今回は、パエリアのキッチンカー開業をご検討の方に向けて記事を書かせていただきました。
ぜひ、最後までご覧ください。
目次
キッチンカーでパエリアを売るメリット、デメリット
キッチンカーでパエリアを売るメリットとしては、まずパエリアというメニューの特性に着目すべきでしょう。
日本人はとにかく米料理が好きです。炊き込みご飯、炒飯、オムライスなど、主食兼メインのおかずとして米料理は私たちの毎日の生活に欠かせません。
パエリアは、スペインを代表する米料理で、使用する具材もシーフードを中心に幅広く、性別年齢問わず日本人を虜にする可能性を秘めています。さらに、日本の一般家庭の食卓でパエリアが振る舞われる機会は余り多くなく、程良い稀少性を同時に有しているという点も見逃せません。
このように、パエリアは米料理として親しみやすさと珍しさの両面を併せ持つことから、移動販売で扱うには魅力的なメニューと捉えることができます。
さらに、初期コストや運転コストをカットできるというメリットもあります。店舗型の場合、物件の契約から厨房設備投資、毎月の家賃、スタッフ分の人件費など、相当の出費が重なります。それに比べると移動販売は、キッチンカーの準備費は発生しますが、家賃や人件費はほぼ必要なく、特にランニングコストの面で大幅に抑えることが可能です。また、キッチンカー販売なら、顧客の反応を見ながら、出店場所を自由に変えることができます。パエリアのように一般的知名度が多少劣るメニューを取り扱う場合、複数の場所で様子を見ながら経営できるというのは戦略上非常に好都合です。
パエリア移動販売のデメリットは、他のキッチンカーメニューと比較して、仕入れる食材の種類が多くなりがちという点です。もちろん、メニュー構成は経営者次第なので、使用食材を極力減らして販売するという方針も一理あります。しかし、顧客満足度を追求するうちに、日替わりの副菜や追加トッピングなどのニーズが高まることも考えられ、ついつい食材が増え過ぎる事態に直面してしまうのがパエリア移動販売の傾向です。
キッチンカーでパエリアを販売するまでの流れ
キッチンカーでパエリア販売を行うには、まず開業計画を作成する必要があります。
その内容次第で必要資金を金融機関から調達することになります。通常、半年程度の運転資金は確保しておくようにしましょう。
次に取り掛かるのがキッチンカー製作です。やはり業界全体で人気の車種に興味が出るかもしれませんが、あくまでパエリアを調理販売するという観点から、最適な移動販売車を企画する必要があります。一から製作するという方法以外にも、中古購入やレンタルといった選択肢もあります。自身のこだわりや手持ちの資金と相談しながら最終的に判断してください。
そして、移動販売車の営業許可と、全国共通の食品衛生責任者の資格を取る必要があります。各自治体の保健所が審査する営業許可については、次項で詳しく説明します。食品衛生責任者証は講習会受講により取得できる資格で、各販売車両に最低1名は在籍しなければなりません。
最後にキッチンカーを出店する場所を決め、申込などの手続きを行います。どこでも自由に移動できるキッチンカーとはいえ、出店に当たっては必ず土地の所有者や責任者に許可を得なければなりません。駐車料金やスペースの使用料が必要となるケースがほとんどです。集客規模とコストのバランスを考えながら、理想的な出店場所を絞り込みましょう。
パエリアをキッチンカーで売るための営業許可の種類
各保健所に申請する営業許可は大きく分けて2種類です。
車内でパエリアを調理して、出来立ての状態で販売したいということであれば、食品営業自動車の中の飲食店営業という許可証を申請します。
逆に、食品移動自動車は車内での調理は一切認められないため、他所で作ったパエリアを弁当として販売するという形態のみが認められる許可証です。営業許可が下りる細かい条件は各自治体によって異なるので、事前に審査内容をしっかり把握しておく必要があります。
パエリアが売れやすい季節、出店場所
パエリアは年中比較的安定した需要を期待できる料理です。
