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キッチンカーで駄菓子を売るメリット、デメリット
キッチンカーで駄菓子を売るメリットは、まず店舗として開業する場合と比べて、初期投資を大幅に抑えられるという点です。
そして、物件を借りるわけではないので、毎月の固定家賃も必要ありません。
さらに、移動販売なら人員は1人でも十分こなしていけるため、アルバイト等を雇い追加的に人件費が発生することもありません。
このように移動販売は、ランニングコストの面でも店舗型よりはるかに割安で済ますことができます。
実際の営業面でのメリットは、車両ゆえに需要が見込めそうな立地をその都度選んで営業できる点です。
また、営業日や営業時間なども、固定店舗に比べれば店主の都合に合わせて柔軟にアレンジしやすいという側面もあります。
逆に、デメリットとしては、季節や天候の影響をダイレクトに受けやすいという点があります。
例えば、大勢の人出が見込めるイベント開催日に悪天候が重なってしまうと、販売計画に狂いが生じてしまいます。
また、車両内は実質的に野外と同等の環境を強いられるため、夏や冬の気温の厳しさは営業時に身をもって感じることになるでしょう。
駄菓子のキッチンカーを開業するまでの流れ
駄菓子販売のキッチンカーを開業するには、まず開業計画を作成し、主に予算の配分などを丁寧に設定することです。
キッチンカー準備のための費用や、約半年分に相当する運転資金などを算出し、必要であれば金融機関より資金調達を行います。
次に、駄菓子を中心に具体的にどういったメニューや品揃えで販売していくのか決定しましょう。その内容によってどんなタイプのキッチンカーが適しているのかという点も自ずと見えてきます。
キッチンカーの準備に関しても、一から作るのか、中古を購入して一部改装するか、レンタルを利用するのかなど複数の選択肢があります。それぞれ手間や費用が異なってきますので、予算や自身のビジネスモデルに適したやり方を選んでください。
次に移動販売のための営業許可書の申請が必要です。
この許可は各エリアを管轄する保健所ごとに取得されるべきもので、必要書類や審査要件なども保健所ごとに多少違いがあります。営業許可の種類は大きく2つに分かれます。まず、販売車内で簡易的な調理をする場合は食品営業自動車を取得しなければなりません。特に駄菓子関連メニューを取り扱うならば、食品営業自動車の菓子製造業を取得します。
逆に、一切車内で調理を行わないという場合は食品移動自動車を申請します。この許可証は加熱や盛り付けさえも認められず、既に包装済みの食品だけを販売するというケースが対象です。そして、全国共通ではありますが、1車両に付き1名の食品衛生責任者の資格保持が求められます。
営業許可が下りたら、出店場所を決めます。この際、無断で駐車して勝手に営業を始めてしまっては違法行為に他なりません。土地の所有者や責任者より確実な許可を取ってから販売するようにしましょう。
駄菓子が売れやすい季節、出店場所
駄菓子の場合、そこまで季節的要因に左右されず、安定した需要を見込むことができるでしょう。
とはいえ、季節に合わせて品揃えやメニューをアレンジするという視点は不可欠です。
例えば、夏はかき氷をメニューに追加したり、冬は体が温まりやすそうなドリンクジャンルを強化したりと、常に顧客ニーズにアンテナを張った経営姿勢が求められます。駄菓子販売ということもあり、時間帯については、やはり昼食後から夕方頃までが一番の狙い目となるでしょう。
出店場所はなるべく子供やファミリー層が多く通行するポジションを選ぶことが大事になってきます。また、子供関連のイベントにも積極的に出店したいところです。実店舗の駄菓子屋が減少しているからこそ、イベント時における駄菓子屋移動販売の存在は貴重で、適切なピーアールができれば物珍しさも相まって、まとまった売上が期待できるでしょう。
駄菓子の販売におすすめのキッチンカーの車種
駄菓子や簡易的な玩具、飲み物といった品揃えを想定する場合、そこまでスペースも必要としないため、低コストで収まる小型車両をベースにしたキッチンカーで十分対応できるはずです。
駄菓子というテーマを考慮すると「親しみやすさ」や「可愛らしさ」といったベクトルのアピールも必要となるでしょう。
そう考えると、軽バンを個性的にラッピングして通行人の購買意欲をかき立てるキッチンカーに仕上げるというのも有効な方法です。軽バンなら顧客とほぼ同じ目線の高さで向き合うことになるので、人々が気軽にお菓子選びに興じる空間を創出することにつながります。
