「キッチンカーを譲りますという言葉を信じてその人から購入してもよいのだろうか?」
「中古キッチンカーを買って、初期費用を抑えようと思うんだけど、選択肢として正しいのだろうか?」
「手元の資金が多くないから初期費用を抑えたいけど・・・どうしてよいか分からない」
こんな不安を抱えていませんか?
その気持ちはよく分かります。なぜなら、私自身もキッチンカーを開業するときに限られた資金しかない中で、何とか初期費用を抑えるためにどのように準備を進めるのがよいか、非常に悩んだ経験があるからです。
キッチンカーはもちろん飲食業についても知識も経験も全くない状態から、無事にキッチンカーを開業できた経験のある私が、「キッチンカーを譲ります」というフレーズから連想される中古キッチンカー取引や初期費用を抑える資金管理について情報をまとめました。
この記事では、
- 「キッチンカーを譲ります」という取引は実際にできるのか?
- 中古キッチンカーを購入するときに絶対にチェックすべきポイント5選
- 安心して中古キッチンカーを購入できるサイト
- 初期費用を抑える2種類の資金管理方法
をお伝えします。
「個人間取引なら安く買えそう」「中古キッチンカーなら安いよね」といったイメージだけではなく、現実を理解して冷静に取引するために欠かせない情報をまとめましたので、ぜひ最後までお読みください。
「キッチンカーを譲ります」はお得なのか?
「キッチンカーを譲ります」というフレーズは中古車両を個人間で取引することを想像させます。一般的に言われている中古キッチンカーを購入するメリットの実際のところを解説し、個人間取引の代表的サービスである「ジモティー」と「ヤフオク」での個人によるキッチンカーの出品状況をお伝えします。
中古キッチンカーのメリットはあまりない
一般的に中古キッチンカーを購入することには「安く手に入る」「購入から短期間で営業を開始できる」メリットがあると言われています。しかし、実際に中古キッチンカーの買い取り経験があるフードトラックカンパニー社によると、こうしたメリットを感じられない車両が多いようです。
というのも、実際に買取した車両には「車の状態がかなり悪い」「長く放置されていた」「汚れがひどい」ものもあり、こうした車両を実際に営業できるよう整備するためには、かなりの出費が必要となります。そして、2021年6月の改正食品衛生法施行により、現在のルールに適合してそのまま営業に使えるような車両は多くないのが現状です。
したがって、「キッチンカーを譲ります」と検索したときに表示される車両を実際に購入しても、中古キッチンカーのメリットである「安く手に入る」「購入後すぐに営業できる」を感じられないケースも多々あります。中古キッチンカーの購入については、次の記事もご覧ください。
ジモティーでは出品がとても少ない
ジモティーなら「キッチンカーを譲ります」というタイトルでたくさん出品されていそうですが、実際には出品数が非常に少ない現状です。例えば、すぐに営業できる状態のキッチンカー(設備一式が搭載済み)の出品は2023年2月の1カ月で全国で12台でした。
12台のうち2台はキッチンカー販売業を営む会社による出品だったので、ジモティー利用者が期待しているであろう個人間取引が可能な出品は10台でした。もちろん、出品場所・車種・搭載設備はバラバラなので、自分の希望に合ったキッチンカーをジモティーで譲ってもらうのは、非常に難しいのは明らかです。
ヤフオクの出品は製作会社が中心で安くない
記事を執筆している2023年3月8日時点でヤフオクには125台のキッチンカーが出品されており、ジモティーよりも圧倒的に出品数は多いです。しかし、その大部分は会社による出品で、すぐに出店できる設備が揃っている個人出品のキッチンカーは2台のみでした。ヤフオクもジモティー同様にキッチンカーを安く譲ってもらうのはほぼ不可能です。
上述の通りヤフオクにはキッチンカー製作・販売会社が多数出品しています。出品している会社を一つずつ確認することで、自分が欲しいキッチンカーを取り扱う会社に出会える可能性があります。したがって、ヤフオクはキッチンカー製作・販売会社を探す場所としておすすめです。
私の場合も、ヤフオクに出品していた複数の会社に連絡して、詳しい情報を聞きました。その結果、自分が求めるスペックのキッチンカーを製作できる会社と出会えたので、ただ情報を眺めるだけではなく、もう一歩進んだ情報源として利用しましょう。
中古キッチンカーの必須チェックポイント5選
