
「保健所の基準を満たすタンクってどんなもの?」
「自分のキッチンカーに合うタンクが分からない」
「DIYでタンクを設置したいけど、水漏れしないかな?」
こんな疑問を抱えていませんか?キッチカーを営業するには、タンクが必要だと知っていても、どんなタンクを準備すればいいか迷ってしまうケースは多くあります。
![]() | 監修者 キッチンカー開業コンサルタント |
キッチンカー開業を志す方々の夢を形にする専門家。メニュー開発から車両選定、出店計画、開業資金の計画まで、キッチンカー開業に必要な全てをワンストップでサポートします。フードトラックカンパニーの豊富な実績とノウハウを活かし、成功への最短ルートを共に描きます。
この記事では、
- キッチンカーに使うタンクの特徴
- タンク容量とおすすめの選び方
- キッチンカーのタンクを取り付ける方法
- タンクを選ぶときのポイント
をお伝えします。保健所の基準を満たすタンクの選び方や設置方法が分かるようになりますので、ぜひ最後までお読みください。
キッチンカーに使うタンクとは?

※弊社制作の「キッチンボックス350」の給排水タンクの様子
キッチンカーには、給水タンクと排水タンクの設置が必須です。キッチンカーで営業するには、清潔な水の供給と、使用した水の回収が必要になります。キッチンカーに使うタンクについての特徴は、以下のとおりです。
- 給水タンクと排水タンクの2つが必要
- タンク容量は40・80・200リットルの3種類
- 保健所からの営業許可が必須
給水タンクと排水タンクの2つが必要
キッチンカーには家庭のような水道設備が整っていないため、給水タンクと排水タンクの2つを設置する必要があります。給水タンクから水をくみ上げ、調理や手洗いに水を使用したシンクの水は、排水タンクへ流れる仕組みです。
排水タンクにたまった使用した水は、基本的には自宅で捨てる必要があります。自宅以外の場所で許可なく捨てると法律違反になる場合があります。使用済みの排水タンクの水は、自治体が定める方法で適切に捨てましょう。
参考:廃棄物の処理及び清掃に関する法律第25条(e-GOV)
給水タンクと排水タンクの2つがそろって、キッチンカーを営業できます。衛生的な水を使用するためにも、タンクは毎日洗浄するのがおすすめです。
タンク容量は40・80・200リットルの3種類
2021年6月に改正された食品衛生法により、キッチンカーのタンク容量は3種類に全国で統一されました。タンク容量によって、調理可能な工程の数やメニュー数が異なります。具体的には以下のとおりです。
40リットル |
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80リットル |
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200リットル |
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タンクの容量が増えるほど、使える水の量も増え、メニューの幅が広がります。一方でタンクの重量や設置スペースの問題が発生します。自分の理想とするキッチンカーに合わせたタンク容量を決めるのが重要です。
保健所からの営業許可が必須
キッチンカーで食品を扱うには、出店エリアを管轄する保健所からの営業許可が不可欠です。給水タンクと排水タンクを含む衛生設備が保健所の基準を満たしているのかを確認しましょう。
例えば岡山県倉敷市では、以下の設備基準があります。
- シンクは手洗い専用と調理用の2つ用意する
- 手洗い専用の蛇口は手指を触れないものにする
- タンク容量によって調理方法が変わる
参考:岡山県倉敷市保健所
一方で徳島県の基準では給水タンク・排水タンクが40リットルのキッチンカーでは、シンクを手洗い用と調理用で兼用しても問題ありません。
※2025年9月時点の調査結果
参考:徳島県 キッチンカーの営業許可基準について
食品衛生法の改正で全国統一された部分もありますが、細かいルールは自治体により異なる場合があります。出店エリアを管轄する保健所に事前に確認しましょう。下記記事では保健所の審査基準を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
»キッチンカーの内装に必要な3つの役割を徹底解説!保健所の審査基準も公開します!
キッチンカーのタンク容量の選び方

キッチンカーのタンク容量は、40リットル・80リットル・200リットルの3種類から選ぶ必要があります。タンク容量によって、調理工程の数やメニューの幅が変わりますので、目的に合わせたサイズを選ぶことが不可欠です。タンクの容量別に特徴をこれから詳しく紹介します。
- 40リットルのタンク|ドリンクや軽食を販売する人におすすめ
- 80リットルのタンク|メニューの幅を広げたい人におすすめ
- 200リットルのタンク|本格調理をしたい人おすすめ
40リットルのタンク|ドリンクや軽食を販売する人におすすめ

