こんにちは!元クレープキッチンカーオーナーのMintです。
この記事では私のキッチンカー営業の経験をもとに、クレープ販売に必要なクレープ焼き機や道具について解説いたします。
キッチンカーでクレープを販売してみたいと思ったものの、
- 「どんなクレープ焼き機を選べばいいの?」
- 「カセットコンロでクレープの生地焼ける?」
- 「トンボにいろんな種類がありすぎて選べない。」
- 「100均で手軽に道具を買うことはできる?」
- 「鉄板の大きさはどれくらいが最適?」
と疑問でいっぱいになっていませんか?
そこでこの記事ではクレープ調理の道具選びにまつわる不安や疑問を解消していただけるよう、「クレープ販売歴10年の経験」をもとに解説していきます。
安心してクレープの道具をそろえていただくために有益な情報になると思いますので、是非最後まで読んでみてください☆
目次
キッチンカーに最適なクレープ焼き機3種類と選ぶポイント
早速クレープの調理に必要なクレープ焼き機について解説していきます。
具体的なおすすめ品もご紹介しますが、そのまえにクレープ焼き機を選ぶ際に気を付けるべき共通のポイントがありますので、まずはそちらから解説しますね。
ポイントその1:鉄板は厚みがあるものを選ぶこと
まず商品としてクレープを販売する場合、鉄板の厚さは最低でも6mm、できれば9mmのものを選びましょう。
鉄板の厚みは温度の安定につながり、一度上がった温度が冷めにくくなります。
クレープを大量に焼くために重要なポイントなので覚えておきましょう。
ポイントその2:最適な直径を選ぶこと
またキッチンカー営業で販売するクレープ生地の直径について考えたことはあるでしょうか?
商品として販売されるクレープは、おおよそ400mm程度である場合が多いです。
クレープ焼き機や専用の鉄板の直径は、340mm・360mm・400mm・410mmと各種販売されています。
家庭で使用する場合はコンロに合わせて小さい直径のほうがおすすめですが、商品として販売するクレープの場合、最低でも直径360mmの生地であるべきです。
それよりも小さいと家庭で食べるような小さなクレープになってしまいます。
直径の小さな鉄板を選んでしまうと、後から後悔してもそれ以上大きく焼くことができませんので注意が必要です。
逆にもっと大きく焼く予定の方は410mmでもOK。
ただし相当大きなクレープ生地になりますので、トッピングの量や包装紙やテイクアウト用の袋など、すべてのサイズを大きくする必要があります。
当然クレープ1個当たりの原価も経費も上がることになりますので、そこは販売価格と利益のバランスをみて検討してみてください。
ガス式クレープ焼き機の特徴とおすすめ品
鉄板選びのポイントを踏まえたうえで、クレープ焼き機の特徴とおすすめ品について見ていきましょう。
キッチンカーで使われるクレープ焼き機は、
- 電気クレープ焼き機
- ガスクレープ焼き機
- カセットコンロ+鉄板
の3種類ありますので、まずガス式クレープ焼き機から順に解説します。
ガスクレープ焼き機のメリットはなんといっても火力が強く、軽くふんわり焼くことができる点です。
また電源を確保できない場所でも調理が可能になる点は、キッチンカー営業においては非常に大きなメリットとなります。
ガスクレープ焼き機のデメリットとおすすめの使い方

いっぽうで温度調整が手動になるため、常に気を配っておかないと温度の上がりすぎや下がりすぎにつながるという大きなデメリットがあります。
本当に注意して火加減していないとあっという間に温度が上がり、煙が立ちます。
逆に強風で火が消えて、気が付いたら温度が大きく下がっていることもありました。
また火加減の見極めが難しく、焼き上げに適切な温度になっているかの判断ができるようになるまで時間がかかる点もデメリットだと思います。
【体験談:ガスクレープ焼き機が暑すぎる件と対処法】
さらに一番私がストレスだったのが、ガス火で車内が相当な温度になってしまうことでした。
ガスクレープ焼き機の前に立っているだけでも暑いのですが、その熱気がキッチンカーの天井部分にたまるので、首から上がずっと暑くてのぼせてしまいます。
換気扇回してもその暑さはあまり変わりません。
温暖化の影響で年々気温の高い日が増えていて、ガス調理だと4月からすでに暑いです。
そこから10月くらいまで、12カ月のうち実に7カ月ほどは暑くて不快に感じる営業になるのではと思います。
