目次
キッチンカーの副業、週末起業でどのくらい稼げるのか
キッチンカーでの副業、週末起業に興味がある人にとっては、現実的にどの程度稼ぐことができるのかが何より大きな関心事ではないでしょうか。
そこで、1日のなかで最もキッチンカー利用客が多いと見込まれるランチタイム限定での出店を想定し、1日で稼げるであろう利益を算出していきます。このシュミレーションでは、ランチにスポットを当てる以上、デザートになりそうなスイーツ系ではなく、万人受けする主食メニューの代表、カレーライスを例に挙げさせていただきます。
看板カレーを600円、限定カレーは700円、大盛り+100円で価格設定し、それぞれ2:1の割合で売れたと仮定します。また、スパイシーなメニューの性質上、ドリンク(200円と400円の2種類)を同時に購入する消費者も一定の割合見込めるでしょう。尚、営業時間は11時~15時までの4時間です。
以上を踏まえたカレーライスの売上シミュレーションは下記の通り。
11時~ 6杯
12時~ 14杯
13時~ 14杯
14時~ 6杯
1日のカレーの売上は全40杯、大盛りとドリンクの購入者は10人ずつとして計算します。
カレー(600円×28杯、700円×12杯)、ドリンク(200円×5杯、400円×5杯)、大盛り(100円×10杯分)
結果、ランチ営業4時間での売上は、トータル29200円となり時給換算だと7300円です。ただし、売上から差し引かれる経費分は、出店料、食材費、水道光熱費、交通費など諸々込みで売上の50%相当と仮定。そうすると、ランチタイム営業での利益は14600円、時給換算で3650円となります。この売上ペースで、週末起業(月7日出店)を実践したとするなら、一月当たりの儲けは102200円となり副業としては十分な成果でしょう。
もちろん、このシミュレーションは、土日両日ともに安定した集客が見込める立地に居るというのが前提です。現実には、週末に悪天候が偏り客足に大きな影響が出てしまうケースもあるはずです。また、長期的スパンでは、キッチンカー製作費などの設備投資分を回収するという観点も無視できません。事業計画を立てる際には、単に月ごとの営業利益だけではなく、初期コスト回収や移動販売車の維持費も併せて考慮しておく必要があります。
キッチンカーを副業、週末起業として始めるメリット、デメリット
移動販売業態は、副業・週末起業というシチュエーションと非常に相性の良い側面があります。
そのメリットは、まず開業コストを抑えられるという点です。
本来、飲食店開業は店舗の内装工事や厨房設備投資などで1000万円以上は必要というのが相場でした。こうした事情からすれば、副業でわざわざ飲食業を志すなどあまりに非現実的な発想だったのです。
ところが、移動販売なら、キッチンカーの準備を含め初期費用は200万~350万円程度に抑えられ、固定店舗と比べれば明らかに副業として手の届くビジネスであるということがわかります。また、開業後の固定費は、出店料や車両の維持費などがメインですが、固定店舗での家賃支払いに比べれば、むしろ軽度な負担と捉えることができるでしょう。
さらに、出店場所や出店日なども、移動販売車であれば比較的柔軟にアレンジできてしまいます。キッチンカー営業にまだ不慣れな段階なら出店日を土曜に絞るなど、本業の傍ら無理せず副業に取り組むことも可能です。そして、週末の出店先で業績が上がらないと判断したなら、早々に見切りをつけて販売場所を変更するのもそう難しいことではありません。
デメリットとしては、天候の影響を受けやすいというのが第一です。
屋外で営業する以上、天候次第で客足が遠のくばかりか、悪天候で営業を断念せざるを得ないケースもあるかもしれません。また、真夏や真冬は厳しい気温条件の中での営業となり、自分自身の水分補給や防寒対策などは決しておろそかにしてはならないポイントです。
また、やはり天気の事情も関わってきますが、売上の見通しが難しく食材ロスが生じやすいというのもマイナス点です。台風接近などある程度の天候不良が事前に想定できる場合は、あらかじめ営業中止を決めるなど臨機応変な判断も求められてきます。
キッチンカーの副業、週末起業を開始するために必要な準備