ただし、簡易調理が必要なメニューが主体で、ある程度厨房設備を充実させたいということならば、軽トラック型のキッチンカーがより適しているとも考えられます。軽トラックの方が、軽バンよりも車内スペースにゆとりがあるうえ、立った状態で調理できる分腰などへの疲労も軽減できることでしょう。
駄菓子を作るために必要なキッチンカーの厨房設備
メニュー次第で必要な移動販売車の厨房設備は変わってきます。
仮に、食品は包装済みの駄菓子販売のみを取り扱い、それに多少のドリンクメニューを加えるとすると、シンク、給水・排水タンク、室内コンセント、冷凍冷蔵庫、ドリンクディスペンサーなどの必要最低限の設備で問題ありません。
また、昔ながらの揚げパンをメインで提供するならば、ガスコンロやフライヤーを追加で装備することになります。さらに時期によって、綿菓子、ポップコーン、かき氷などのメニューを採用するという場合は、その都度専用のマシーンを別途購入するというやり方で対応可能です。いずれにせよ駄菓子屋がコンセプトのキッチンカーは、厨房設備投資は比較的抑えてアレンジすることができます。
駄菓子の材料を安く仕入れる方法
まず、様々な情勢の変化やリスクに対応するため、頼れる仕入れ先は複数確保しておく方が望ましいでしょう。
その中でも登録制の業務用スーパーは、小売店の中では群を抜いた安さが魅力です。ただしその店舗数は限られているため、あいにく近場にない場合、買い出しの手間や移動時間がどうしてもネックになります。
そうした事情もあり、メインの仕入れ先としては卸売業者を利用するのが無難です。大量発注や卸売業者ならではの値引き率は、効率的経営のために大いに活用していきたいメリットです。卸売業者との取引は、コネづくりなどが難しいイメージが強いかもしれませんが、最近では卸売のオンラインサイトが大変充実しています。サイトの検索機能やデータベースを上手く利用することで、商売を始めて日が浅い人たちでも有望な仕入れ先を見出せる仕組みが整っています。
駄菓子の販売で成功しているキッチンカーの紹介とその施策
まぼろし堂
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1つめに紹介するまぼろし堂は、実店舗が千葉県八千代市に位置し、子供たちの憩いの場となった昔ながらの駄菓子屋さんを復活させようというコンセプトで始まったお店です。
その昭和期溢れる佇まいからローカルメディアの取材も多く、2018年からはキッチンカー業態として各種イベントにも出店しています。車両デザインも赤レンガ屋根やえんとつをあしらっており、子供のみならず大人も思わず振り向いてしまいそうな個性的な外観です。キッチンカーでの看板メニューは車内で仕上げる揚げパン、昔の日本給食でもお馴染みの揚げパンは、駄菓子や昭和といったお店のコンセプトとスムーズにリンクすることから、消費者にとってより一層「食べてみたい」という意欲を刺激する効果を生み出しているでしょう。
駄菓子屋ヤスナガ
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2つ目の事例、駄菓子屋ヤスナガは、愛媛県松山市を中心に駄菓子の移動販売を行っています。
児童館、福祉施設を中心に積極的に出張、玩具やくじ、駄菓子詰め合わせ商品も用意して、子供たちのワクワク感を駆り立てる移動販売車となっています。メインメニューは常時1つに固執するのではなく、揚げパン、ミニうどんや焼きいもなど、季節や依頼者の要望に応じてフレキシブルに提供しているのが特徴的です。
駄菓子屋ROCK
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駄菓子屋ROCKは、神奈川県湘南藤沢エリアを中心に活動している移動式駄菓子屋です。
販売時はリアカーを使用、バイク後方にリアカーを連結することで出店場所へ移動します。駄菓子販売のほか、射的や輪投げ、ヨーヨーすくいなど昔懐かしの遊びも体験できる、子供たちにとっての小さなエンターテイメント空間です。ROCKという店名の通り、出店先でROCKシンガーとして歌を披露し、子供たちに駄菓子をばらまくパフォーマンスを行うなど、地域密着型で人々を魅了しています。
barbe de papa(バルブデパパ)
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埼玉や東京で活動するbarbe de papa(バルブデパパ)はわたあめ専門のキッチンカーを展開しています。シンプルな砂糖菓子であるわたあめは、味の面でやや単調に陥りがちですが、フルーツの風味や酸味を活かした複数のフレーバーを用意して消費者を飽きさせません。さらに、花束やブーケをイメージした器用な盛り付けは可愛らしく、インスタ投稿との相性も抜群です。