中古キッチンカーを購入する際には、通常の中古車を購入する際の注意点に加えて、キッチンカーならではの見逃してはいけない注意点があります。中古キッチンカーの購入を検討する際に確認必須の五つのポイントを解説します。
キッチンカーの来歴と整備記録が明確である
キッチンカーを製作する会社の中には、キッチンカー専門メーカーもあれば、そうではない会社もあります。当然、前者の方が出来上がってくるキッチンカーの質は高いと考えられます。専門メーカーによって製作された車両かを判断するために、中古キッチンカーを購入する際には、どこの会社の製造品かを確認しなければなりません。
また、前オーナーが購入した後の整備記録の確認も必須です。購入後に予想外の整備費用がかかることを防ぐためにも必要な確認です。エンジンオイル・タイヤ・ブレーキパッドなどの消耗品を定期的に交換しているか?事故を起こしていないか?など確認が取れない車両の購入は控えた方が良いでしょう。
車検証が8ナンバーの「加工車」になっている
キッチンカーの車両は1ナンバー・4ナンバーでの登録・営業も可能です。しかし、キッチンカー事業を継続することを考えると、車検証が8ナンバーの「加工車」になっている車両を選ぶべきです。8ナンバーの車両は車検時にキッチンスペースを取り付けたまま検査を受けられます。
反対に1ナンバー・4ナンバーの場合は、キッチンスペースを取り外さないと車検を受けられません。キッチンスペース内には、コールドテーブル・給排水タンク・シンクなどの厨房設備が取り付けられているのはもちろん、調理機器や細かい消耗品も積載されています。
この状態のものを車検のたびに取り外すのは現実的ではありません。そもそも取り外すことすらできない人が多数でしょう。したがって、車検証が8ナンバーの「加工車」になっていない中古キッチンカーには手を出すべきではありません。
厨房設備が保健所の許可基準を満たしている
2021年6月の改正食品衛生法施行により、キッチンカーの営業許可を取得するための基準変更がありました。特に給排水タンクの容量など、それまでは地域によってバラバラだった基準が、全国で統一されました。中古キッチンカーの中には、この改正前に製造された車両もあり、現在の基準を満たしていない可能性もあります。
中古キッチンカーの購入を検討する際には、自分の営業予定地域で営業許可を取得するために必要な設備を把握した上で、その基準を車両が適合しているか?適合していないなら追加費用はいくら必要なのか?を確認して、購入を判断しなければなりません。
年式・走行距離から判断して相場価格以下である
中古キッチンカーを購入する理由(メリット)は、「すぐに営業許可を取得できるキッチンカーを安く手に入れられる」なので、相場価格以下で取引する意識は必須です。相場価格の目安は、ベース車両の車種・年式・走行距離・車検の残り期間とキッチンスペースに搭載している厨房設備の価値を合わせて算出します。
例えば、「TOYOTAハイエースがベース車両で令和2年6月式・走行距離:20,000km・車検が残り9カ月、厨房設備は〇〇サイズのコールドテーブル(令和2年式)・△△Lの給排水タンク・◇◇式シンクが付いているなら、相場は▼▼▼万円くらいかな。」といった見積もりが必要です。
車両だけではなく厨房設備の価値も分かっている必要がありますが、反対に両方が分からないのであれば、中古キッチンカーに手を出すべきではないといえます。
車に詳しい人に実車の状態を確認してもらう
中古キッチンカーを購入する際には、契約前の実車確認が必須ですが、その際には車のプロに同行してもらい、実車の状態を確認してもらいましょう。そのまま使える状態なのか?修繕が必要なら、いくらぐらいかかるのか?をその場で判断してもらう必要があります。その上で、購入してもよい価格はいくら?を考えることも必要です。
自動車のプロでもその場で気付かない問題点が隠れていて、想定以上に修繕費用が掛かる可能性も十分あります。実車を見て問題があるのか?ないのか?が判断でき、問題があったときに対応できる知識・経験がないのであれば、中古キッチンカーには手を出さない方が賢明です。キッチンカーの購入方法については次の記事で解説しています。
安心して中古キッチンカーを購入できるサイト紹介
中古キッチンカーを購入したい人におすすめなのは、株式会社フードトラックカンパニーの公式サイトに掲載されている中古キッチンカーを購入することです。株式会社フードトラックカンパニーは国内におけるキッチンカー製造・販売のリーディングカンパニーで、新車をベースにした3車種と厳選中古車をベースにした1車種を販売しています。
