「キッチンカーの内装ってどうしたらいいんだ?」
「キッチンカーの内装を考える際には、どんなことに気を付ければいいのだろう?」
「保健所の検査に合格するために守らないとダメ!というポイントを知りたい!」
こんな疑問を持っていませんか?
その気持ちはよく分かります。なぜなら、私がキッチンカーの開業準備を進めるときにも、内装ってどんな素材を使ってどんな設備をそろえればいいんだ?と分からないことばかりだったからです。
そのような状況から一つずつ問題を解決して、最終的に独学でキッチンカーを開業した経験のある私が、キッチンカーの内装について知っておくべき内容をまとめました。
この記事では、
- キッチンカーの内装に求められる条件
- キッチンカーの内装の構成要素
- 保健所の検査に合格するために必要な内装の基準
- キッチンカーのコンセプトを伝えるために内装に求められること
- 運営をスムーズに進めるために欠かせない内装の工夫
- 理想の内装を実現するためにおすすめのキッチンカーの車種
をお伝えします。
インターネット上にある情報だけではなく、私自身が経験した情報も交えて解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
キッチンカーの内装に求められる3大要素
キッチンカーの内装には車種を問わず、「保健所の検査に合格する信頼性」「お店のコンセプトを伝えるデザイン性」「運営をスムーズに行える機能性」の3大要素を満たすことが求められます。
保健所の検査に合格して飲食店の営業許可を取得できなければ、キッチンカーを開業できません。また、自分たちのお店のコンセプトを伝えられるような特徴がなければ、競合するキッチンカーに埋もれてしまい思うように利益は上げられないでしょう。
さらに、キッチンカー事業を成功させるためには、キッチンスペース内で各スタッフがスムーズに業務を行えるような各機器の配置が必要です。このようにキッチンカー運営を成功させるためには、3大要素のいずれも欠かせません。
キッチンカーの内装は床・壁・窓・調理設備で構成される
キッチンカーの内装はキッチンスペースの内装のことを指しており、「床」「壁」「窓」「調理設備」の4要素で構成されます。それぞれに求められる特徴とそれを実現するためにどのような商品を使えばよいかを解説します。
「床」には滑りにくく耐水性のある素材を使う
キッチンカーの内装のうち「床」については、固定店舗の飲食店と同様に「調理・移動するときに滑りにくい」「水洗いができる耐水性をもつ」特徴が求められます。キッチンスペースでの業務中の安全性を確保し、飲食業の基本である掃除が行き届いていて清潔な環境を実現するためにはどちらも欠かせません。
また、夏場の暑さ対策のための断熱材や調理時に火を使うことを考慮して防炎素材を利用できれば理想的です。コンパネ(コンクリートパネル)やフローリングマットを利用するキッチンカー製作会社が多いですが、縞鋼板(しまこうはん)なら防水性・耐久性・防炎性に優れるのはもちろん、清潔感・高級感を演出できるのでおすすめです。
「壁・天井」はほこりの侵入を防ぐ構造にする
キッチンスペースを取り囲む「壁・天井」に最優先で求められるのは、ほこり・昆虫など外部からの汚染要素や雨・風を完全に防げる構造・素材になっていることです。この点が満たされていないと、使用上の問題があるのはもちろん、営業許可取得のための保健所の検査に合格できません。
また、調理によって「壁・天井」も油汚れなどが付着するので、落ちやすいように表面が凸凹していない平らなものがおすすめです。キッチンカー製作時には「壁」には窓や換気扇を「天井」には照明設備を取り付けるので、こうした加工がしやすい素材を選ぶことも重要です。
「窓」は接客のしやすさと換気を両立させる
