「着飾る恋には理由があって」のドラマ効果でキッチンカーが注目されています。
株式会社フードトラックカンパニーの公式の立場ではドラマのキッチンカー協力と監修をさせていただいていますが、いち視聴者の立場＆キッチンカーの専門家の立場で、ドラマのキッチンカー経営者の藤野駿くんの魅力について考察していきます。
藤野駿くんがお仕事をしているキッチンカーのことをみなさんも身近に感じていただけたら嬉しいです。
※ストーリーや人物設定など、ドラマの予備知識はぜひテレビ放送や公式サイトなどでご確認ください。
藤野駿くんがキッチンカーFuji Balのために取得した営業許可
藤野駿くんがキッチンカーの出店をしたいと考えた場合、キッチンカーを用意すればOK……ではなくて飲食店舗と同じように「自動車用の営業許可」を取得する必要があります。今回は、その営業許可について解説していくことで、藤野駿くんとキッチンカーFuji Balの営業がどんな一日なのか？まで考察してみたいと思います。
▲厨房越しの藤野駿くん（横浜流星さん）(C)TBS
- 営業許可どんな申請？
この営業許可は、管轄の保健所に申請することでキッチンカー設備の検査や調理内容の説明を経た上で、与えられます。「飲食店営業」という種類で申請費用はおよそ18000円くらい。1回の申請で営業許可は5年間有効です。 - どこに申請？
舞台は表参道ですので、藤野駿くんは東京都内のいずれかの保健所……ドラマの設定上だと渋谷区保健所か、港区のみなと保健所で、営業許可を取得したはずです。 - どこで営業できる？
東京都の営業許可を取得している藤野駿くんは、現行の法律のルールだと東京都内のどこでも営業することができます。
第3話ではFuji Balに乗ってキャンプに出かけますが、東京の営業許可では山梨県でのキッチンカー営業はできません。
ちなみにキッチンカーの自家用使用（ドライブや同居人に料理するとか）も問題ありません。今夜も、Fuji Bal車が大活躍‼️#着飾る恋#川口春奈#横浜流星#tbs #火曜ドラマ#第3話今夜10時#ラブリーチューズデイ pic.twitter.com/md8gtvH6q6
— 【公式】『着飾る恋には理由があって』TBS火曜ドラマ (@kikazarukoi_tbs) May 4, 2021
- どんなことができる？
さて、ドラマ放送開始の2021年4月20日時点では、藤野駿くんのカレーは「自動車用の営業許可」だけではじつは販売することができません。
キッチンカーの中で、カレーを煮込んだり、温めたり、盛り付けたりはできるのですが、Fuji Balのスペイン風カレーのような海老やお野菜をカットしたり、スパイスを混ぜ合わせる本格的な調理行為はキッチンカーの中だけではできず「仕込み場所」という、これまた別に保健所の許可を得た厨房が必要になります（2021年6月から法律が変わって仕込み調理もキッチンカーの中でできるようになります）。
ルームシェアをしている5人が朝食を作っているキッチンとは別に、さらにその奥には藤野駿くんが見事な調理をしてみせた業務用厨房がありました。まさにその厨房こそがFuji Balの「仕込み場所」。（長くなるので仕込み場所の解説は別の考察で解説したいと思います）#ラブリーチューズデイ 💗
今日の駿のお料理はなんでしょうか😆✨
お腹すくこと間違いなしです！#着飾る恋には理由があって#着飾る恋 #横浜流星#tbs #火曜ドラマ#第2話今夜10時 pic.twitter.com/09aUqGIAbk— 【公式】『着飾る恋には理由があって』TBS火曜ドラマ (@kikazarukoi_tbs) April 27, 2021
朝、早起きしたら藤野駿くんの料理姿を拝める
取得している営業許可の内容や、Fuji Balの設備などの分かるここまでの情報から、藤野駿くんが普段どんなスケジュールでキッチンカーを運営しているか予想をすることができます（裏側のお話なのでドラマにも出てこないはず！）。ご紹介していきましょう。
朝5時〜6時ごろ
ルームシェアのマンションにある仕込みの厨房で、下ごしらえを始めます。食材は前日のうちに仕入れてきたものがほとんどです。その日の提供する食数によっては時間がかかるのでさらに早起きするかもしれません（前日のうちに仕込み作業を済ませる人もいます）。