キッチンカーの副業・週末起業を始める準備としては、まず開業計画を作成した上で、必要に応じて金融機関から開業資金や運転資金を調達します。次に取り掛かるのが、ビジネスの成否を大きく左右するキッチンカーの準備です。キッチンカー製作は、メインで取り扱うメニューに応じて、軽トラックや1トントラックなど特に適した車種が絞られます。開業後に提供メニューの変更なども可能ですが、車のサイズに応じて導入できる設備やその数は限られるため、メニューの大枠はこの段階で明確に定めておく方が望ましいです。キッチンカーは新規購入して一からデザインする方法以外にも、中古車の購入やレンタルで導入するという選択肢もあります。理想とするキッチンカーのイメージや余裕資金と相談しながら、最適な方法を選んでください。
続いて、飲食業を開業する上で必須となる「食品衛生責任者」の資格(全国共通)と、移動販売車の「営業許可証」をそれぞれ取得する必要があります。営業許可は出店する地域を管轄する保健所に対して申請するため、もし追加で別の保健所が管轄する地域に出店したい場合は、新たに管轄保健所から営業許可を取得しなくてはなりません。保健所ごと営業許可の審査基準は一律ではなく、1万円以上の取得費用もかかることから、開業当初は出店エリアを絞って準備を進めるのが現実的でしょう。
営業許可の種類は、移動販売車の用途によって、食品営業自動車と食品移動自動車に分かれます。前者がいわゆるキッチンカーで、車内に厨房設備を配置し出来立ての調理を顧客に提供するスタイルです。それに対して、後者は、仕込みや調理、盛り付けは別の場所で済ませ、車内では包装された食品の販売行為のみを行うパターンです。さらに、営業許可証の種類は、提供するメニューに応じて喫茶店営業、菓子製造業などさらに細かく分類されています。
キッチンカーの副業、週末起業での注意点とよくある失敗
既に飲食業を経験済みであれば想像に難くありませんが、キッチンカービジネスは実質的な営業時間以外でも仕込みや食材調達など相応な時間や労力が必要です。もちろん、質の高い料理を提供しようとすればする程その傾向は強まります。飲食業未経験の人は軽視しがちですが、自宅で気楽に料理を振る舞うのとは比にならない程の下準備が必要になると留意しておきましょう。
さらに、前述した営業許可取得と関連して、想定以上に申請先の保健所の審査基準が厳しく、キッチンカー仕様や提供メニューなど大幅な変更を余儀なくされてしまうという事例もあります。また、キッチンカー起業を志す人々の中には、日本全国いろいろな場所で自由気ままに営業したいと思い描くケースもあるようですが、実際には管轄保健所ごとの許可が逐一求められるため、全国各地での出店はコスト面を含めても非常に実現困難な戦略です。自身の理想や希望のみを一辺倒に膨らませるのではなく、制度的・法律的な事情もしっかり情報収集するという姿勢も欠如してはいけません。
キッチンカーを副業、週末起業で成功させる方法
キッチンカーの副業や週末起業を成功させる方法は、まず、きちんと利益の上がるメニュー作りを優先させるという点です。
もちろん良質で美味しいメニューを提供する姿勢は常に大切ですが、質にこだわるばかりで原価率が高過ぎてはそもそも持続可能な経営を実現できません。
またランチタイム営業では、一定の時間に顧客が集中的に訪れる状況も十分考えられます。そうした需要を確実に売上へ結びつけるには、商品提供までの時間を短くし、なるべく多くの顧客をさばけるようメニュー内容や提供方法を工夫することが重要です。工夫の仕方はさまざまで、仕込み段階で多くの作業を済ませれば営業時間中の調理工程短縮につながりますし、車内レイアウトや器具の配置を的確にアレンジするだけでもより円滑なオペレーションを確立できます。
次に、いかに好立地の出店場所を確保できるかという点も起業成功の大きなカギを握っています。幸い、最近ではインターネットを駆使して、有力な出店場所を効率良くリサーチすることが可能です。例えば、スペースを貸したい側と借りたい側を結びつける出店場所のマッチングサイトが普及しており、その利用価値はかなり高いです。事実、一個人事業者が大手ビルの所有者などと、スペース利用のために交渉を進めるのは容易いことではありません。マッチングサイトならそうした手間は全て仲介業者に委ねられる上、メニュー重複のないキッチンカーを多数同時出店させるため、必然的に周囲からの注目を集めやすく集客面での効果が抜群です。
一方、イベントやフェスへの出店も短時間で多くの需要が期待できます。どうしても出店希望者の競合が高くなる傾向があるため、常に地域情報に関しては敏感にアンテナを張っておきましょう。SNSなどで同業者との横のつながりを維持しておくことも、有益な情報を入手できるきっかけになるかもしれません。