キッチンカーにおける「窓」にはお客様とのやり取りの場所になる・換気するという二つの役割があります。お金を受け取る・メニューを渡す・お客様とコミュニケーションをとる、などの接客業務をやりやすくするためには、「窓」はなるべく大きくするとよいでしょう。「窓」が大きいと日光をたくさん取り込みキッチンスペースを明るく清潔に見せる効果も期待できます。
保健所の検査に合格するためには「窓」には換気を十分にできて、ほこり・昆虫などの侵入を防げることが必要です。ある程度の大きさがある「ガラス窓」を使えば、この条件はクリアできます。ほこり・昆虫などの侵入防止のために、弘前保健所(青森県)・安足保健所(栃木県)・知多保健所(愛知県)などのように網戸の取り付けが必須の保健所もあります。
「調理設備」は動線を意識して設置する
キッチンカーの内装として多くの場所を占有するのが「調理設備」です。シンク・給排水タンクのように保健所の検査に合格するために必要な設備とフライヤー・コンロ・コーヒーメーカーなど実際に調理する際に使う設備の2種類に分類されます。
「調理設備」の配置は法令順守の上で調理作業・接客業務がやりやすいものにすることが最重要です。いわゆる「動線」を意識しないと、ちょっとした配置の違いによって働きやすい・働きにくいが変わってくるので、しっかりと意識しましょう。「調理設備」に関する詳しい情報は、以下の記事で解説しています。
» キッチンカーに必要な設備はコレ!営業許可など6種類の用途別に徹底解説
保健所検査合格に必要なキッチンカー内装の11要素
キッチンカーの営業許可取得に向けて保健所の検査に合格するためには、内装に求められる基準があります。千葉県千葉市が情報公開している合格のために満たすべき11基準を文字情報・図面情報の両方で解説します。
千葉県千葉市が求める11項目の営業施設基準を紹介
千葉県千葉市では、保健所の検査に合格するために必要なキッチンカーの内装について「営業施設の基準等」として11項目(施設)について守るべき基準を公式サイトで公表しています。11項目の内容と基準は以下の通りです。
<作業場区画>
完全区画(車内作業場は一室を構成し、解放部分がないこと。)
<作業場>
車内作業場の天井・床・内壁は清掃しやすい材質及び構造(耐水性で平滑)
ほこり等による汚染、ねずみ、昆虫等の侵入を防止できる設備があること。
<冷蔵設備>
冷蔵庫または冷凍庫(動力式で温度計付)
<原材料の保管設備>
種類及び特性に応じた温度で、汚染の防止が可能な状態で保管することができる十分な規模の設備
<洗浄剤、殺虫剤等の保管設備>
食品等と区分して保管できる設備
<廃棄物容器>
ふた付きかつ耐水性で十分な容量があり、汚液及び汚臭の漏れのないこと。
<清掃用具等>
作業場の清掃等をする専用の用具を必要数備え、その保管場所及びその作業内容を掲示する設備を有すること。
<消毒薬>
アルコールスプレー等
<洗浄設備>
原材料及び器具を洗浄するための流水式洗浄設備
従事者専用の流水式手洗い設備(非接触蛇口:レバー、足踏みペダル、センサー等)
<排水設備>
使用後の水を十分貯留できる汚水貯留設備(排水管→タンク等)<給水設備>
40L・80L・200L
2021年6月の改正食品衛生法施行により、キッチンカーの営業許可取得に必要な基準は全国で統一されました。しかし、細かい条件などは自治体ごとの違いがいまだに残っています。千葉市の基準を参考にしつつ、キッチンカーを発注する前に自分が出店予定の地域を管轄する保健所に検査に合格するための基準を必ず確認しましょう。
11項目(施設)の基準を満たすための方法をより具体的に知りたい人は下記をご覧ください。
» 【2022年8月更新】キッチンカーの営業許可取得マニュアル5ステップ!