40リットルのタンクは、仕込み不要のシンプルなメニューに適しています。以下の表に40リットルのタンクの特徴をまとめました。
工程数 | 1工程のみ(温める・揚げる・盛り付けるなど) |
販売できるメニュー例 |
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メリット |
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デメリット |
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容量の少ない40リットルのタンクは、調理工程が1工程のみのため、単品メニューのみ販売できます。スペースを確保できれば、40リットルのタンクを設置後に80リットルのタンクへ変更も可能です。
タンクの容量よって、販売できるドリンクも異なります。下記記事ではタンクの容量別にメニュー事例を詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
» キッチンカーの営業許可でドリンク販売が可能!タンク容量に注意!
80リットルのタンク|メニューの幅を広げたい人におすすめ

引用:Momgla 水タンク
80リットルのタンクは、キッチンカーオーナー様に最も選ばれているサイズです。40リットルのタンクに比べ、調理工程の数が増え、軽トラックのキッチンカーでも設置できるため、人気を集めています。具体的には以下の特徴があります。
工程数 | 2工程(焼く・温める・揚げる・盛り付ける) |
販売できるメニュー例 |
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メリット |
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デメリット |
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40リットルと80リットルのタンクで迷ったら、80リットルのタンクを選ぶのがおすすめです。なぜならキッチンカーを営業していくなかで、メニューの幅を広げたくなる可能性があるからです。
例えば大阪府では、野菜・果物を非加熱のまま提供する場合は80リットルのタンクが必要です。
※2025年9月時点の調査結果
フードトラックカンパニーではSLTの100リットルタンクを採用しています。80リットルタンクの条件を満たしていますので、問題なく保健所の許可を取得可能です。

タンク容量によって、同じ食材を扱っていても、メニューの幅は大きく変わります。管轄の保健所によって条件が異なる場合もありますので、事前に確認しましょう。
下記記事ではキッチンカーに必要な設備を解説しています。タンク以外にも保健所からの営業許可で必要な設備を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
»キッチンカーに必要な設備はコレ!営業許可など6種類の用途別に徹底解説
200リットルのタンク|本格調理をしたい人おすすめ

※弊社が開発したキッチンカー専用の200ℓタンク
200リットルのタンクは、複数工程の本格調理や車内での仕込み作業まで可能です。以下の表に200リットルのタンクの特徴をまとめました。
工程数 | 3工程以上(焼く・温める・揚げる・盛り付ける) |
販売できるメニュー例 |
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メリット |
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デメリット |
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200リットルのタンクは、車内で仕込みや調理が求められるメニューを問題なく販売可能です。一方で最もサイズが大きいタンクのため、給水作業やタンクの洗浄などが大きな負担になります。
フードトラックカンパニーでは、200リットルタンクを独自に開発し、フードトラックカンパニーが作ったキッチンカーにのみ搭載しております。
キッチンカーの現場で求められる形状・機能・材質を徹底的に見直し、200リットルサイズでも車内への収まりがよく、給排水の扱いやすいタンクです。ぜひ参考にしてください。
キッチンカーのタンクを取り付ける方法

キッチンカーのタンクを取り付けるには、走行中も動かないよう固定して取り付けることが欠かせません。保健所の基準を満たす必要があるため、自分でタンクを取り付けると、営業許可がもらえない可能性もあります。キッチンカーの給水タンクと排水タンクを設置するには、以下2つの方法があります。
- 自分でタンクを取り付ける
- キッチンカー制作会社でタンクを取り付ける
自分でタンクを取り付ける
自分でキッチンカーのタンクを取り付ける場合でも、保健所の許可を満たすことが欠かせません。なぜなら食品衛生法により設備基準の条件が定められているからです。特に給水タンクと排水タンクは容量・材質・構造まで保健所によって細かいルールがあるので注意が必要です。
例えば和歌山県和歌山市では、材質について衛生的で清潔に保てる構造を条件にしています。
※2025年9月時点の調査結果
具体的な材質は明記されていませんが、水漏れしにくいフタ付きのタンクや、耐久性がある食品用ポリエチレンなどがおすすめです。
キッチンカーのタンクはWebサイトやホームセンターで購入できます。食品衛生法の改正前の旧型タンクも販売されている可能性もあるため、購入前に管轄の保健所に確認すると安心です。走行中にタンクが動かないように固定して設置しましょう。
キッチンカー制作会社でタンクを取り付ける
キッチンカーの専門業者にお願いすれば、トラブルを避け確実にタンクを設置できます。新車のキッチンカーを発注すると、法改正後の最新基準に対応したタンクやシンクを設置できます。以下の人は専門業者に依頼するとおすすめです。
- 初めてキッチンカーを開業する人
- 200リットルなど大型タンクを設置したい人
- 排水処理やポンプの配線工事を任せたい人
- 確実に保健所の営業許可を取得したい人
自分でタンクを取り付けるよりも費用は高くなりますが、保健所の基準を満たしたタンクと設置方法のため安心です。
キッチンカーのタンクを選ぶポイント