ただ、旬の食材を具に使用するなど、季節感のあるメニューを提供することでリピーター率を高められます。冬場なら温かいスープなども皆に喜ばれるオプションとなるでしょう。パエリアは栄養バランスに優れたランチとして、実に魅力的なメニューです。ランチ需要が高まる昼時のオフィス街などは有力な出店場所となります。また、イベントへの出店も大きな需要を見込めます。パエリアというメニュー自体に程良い稀少性があることから、複数のキッチンカーが並ぶ状況下でも十分注目を集めることができるはずです。
パエリアの販売におすすめのキッチンカーの車種
出来立てのパエリアを販売する場合、移動販売車内で一通りの調理プロセスをこなさなければなりません。それゆえ、車内は立ち上がった自然な姿勢で調理に専念できる構造であることが望ましいです。ほぼ1人でパエリア調理販売をこなす予定ならば、軽トラックをキッチンカーに改造するという選択肢もあります。ただ、イベント出店などで多数の来客を想定する場合は、厨房スペースに余裕があり、複数の人員が調理に当たれる販売車の方がオペレーションの面で適しています。そうした条件をも満たしたキッチンカー車種として1トントラックがお勧めです。製作費用は多少割高になってしまいますが、パエリアの移動販売においては魅力的な特徴を揃えています。
パエリアを作るために必要なキッチンカーの厨房設備
パエリアを作るのに必要なキッチンカーの厨房設備は、シンク、給水・排水タンク、室内コンセント、換気扇、冷凍冷蔵庫といった基本仕様に加え、ガスコンロも最低2つは搭載しておいた方が望ましいでしょう。オーブンも1台あるとメニューの幅が広がります。そして、パエリア専門店として勝負するなら大型のパエリア鍋は必須です。
パエリアの材料を安く仕入れる方法
パエリアを調理販売するに当たり、米や具材、調味料など仕入れるべき食材は比較的多岐にわたります。業務用の卸売スーパーが近場にあるならば、そちらを利用しない手はありません。ただ、実店舗が遠方にしかないというケースでは、業務用の食材卸売サイトを利用して仕入れるのがおすすめです。もしも特定農家から仕入れできるつてがあるなら、ぜひそうしたルートも活用すべきです。良質な食材が手に入るばかりか、消費者側へ食の鮮度や安全性をアピールすることにつながります。
パエリアの販売で成功しているキッチンカーの紹介とその施策
BANDA
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何と消防車を改造してキッチンカー営業を行うBANDAです。ちょっとした手違いで消防車を落札したオーナーの平野氏は、それなりにコストもかかりましたが、消防車をパエリア販売のためのキッチンカーに改造。普段は実店舗を3ヵ所経営しているため、主にイベント時にこの消防車キッチンカーを用いてパエリア販売を行うことにしたようです。結果、唯一無二の個性的な見かけで顧客へのインパクトは抜群。さらに移動販売車の中でも大振りな車体は、食材や器材、人員を搭載するのに十分なスペースを保証します。つまり、利用客で混雑するイベントの場面では大型サイズのキッチンカーが特に好都合だったのです。うっかりミスを可能な限りプラスへと反転させた好例と言えるでしょう。
グリーンスペイン
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実店舗は埼玉県朝霞市ですが、移動販売は東京各所へ日替わりで出店しています。大変な人気と実力を兼ね備えたキッチンカーで、埼玉スタジアムで開かれる全国キッチンカーグルメ選手権でなんと5年連続金賞受賞(来場者の最多得票)という離れ業を成し遂げています。サフランの利いた本格パエリアに、ジューシーな肉料理もトッピング可能、加えて価格がリーズナブルということで、性別年齢問わず高い評価も納得のメニュー構成です。
もふずぱえりや
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神奈川県小田原市を拠点に活動しているパエリアキッチンカーです。米を炊き上げる自家製ブイヨンは、チキンベースと魚介ベースの2種類を用意し、使用する具に応じて相性が良い方のテイストを使い分けているそう。米や野菜は平塚市の有機栽培農家からの仕入れです。パエリア移動販売車は比較的シックなデザインが目立ちますが、もふずぱえりやの場合は、車体に可愛らしいワンちゃんロゴをデザインし、癒し感溢れるビジュアルを採用しています。