そこで私は少しでも快適に仕事がしたいという思いから、ほぼすべての現場で電気クレープ焼き機を使用。
どうしても電源が使えない場合のみガスクレープ焼き機を使うという風に、現場によって使い分けをしていました。
逆に冬は寒いので、あえてガスクレープ焼き機を使って調理と暖房を兼ねた使い方もやってました。
このように、もしも予算に余裕がある方はクレープ焼き機の2台持ちというのも検討の余地アリだと思います。
ガスクレープ焼き機にはメリットもデメリットもあります。
その点も踏まえつつ、購入される場合は下記の2種類から選んで購入しましょう。
①鋳物コンロ+クレープ専用鉄板を組み合わせる方法

鋳物コンロ:業務用鋳物三重ガスコンロセットTS-330 LPG(プロパンガス)
クレープ用鉄板:クレープ 鉄板 サイズ 選べる 厚み 6mm 直径 40cm
鋳物コンロとは業務用のガスバーナーのことです。
ガスバーナーと鉄板を別々に購入して組み合わせて使います。
私がクレープの販売を始めた当初は、この方法でクレープを焼き始めました。
このセットであれば費用が最も安価に抑えられることからこちらを選んだものの、キッチンカーでの走行中にコンロと鉄板が大きくズレるという点で非常に不便でした。
また鋳物コンロの細かな凹凸に生地が付いてしまうと掃除が大変ですし、見た目の観点でも不衛生で野暮ったく見えてしまうので個人的にはおすすめしません。
ガス式を購入する場合は、次にご紹介する業務用のガス式クレープ焼き機をご検討ください。
【鋳物コンロの注意点】
もしも鋳物コンロをクレープ調理用に購入する場合、ガス火が3重になって出る「3重コンロ」を選びましょう。
クレープの鉄板は直径が大きいので、1重や2重のコンロでは鉄板の外側まで加熱することができず、クレープ生地の真ん中だけ焼き色が付いたクレープ生地になってしまいます。
これでは売り物として低品質な生地になってしまいますので、必ず3重コンロを選ぶようにしましょう。
コンロと鉄板一体型のガスクレープ焼き機
ガス式クレープ焼き機:千田オリジナル ガス式クレープ焼き機 SGC-400
キッチンカーでガス式クレープ焼き機を使うなら、高くてもこのような業務用クレープ焼き機を選ぶことをおすすめします。
このタイプであれば先に触れたようなデメリットは全て解消されるでしょう。
ガスには種類がある点に注意しよう!
ところで前述のガスクレープ焼き機を使うには、別途プロパンガスボンベを契約する必要があります。
ガスには都市ガスとプロパンガスの2種類がありますが、キッチンカーで使うガスはプロパンガスのほうです。
またガスクレープ焼き機器は「プロパンガス(LPG)専用」と「都市ガス専用」など、使えるガスの種類が決まっているものがあります。
ガスクレープ焼き機を選ぶ際は、この点にも注意して選ぶようにしましょう。
電気クレープ焼き機の特徴とおすすめ品

2つ目の電気クレープ焼き機は、私が「使いやすさ」という点で最もキッチンカーにおすすめできると考えるクレープ焼き機です。
実際に私が使っていた電気クレープ焼き機は下記のもので、鉄板の直径は360mmです。
電気クレープ焼き機:ニチワ電気クレープ焼器 CM-360
直径360mmですが、「クレープが小さい」というクレームを受けたことは10年の営業で一度もありませんし、これから開業する方にも安心しておすすめできる商品だと思います。
電気クレープ焼き機のメリットとデメリット
電気クレープ焼き機のメリットとしては、手動による温度調整が必要なくなり、自動で温度が保たれる点です。
放置していても、温度が上がりすぎる・下がりすぎるというトラブルがなく、業務用としては非常に優れていると感じます。
一方デメリットとしては、電源がない場所では使用できない点です。
キッチンカーは店舗営業と違い、各現場によって電源事情が違うため必ずしもどんな現場でも電源が使えるわけではないという難しさがあります。
クレープの調理用に電源を確保する方法
クレープに限らず、キッチンカー営業において電源を確保する方法としては下記4つが挙げられます。
- 現地調達(有料)
- 発電機
- ポータブル電源
- サブバッテリー
各現場で電源を借りる方法が最も安定して使える方法ではあるものの、電源がない場合に備えて他の対策をとっているオーナーもいらっしゃいます。
電源確保の方法については下記の記事で詳しく解説しましたので必ず読んでおいてください。
【プロ監修】キッチンカーの電源を完全網羅!