キッチンカーを始めるうえで、どんなタンクを選ぶかは重要です。タンクを買い直せば、余分な費用や時間がかかる可能性があります。後悔しないためのタンク選びのポイントは以下のとおりです。
- タンクの設置スペースと重量を考える
- 排水タンクは給水タンクと同等以上のサイズにする
- 保健所の基準を満たしたタンクにする
タンクの設置スペースと重量を考える
タンクの容量が大きくなるほど、タンクの設置スペースは狭くなり、車両の積載量への影響を与えます。特に200リットルのタンクは満水時で約200キログラムの重さになるため、軽トラックサイズでは設置できない場合があります。確認すべきポイントは以下のとおりです。
- 車両の最大積載量はいくつか
- タンクの幅や高さが床に収まるか
給水タンクと排水タンクだけでなく、配線やポンプを含めた設置スペースと重量を考えなければなりません。キッチンカーのタンクの大きさは、キッチンカー車両のサイズと営業スタイルによって異なります。どんなキッチンカー運営をしたいのか考えたうえでタンクの大きさを検討しましょう。
排水タンクは給水タンクと同等以上のサイズにする
排水タンクの容量は調理や手洗いに使用した水がすべて流れ込むため、給水タンクと同容量か、やや大きめのタンクを選ぶのが大切です。理由は以下のとおりです。
- 排水には食材カスや油が混じるため、重量が増える
- 排水タンクの中で泡立ち、満タンを超えることがある
- 排水タンクから汚水があふれると、罰則の対象になる可能性がある
例えば給水タンクの容量を40リットルに選ぶなら、排水タンクは40リットルか、50リットル程度の容量にしておくと安心です。排水タンクの容量不足にならないよう、余裕を持たせたタンクのサイズを選びましょう。
保健所の基準を満たしたタンクにする
キッチンカーのタンク選びでは、管轄の保健所の基準を満たしているかが不可欠です。なぜなら食品衛生法の改正によってタンク容量は統一されましたが、細かなルールは自治体によって異なるからです。
- フタ付きで密閉できる衛生的な構造
- 飲水に適した材質
- 耐久性のある素材
キッチンカーのタンク以外にも、蛇口の形状やシンクの数など保健所によって許可基準が異なる場合があります。購入前に管轄の保健所に相談してから、タンクなどを選ぶのがおすすめです。
下記記事ではキッチンカーの営業許可を取得するまでの方法を解説しています。保健所が見る検査項目についてのチェックポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
»【2025年最新版】キッチンカーの営業許可証取得を申請から4ステップで徹底解説!
まとめ
キッチンカーで営業をおこなうには、給水タンクと排水タンクの設置が不可欠です。2021年の食品衛生法の改正によって、タンクの容量は40リットル・80リットル・200リットルに統一されました。タンクの容量によって提供できるメニューは異なるので、目的に合わせたタンクを選ぶのが欠かせません。
- 40リットルのタンクは、ドリンクや軽食を販売する人におすすめ
- 80リットルのタンクは、メニューの幅を広げたい人におすすめ
- 200リットルのタンクは、本格調理をしたい人おすすめ
使用するタンクは保健所の基準を満たす必要がありますので、事前に管轄の保健所で相談するのがおすすめです。初めての開業で不安な場合は、専門家のアドバイスを受けながら準備を進めると安心です。
フードトラックカンパニーでは、無料のキッチンカー開業セミナーをおこなっています。実際にキッチンカーを見学できたり、キッチンカー経営を学んだりできます。キッチンカーの知識がなくても、分かりやすいセミナーになっていますので、興味のある方はお気軽にご参加ください。
よくある質問
タンクを複数連結して使っても大丈夫ですか?
タンクを複数連結することはできますが、フードトラックカンパニーとしては推奨しておりません。20リットルや40リットルのタンクを組み合わせて規定容量を満たす方法もありますが、キッチンカーは移動中にキッチン内に大きな揺れがあるため、タンクの連結部分から水漏れをするケースが少なくありません。フードトラックカンパニーで200ℓタンクを開発した理由の1つが、連結タンクの水漏れの課題解決がありました。
また、保健所によっては連結方法などで許可基準を満たさない場合もあります。タンクを連結される場合は購入前に管轄の保健所で相談するのがおすすめです。
タンクの水はどこから給水すればよいですか?
給水タンクの水は、自宅や仕込み場所の水道から給水するのが一般的です。営業前に満水にしておきましょう。出店場所のイベント会場などで給水できる場合もありますが、事前確認が必要です。また使用する水は飲用に適した水道水でなければなりません。
タンクはどのくらいの頻度で洗浄すべきですか?
キッチンカーの給水タンクは、衛生管理の観点から毎日1回洗浄します。使用のたびに水を入れ替え、タンク内部を洗剤を使って洗い、乾燥させます。定期的に漂白剤による消毒をおこない、水質の劣化や食中毒を防ぎましょう。