フードトラックカンパニー社では、限られた数になりますが中古キッチンカーを販売していることがあり、ここに掲載されている車両は同社が点検・整備を終えたものばかりなので、品質は間違いありません。
特に狙い目なのは、同社が新車で販売したキッチンカーをオーナーから買い取って販売している車両です。同社が新車で販売しているので、車両の来歴・整備記録は明確で安心できます。もちろん8ナンバーになっていますし、保健所の許可基準も満たした車両です。さらにキッチンカーのプロの目で点検・整備されているので、車の状態も文句なしです。
常に販売中の中古キッチンカーは数台しかないので、気になる人は定期的にサイトを訪れることをおすすめします。
» 株式会社フードトラックカンパニーの中古車販売ページはこちら
初期費用を安くするならレンタルやリースも
初期費用を抑えるために中古キッチンカーを購入しようと考えているなら、「レンタル」や「リース」を利用することも検討してみましょう。初期費用を抑えられる以外に、どのような特徴が「レンタル」と「リース」にあるかを紹介します。
レンタルなら短期間の利用が可能です
レンタル会社が保有するキッチンカーをレンタル契約で借りられます。レンタルの特徴は1日~数カ月単位の短い期間のみ借りることが可能な点です。イベントを開催する数日のみ出店したい、繁忙期の時期だけ期間限定で飲食業を営みたいといった人にはピッタリな方法といえます。
実際にキッチンカーを購入する場合に比べて初期投資が安いので、数百万円の投資をする決断はできないけど、キッチンカー事業はやってみたいという人にもおすすめです。その他にも、厨房設備も一式揃っているので、営業許可を取得したらすぐに出店できる、といったメリットがレンタルにはあります。
一方、厨房設備が備え付けなので自分が理想とする配置にできない、日割りで考えると購入する場合に比べて割高になるといった点がデメリットです。費用は短期(数日)のレンタルなら、1日当たり3万~10万円程度、長期(数カ月以上)のレンタルなら1日当たり1万円未満で借りられる会社もあります。
キッチンカーレンタルに関するメリット・デメリットなどさらに詳しい情報は、次の記事を参考にしてください。
初期費用を抑えた長期間利用ならリースがおすすめ
キッチンカーに限らずリースの仕組みは、キッチンカーを開業する人の代わりにリース会社がキッチンカーを購入し、このリース会社に月々のリース料金を支払うことでキッチンカーを使用できるものです。月々の支払金額の目安は、支払い総額を契約期間(一般的には、36~60カ月が多いです)で割ったものです。
一度に大金を支払う必要がないので、初期費用を抑えてキッチンカーを開業できます。また、リース代金(全額経費処理可能)は毎月一定なので、資金管理がしやすいのも魅力です。さらにリース期間終了時には、あらかじめ契約時に設定した「残価」でキッチンカーを購入できます。「残価」は1万円に設定する場合が多いです。
一方、リースを利用するための審査期間は3週間~1カ月ほどかかることがあるので、すぐに開業したい場合でも待機期間が生じます。支払い総額は純粋なキッチンカー価格よりも大きくなるので、現金一括払いの場合に比べると費用がかかります。また、契約期間中の途中解約には条件が設定されているので、契約時には注意が必要です。
リースを利用してキッチンカーを開業した場合は、数年単位で腰を据えて事業に取り組むことが求められます。ある程度長期間はキッチンカー事業に取り組む意思がある人が、初期費用を抑えたいと考えている場合にはリースの利用を検討しても良いでしょう。リースについての詳しい解説は、次の記事で紹介しています。
» キッチンカー(移動販売車)のリースのメリットとデメリット
まとめ
「キッチンカーを譲ります」というフレーズから想定される、中古キッチンカーの個人間取引は、ジモティーやヤフオクの取引状況から判断するとあまり活発ではありません。また、車両の良し悪しを判断できる目がなければ、個人間取引は控えるべきです。
中古キッチンカーは購入前にしっかり確認しないと、初期費用を抑えられない可能性があるので、必ずチェックすべき五つのポイントを紹介しました。初期費用を抑えてキッチンカーを開業する手段として「レンタル」と「リース」の特徴をお伝えしました。
今回紹介した内容を踏まえて、自分はどのような方法でキッチンカーを手にするのが適しているか、しっかりと検討してください。以下に紹介するセミナーなら、キッチンカーの選び方や資金管理を含むキッチンカー運営の全てを無料で学べます。