発電容量と実用性で選ぶ発電設備
カセットコンロを使ってクレープを焼く方法
3つ目はカセットコンロを使う方法のご紹介です。
カセットガスコンロを使った調理では下記のような器具が使用されます。
カセットガスコンロ:UNIFLAME テーブルトップバーナー US-D2
クレープ用鉄板:クレープ 鉄板 サイズ 選べる 厚み 6mm 直径 40cm
ガスコンロとクレープ用鉄板を組み合わせで使用。
手軽に入手できますので、練習用としては安価で最適だとおもいます。
またランニングコストの比較においても、プロパンガスよりもカセットガスのほうがやや安くなる結果(下記参照)が出ていてその点もメリットです。
【5時間営業(1口・強火)の燃料コスト比較】
※2025年9月執筆時点
- カセットガス:約5本使用 → ¥1,000〜¥1,750
- プロパンガス:1.2〜1.6kg使用 → ¥1,200〜¥2,970
カセットコンロのデメリット①|火力が弱く焼き色が局所的

ただしこの方法はクレープを商品として販売するうえで、デメリットが大きいと感じています。
【火力が局所的で弱いことの問題点】
前述のとおりクレープの鉄板は直径が大きいため、外側まで熱源があることが必要です。
ですがカセットコンロは真ん中にしか熱源がないため、生地の真ん中10㎝程の部分にだけ焼き色が付いたクレープ生地が出来上がります。
生地の端まで均一な焼き色を付けることは不可能です。
さらに焼き色が付いた部分は細かな気泡を含んだふんわりした食感に焼きあがるのに対し、生地外周の温度が低い部分は気泡が入らないベトッとした仕上がりになりがちです。
このような仕上がりになるということを理解したうえで、各自ご判断いただきたいポイントです。
カセットコンロのデメリット②|カセットボンベの頻繁な交換
またカセットボンベの頻繁な交換が必要な点もデメリットです。
カセットボンベは強火で使用し続けた場合、連続使用時間(持ち時間)は1時間程度。
イベントの大量販売でどれだけ忙しくても、1時間ごとにボンベを交換する作業が発生するということも覚えておきましょう。
カセットコンロのデメリット③|カセットボンベの安全面
またカセットコンロは、クレープの鉄板のような大きなものを加熱する前提で作られていません。
そのためカセットボンベと熱源との距離が近く、安全面でも非常に心配です。
夏場の暑い時期はさらに危険性が増しますのでご注意ください。
クレープの調理用トンボ・レードル・スパテラなどの選び方

では最後に、クレープの調理に必要なトンボ・レードル・スパテラなど必要な道具とその選び方を解説してこの記事の解説を終えたいと思います。
トンボの選び方と種類&おすすめ品
トンボはクレープの生地を焼き広げるときに使う道具です。
T字スティック・クレープスプレッダーなど、呼び方もさまざまあるようですが、ここでは「トンボ」として解説していきます。
トンボの種類は主に竹製・木製・ステンレス製の3種類です。
この中でどれを使っても生地はちゃんと焼けますが、私が重視しているポイントは「トンボに適度な重みがあること」です。
軽すぎるトンボは生地が分厚く焼きあがる原因になります。
プロが焼いた生地と家庭で作った生地は大きさももちろん違うのですが、それ以上に生地の薄さに大きな違いがあると感じています。
薄くふんわり焼き上げた生地は繊細な食感を生み出し、その食感の違いが「クレープ屋さんのクレープが食べたい」という欲求につながりますので、あなどれないポイントです。
その点で私が使っていた下記のような角形のトンボは、適度な重みがあっておすすめできると思います。
角型トンボ:クレープトンボ 角 / 1個【 富澤商店 公式 】
また適度な重みがあると、トンボをより早く回すことができます。
生地が分厚く焼き付いてしまう前に素早く生地を外側に広げることができる点でも、角型のトンボはおすすめです。
さらにトンボを早く回せるということは、生地を焼きあげるスピードアップにもつながり調理効率が上がります。
大量販売するうえで調理スピードを上げることも重要なポイントになるので覚えておきましょう。
逆に私が使いにくいと感じたのが下記の丸型の木製のトンボです。
(あくまで個人の使用感です。)
丸型トンボ:木製クレープトンボ 丸TAKAGI
この形はいろんなクレープ屋さんで使われているので十分おすすめできると思うのですが、私の使用感としてはもう少し重みが欲しかったです。
(使われる木材の種類が角型と違うのでしょうか・・?)
