に客単価・来客数を確保できれば、売上金額・利益(年収・月収)ともにより大きな金額を稼ぐことも可能です。メニューを限定せず、キッチンカー事業者の年収は次の記事で詳しくお伝えしています。
» キッチンカー事業者のリアルな年収・月収と売上・収入・利益率アップのコツ10選
キッチンカーをクレープ販売で儲かるコツ4選
クレープ販売のキッチンカーで成功するためには、クレープの特性を理解した上で、その魅力を最大限に発揮することが必要です。成功に向けてやるべき4種類のコツを解説します。
1.クレープ生地とトッピングの原料にこだわる
キッチンカーで販売するメニューは美味しいことはもちろん、原料にこだわった上で、その魅力を分かりやすく伝えることが求められます。クレープの場合は、生地とトッピングの両方で商品のウリを作り出せます。
生地の場合は、原料に国産小麦粉や米粉を使ったり、食紅を生地の原料に混ぜてピンクのクレープを提供したりすれば、簡単に競合相手と差別化が可能です。トッピングの場合は、フルーツを出店場所の地元産のものを使う、動物やキャラクターのデコレーションをすることで差別化できます。こうしたこだわりポイントは看板・タペストリーなどでしっかりと伝えましょう。
2.客層を意識したキッチンカーの外装にする
クレープを販売するキッチンカーの客層の中心は子どもや若い女性なので、こうした層の興味を引くかわいい見た目の外装をキッチンカーには施したいところです。具体的には、ピンク・黄色・パステルカラーを使うのがおすすめです。
車体そのものをこれらの色で塗装できるのが理想ですが、塗装に数十万円はかかります。初期費用の予算が限られる場合は、のぼり・タペストリー・看板などをこれらの色をベースに作成することをおすすめします。
3.写真映えのするクレープを提供する
クレープの見た目が良ければ、購入してくれた人がInstagramなどのSNSに投稿してくれる可能性が高まります。見た目を良くするためには、フルーツの色使いがかわいい・圧倒的な量をトッピングしているなどの工夫が考えられます。生クリームとフルーツの組み合わせを上手く使って、写真映えのする商品を提供しましょう。
SNSの投稿から新しいお客様を獲得するためには、毎週決まった曜日に決まった場所に出店することをおすすめします。いくら商品が魅力的でも、いつどこで購入できるものか分からなければ、ずっとその情報を追い続ける人はまれでしょう。
「○○ちゃんがインスタに投稿したクレープかわいい!毎週△△に出店しているなら、来週行ってみよう!」くらい行動までのハードルを下げる意識が求められます。
4.キッチンカー運営の基本を徹底する
キッチンカー事業を成功させるためには、メニューを問わずにやるべき運営の基本を徹底することが欠かせません。特に「出店場所の継続的な確保」「通りかかった人を呼び込む外装」の二つは最優先で取り組む必要があります。出店場所を確保することの重要性は、すでにお伝えした通りです。
キッチンカーの来客数を増やすためには、人が集まる場所に出店し、自分の店舗の前を通った人を1人でも多くキッチンカーに呼び込まなければなりません。そのために必要なことは、キッチンカーそのものの塗装やのぼり・看板・タペストリーなどを使って、クレープを販売していることとクレープが魅力にあふれることが、一目で伝わることです。
パッと見たときに興味を持ってもらえないと、自分のお客様にすることは難しいでしょう。出店場所の確保と外装の工夫以外にキッチンカー運営でやるべき基本については、下記の記事で詳しく解説しています。
クレープキッチンカーの先輩を一挙紹介
国内最大手のキッチンカー製作会社である株式会社フードトラックカンパニーでは、さまざまなお客様にクレープ販売用キッチンカーを販売してきました。
ボンビーガールに出演されたさやか(さやマリー)様やクレープで有名なマリオンクレープ様にも購入いただきました。これからクレープのキッチンカーを始めたい人には参考になると思いますのでぜひご覧ください。
- ボンビーガール出演!東京都のさやか(さやマリー)様の「クレープ」のキッチンカーを製作させていただきました
- 神奈川県横浜市の「京浜商事株式会社様」の「マリオンクレープ」キッチンカーを製作しました。
- 埼玉県川口市の「パレット」様のキッチンカーを製作させていただきました。
- 大阪府大阪市の片田様の「クレープ」キッチンカーを製作しました。
- 大阪府茨木市の番匠谷様の「クレープ」キッチンカーを製作しました。
- 千葉県我孫子市の高旗様の「クレープ」のキッチンカーを製作しました。
まとめ
キッチンカーでクレープを販売することには、さまざまなメリットとデメリットの両方があります。メリットをいかしながらデメリットを補うことができれば、年間で1,000万円の売り上げと500万円の年収を獲得する可能性が十分にあります。
開業に向けて必要な資格は他のメニューと同様に運転免許証と食品衛生責任者資格のみで、保健所から飲食店営業の許可を取得できれば誰でも開業可能です。成功するためには、キッチンカー運営に一般的に求められる基本に加えて、クレープの主な客層である子どもや若い女性に受け入れられる工夫が欠かせません。
開業に向けてさらに学びたい人には全国各地のセミナー会場とオンラインで行われる株式会社フードトラックカンパニーの無料開業セミナーがおすすめです。私自身もこのセミナーで学んだことを実際のキッチンカー運営にいかしてきたので、自信をもっておすすめできます。