朝8時ごろ
8時ごろまでには特製カレーの完成。フタをして粗熱がだいたい取れたら仕込み厨房にある業務用冷蔵庫にしまいます。そこから改めて朝食や出発の身支度。
その日の出店場所が渋谷キャストのように表参道から近い場所だとちょっとゆっくりできますね。
（考察）藤野駿くんは超優秀なキッチンカー経営者
9時半ごろ
およそ、11時すぎごろからFuji Balをオープンできるように、10時には現地に到着したいところ。余裕を持って9時半を回ったら出発します。
10時前後
現地到着。一旦キッチンカーから降りて、キッチンカーを出店位置に駐車する前に、先にグレーシートと呼ばれる地面を汚さないようにするためのシートを敷きます。そして駐車してからタイヤ止めで固定。最初にするのはビルからキッチンカーに電気を引き込ませてもらう作業です。
10時すぎ
出店場所では、いっしょに出店する他のキッチンカーの方や、ビルの方に「今日はよろしくお願いします」のごあいさつ。タイミングで後になっちゃうこともあります。その後、オープンの準備をしていきます。
最初に木製の椅子や、収納ボックス、発電機などの大物をキッチンカーの外に出してから、キッチンカー内をもう一度アルコールで拭き掃除。
つぎに手洗いをした後、小型コンロやお鍋や包装容器、小物をじっさいにオペレーションしやすいように並べていきます。Fuji Balは、現地に到着してからビール瓶をディスプレイ的に並べるという藤野駿くんのこだわりがあるので他のキッチンカーよりちょっと時間がかかるはずです笑
11時ごろ
作ってきたカレーをいきなりすべて温めたりはしません。最初はスローペースですが、ちょっと早めに来店するお客さんもいるので、時間帯ごとに予想される提供ペースに量を合わせて温めていきます。準備は大鍋というか寸胴を使って、仕上げには小鍋を使います。準備ができたらいよいよオープン！
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12時
お昼休憩に入ったら一気にお客さんが来店します。注文を受け付けてから最終調理工程の加熱と盛り付けをおこない、料理を提供していきます。ランチ待ちのお客さんがFuji Balの前にどんどん列を作っていきます。藤野駿くんはワンオペなのでお会計もテキパキとこなしていかないと大変です。
渋谷キャストで営業しているFuji Balはもう最後のお客さんまで休む間もなく手を動かし続けます。
13時半〜14時ごろ
……と言いたいところですが、Fuji Balは普段から売切れする人気キッチンカーのようですので、何時頃に閉店するかはわかりませんが、だいたいこれくらいの時間になるとランチ客の波も少しずつひいていきます。
ここでようやく一呼吸。
閉店後
開店と逆の手順で片付け。
その日の売上を、出店場所の仲介業者さんに報告するのですがスマホを持っていない藤野駿くんは、ちょっとどうやっているかわかりません笑 シェアハウスに返ってから電話やメールで連絡しているようです（たぶん）。
第2話で、真柴くるみさんに「まだ間に合うかも！」と海老を食べに誘う藤野駿くんが、慌てて椅子を片付けをするシーンがあります。しかしこのシーン、先に小物を片付けないのでこのままだとキッチンカーは走れず、小物の片付けを忘れた藤野駿くんは真柴くるみさんを誘おうとして相当慌てていたようです。かわいいシーンですね。
帰宅後
その日使った調理器具を仕込み場所の厨房に持ち帰り、次回に備えてしっかり洗浄します。その日出た排水も仕込み場所の厨房で処理します。キッチンカーで出たゴミも持ち帰って事業ゴミとして処分します。そして最後にFuji Balのお掃除。おつかれさまでした。
仕込み作業を前日にやるか、早朝にやるかでスケジュールも違ってくるのですが、ルームシェアしているお家の仕込み場所の厨房で、朝から藤野駿くんがキッチンカーの準備をしているスケジュールを書いてみました。
プロのキッチンカーの方にとっても仕込みは真剣な作業ですので、藤野駿くんがこの一連の仕込みをしながらキッチンカーの準備をしていたとしたら、見るほうも目を奪われるというか、見惚れてしまう人が続出してしまうでしょうね。
（文・松本竜太 フードトラックカンパニー）