もしこのトンボをお使いの方でうまく生地が焼けないという方は、いったん他のトンボに変えてみてもいいかもしれません。
また最近は下記のようなステンレス製のトンボも販売されています。
ステンレス製トンボ:UK クレープトンボ 00317137
竹製も木製も上手く管理しないとカビが生えやすいですし、消毒ができません。
ステンレス製は見た目にも清潔感があって衛生的である点でおすすめです。
レードルの選び方とおすすめ品|生地1杯は何cc?
次にレードルのおすすめ品のご紹介です。
私は下記のようなレードルを使っていました。
私が焼いていた生地1杯分は80㏄です。
おかずクレープの場合は100㏄にしてあえて分厚い生地にすることで、満腹感の高い生地になるよう工夫をしていました。
レードル:18-8スープレードル 80cc
「家庭で使用するお玉でもいいんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、レードルは1杯分の生地量が明確に分かるので原価管理をする上でも必須アイテムです。
またお玉はカップが浅く、一度にたくさんの液体をすくう作業には向いていません。
さらに生地がこぼれる原因になもなるので、かならず業務用のレードルを購入しましょう。
スパテラの選び方とおすすめ品
次にスパテラのご紹介です。
私が使っていたスパテラは下記の商品です。
スパテラ:堺孝行 ローズ柄 スパテル 12インチ
スパテラは「とにかく長いものが安心」だと思われがちですが、無駄に長いとかえって扱いにくくて作業効率が落ちます。
私は直径360㎜の鉄板で生地を焼いていましたが、上記のスパテラで快適に作業できていましたので一つの判断基準としてご活用ください。
クレープ生地を混ぜるミキサーはどうする?
クレープ生地を混ぜるときに使うミキサーとして私が使っていたのは下記商品です。
ハンドミキサー:クイジナート スマートパワハンドミキサー HM-50J
営業していた当時は1回で約200枚分(約16L)の仕込みをすることも何度もありましたが、それでもハンドミキサーだけで1回で生地を作っていました。
ほかに卓上タイプのスタンドミキサーで作っている方もいらっしゃいます。
スタンドミキサー:スタンドミキサー 8L
ただしこのタイプの場合は1回にできる仕込みの量が限定されます。
例えば上記商品(8L)では、1枚80㏄の生地を1回で作ることができるのは100枚分まで。
それ以上生地が必要な場合は生地の仕込みを何回かに分けて行う必要があり、相当な時間ロスです。
また上記商品で価格が3万円台と設備費用も高額になるため、汎用性が高くて価格の安いハンドミキサーのほうがキッチンカーにはおすすめだと思います。
100均(ダイソーやセリア)でも買える生地を入れる容器
ここまで解説してきた通りクレープを商品として販売するためには、業務用の道具を買いそろえ、効率の良い調理販売を行うことが非常に重要です。
ただし生地を入れる容器や、各種トッピングを保管するプラスチック容器などは私も100均のものをたくさん使っていました。
またトンボを水につけておくための容器も、100均のプラスチック容器でした。
このように100均で対応可能なものもいくつかありますのでそれらを活用しつつ、少しでも開業費用を抑える工夫をしてみてください。
ヤフオクやメルカリでも中古品として安く販売されていることがあるので、それらを活用することも方法の一つです☆