日本で販売されるようになってから、もうすぐ70年を迎えようとしているソフトクリーム。老若男女を問わず人気なスイーツですが、実はソフトクリームという呼び名は日本でつけられた、なんてことは意外と知られてないかもしれませんね。とはいえ、人気があることは間違いなく、カフェメニューや道の駅などでよく見かけます。今回はキッチンカー(移動販売)でソフトクリームを安全に販売する方法をお伝えします。
目次
ソフトクリームの製法は2種類!特徴を解説
街中でよく見かけるソフトクリームには、大きく分けて二つの製法があります。
一つ目は「ソフトクリームフリーザー」と呼ばれる機械に液体原料を投入し、レバーを操作して絞り出す製法です。オリジナルの味はもちろん、販売されているさまざまなフレーバーのソフトクリームミックス(液状またはパウダー状)を使うことも選べます。
二つ目は「カセット抽出器」(販売元によって名称は異なる)です。アイスが充填されたカップを機械にセットして押し出すタイプのもので、ジャンルは「ソフトクリーム」ではく「ソフトアイス」です。
「カセット抽出器」を導入する場合は、「ソフトクリームフリーザー」を導入する場合と比較して、初期費用が1/3以下であること、ロス率0%であることが非常に魅力です。フレーバーは30種類以上あるので、さまざまな味を楽しめるのもよいですね。その一方でソフトクリームに比べて「食感」が劣り、利益率も低めです。
キッチンカーで販売できるソフトクリームは限られる
2種類の製法のうち、味や利益率では「ソフトクリームフリーザー」に軍配が上がりますが、キッチンカーでの販売ならではの問題があります。
多くの保健所では「ソフトクリームフリーザー」によるキッチンカーでの販売に営業許可が下りません。
- 過去に食中毒・赤痢などの流行あった
- 乳製品かつ非加熱食品なので、製造時に取り扱いを誤ると菌が増殖しやすい
- 乳製品で基本的に消費期限の無いアイスクリーム類はそれゆえに長時間保存することにもなる
などの理由で衛生基準が非常に厳しくなっていることが営業許可が下りない原因です。
機器の進化により販売許可の範囲が広がる可能性あり
現在も許可が下りにくい状況は変わりませんが、現在のソフトクリームフリーザーはほぼ全てが加熱殺菌機能を備えているので、今後はソフトクリームの移動販売の許可が下りやすくなる可能性はあります。
「アイスクリーム類製造業にあっては、市販の液状ソフトクリームミックスを原料とする自動加熱殺菌機能付ソフトクリーム製造機を使用したソフトクリームに限る。」(大阪府)のように自治体によっては条件を満たせば販売を許可される場合もあるので、まずは管轄の保健所に問い合わせてみましょう。
冷凍庫などの冷却装置を中心に厨房設備を決める
キッチンカーでソフトクリームを移動販売するにあたって一番大事なのは、お客様にソフトクリームを提供する環境作りです。常温で提供できる商品ではないので、冷凍庫などの冷却装置を揃えることから始まります。容量の大きい冷蔵庫・冷凍庫は、かなりの重量とスペースを必要とするので、キッチンカーの車種決めるより先に冷却装置をいくつかピックアップして、それに合わせてキッチンカーのサイズ・厨房設備の配置を決めるのもおすすめです。
ソフトクリームの特性を考えると、冷却装置は最重要厨房設備の一つなので、事業計画・出店予定などと照らし合わせて条件に合ったものをしっかり見極めましょう。
キッチンカーの購入はいつ?費用は?何から始めればいい?
キッチンカーでソフトクリームの移動販売を始めよう!!と決心したのはいいけれどまず何から?キッチンカーを見学に行く?それとも法的なルールを確認する?とお悩みの方も多いかもしれません。
まずは、法的に必要な手続き確認することから始めることをおすすめします。なぜなら、キッチンカーは施設であるため、公衆衛生上規定が定められているからです。どんなに素晴らしい動線が確保できる車内であっても、調理するために考え抜かれた設備であっても、法律が定めるルールに準じていなければ営業許可はおりません。
キッチンカーの営業許可は営業をしようと考えている地域を管轄する保健所で取得できるので、まずは保健所へ行き営業に必要な設備を確認しつつ、職員さんに相談することから始めるのがよいでしょう。
キッチンカー専門製作会社の中には、営業許可取得の申請代行を行ってくれるところがあります。また製作実績がしっかりしている会社なら、申請の相談を受けてくれるところがあるかもしれないので、キッチンカー専門の製作会社に問い合わせるのもおすすめです。
実際にキッチンカーを開業するまでにやるべきことや必要な手続きについては、「 キッチンカー・移動販売を開業する11step!(完全保存版)」にまとめたのでご覧ください。
ドリンクメニューやサイドメニューを考える
子どもも大人も大好きなソフトクリームですが、大きな問題が一つあります。それは季節によって売れ行きが上下するということです。夏はまさに入れ食い状態かもしれませんが、冬は満足できる売り上げを達成するのはかなりむずかしいでしょう。
こうした事態への対応策として、寒いときでも売れるサイドメニューを販売ラインナップに加えておきましょう。おすすめは、たい焼き・ワッフル・クレープなど粉もののスイーツです。小麦粉が主原料のメニューは原価が安いので利益が出やすい特徴があります。複数種類のスイーツを販売するのもよいでしょう。
サイドメニューとしては、ホットドリンクもおすすめです。アフォガードのようにコーヒーやエスプレッソをソフトクリームにかけてみたり、ココアや珈琲の上にトッピングとして乗せてみたりするのも喜ばれそうです。
毎月同じ売り上げを出すことはとても困難です。日々の売り上げに一喜一憂しないためにも年単位など長期の売り上げ目標を作って営業することをおすすめします。
開業前にはSNSで集客すればスムーズに開業に臨める
キッチンカーなどの移動販売に欠かせないのが「リピーターとなるお客様を集める」ための施策です。集客率を向上させるために、SNSを活用しましょう。Facebookページを土台に写真や情報を集め、拡散はTwitterやInstagramを利用することをおすすめします。
SNSで情報発信するなら欠かせないのが、高い更新頻度を保つことです。ちょっとした写真でもよいので、出店日には必ず投稿するなど継続することを常に意識しましょう。
まとめ
キッチンカーでソフトクリームを販売する場合には、製法による制限を受ける可能性が高いので、出店予定地域で認められれてる製法についての情報収集が欠かせません。出店に関するルールについては、保健所に確認するのが一番です。キッチンカー製作会社の中には、保健所への申請を代行してくれるところもあるので、自分でやる自信がない場合には、このような会社を利用するのもよいでしょう。
ソフトクリームは商品の特性上、季節によって売り上げが大きく変わるので、売り上げが落ち込む冬への対策も欠かせません。集客については各種SNSを使ったこまめな投稿がおすすめです。
ソフトクリームに限らず、キッチンカー開業全体について学びたい人には、株式会社フードトラックカンパニーが開催するキッチンカー開業セミナーがおすすめです。セミナー後にはキッチンカーの見学もできるので、自分が出店したときの様子をより具体的にイメージすることが可能です。