保健所が求めるキッチンカーの内装を図面で解説
千葉県千葉市の公式サイトでは、保健所の検査に合格するために必要なキッチンカー内装の11項目の基準を施設例として、平面図と立面図でも表記しています。私自身も初めて保健所に行ったときに同じような図面をもらい、そこに記載してある内容を勉強するところから始めたので、キッチンカー開業準備を進める全ての人に参考になるでしょう。
キッチンカーの内装に求められる基準を文字情報だけではなく、図面としても確認することで、より必要な条件を理解できますね。紹介した資料はPDFファイルで配布されているので、プリントアウトして地域の保健所に持参し、「この内容で問題ないでしょうか?」と確認すれば、少ない労力で自分のキッチンカーに必要な条件を把握することが可能になります。
私の場合はまず保健所での相談から開始
私がキッチンカーの開業準備を進めたときには、今のようにインターネットやSNS上での情報が少なかったので、まずは出店予定地域を管轄する保健所に出向き「キッチンカーを開業したいのですが、何も知らないのでどうすれば良いか教えてください。」とお願いすることから始めました。
その際に千葉市のように保健所の検査に合格するために満たすべき基準が分かる資料をもらったので、その資料に基づいて以後の準備は進めました。私がキッチンカーを開業したのは、改正食品衛生法が施行された2021年6月よりも前だったので、地域ごとのルールの違いが大きい状況でした。
私が営業許可を取得した地域のルールにも独自性があったようで、キッチンカー製作会社に保健所でもらった資料を見せたところ「今までこのような設備が必要な地域は無かったです」という話をされたのは強く記憶に残っています。現在では地域ごとのルールは少なくなったはずですが、ゼロではないので、まずは地域の保健所に相談することから始めましょう。
キッチンカーのコンセプトを見た目で伝える内装の作り方
キッチンカーの内装にこだわることは、お店のコンセプトをお客様に伝えることに繋がります。具体的に内装のどのような点に注意すれば、お店のコンセプトを伝えられるかを解説します。
大きな窓で開放感と接客のしやすさを両立する
キッチンカーの販売窓をなるべく大きくすることで、キッチンカー全体に開放感を与える効果と来店者に対する接客のしやすさの両方を実現できます。販売窓が大きいことでたくさんの日光が射し込んで、明るい雰囲気と開放感を得られるのはもちろん、中の様子が見られることでお客様に対して親近感を与えることも期待できるでしょう。
それに加えて販売窓が大きいと単純に接客業務がやりやすいメリットも生まれます。販売窓付近にちょとした物がおけるようなカウンターなどを設置することでも、接客作業をやりやすくすることは可能です。
調理工程・器具を見せて料理の魅力を高める
調理している様子や調理器具をあえてキッチンカーの販売窓からお客様に見せることによって、料理の魅力を伝えることが可能になります。特に行列なので待っている間に焼きそば・たこ焼き・お好み焼きなどを調理している様子やクレープを包んでいる様子などが見えると、商品を受け取るまでお客様の期待値を上げられるでしょう。
また、おしゃれな調理器具が作業台に設置されたり、壁にかかっていたりする様子が販売窓越しに見られる内装に仕上げると、キッチンカーのデザイン性の高さをお客様に伝えることが可能です。デザイン性を高めておしゃれなキッチンカーを製作するコツは、以下の記事で詳しく解説しています。
» おしゃれなキッチンカーのメリットや4つのデザインのコツを徹底解説!
色使いや装飾で店舗のコンセプトを表現する
キッチンカーを開業するときには、まずお店のコンセプトを決めます。コンセプトに沿ってキッチンカーのデザインやメニューなどを決めることでお店にまとまりが得られるでしょう。デザインはキッチンカーの車体そのものや外装が表現の中心となりますが、内装にも色使い・装飾で他の箇所との統一性を持たせることにより、キッチンカーのコンセプトを表現することに内装も貢献できます。
内装に関しては壁・天井の色使いはもちろん、デザイン性の高い調理器具やちょっとした小物を置くことでも、コンセプトを伝えることに貢献できます。
キッチンカーの運営をスムーズにする内装の特徴4選
キッチンカーの内装をどうするかによって、出店時の運営のしやすさにも影響が出ます。キッチンカー事業で利益を出すためには欠かせないスムーズな運営を実現するために、内装について注意すべき点を解説します。
1.メニュー変更も臨機応変に対応できる余裕を残す
キッチンカーには来客数が多いことが見込まれる場所に何度でも移動して出店できることと、出店場所の客層に合わせて販売するメニューを変更できるメリットがあります。メニュー変更を実現するためには、メニューに合わせて調理器具を変更できる内装が必要です。
具体的には、作業台の上に唐揚げなどの揚げ物を販売するときにはフライヤー、たこ焼きを販売するときにはたこ焼き器、クレープを販売するときにはクレープ焼き器を設置できるように調理器具は全て卓上タイプで同じ熱源(LPガスまたは電気)を使う工夫が求められます。このようにメニューに合わせて調理器具を変更できるようスペースの余裕が内装には必要です。
2.複数のスタッフが調理・接客をスムーズに行える
キッチンカーの運営業務の中心は調理と接客の二つです。また、土日など来客数が多いことが予想される日にはアルバイトスタッフなどを含めて複数人がキッチンスペース内で業務にあたります。したがって、キッチンカーの内装には、複数人のスタッフがスムーズに調理業務と接客業務を行えることが求められます。
調理・盛り付け・引き渡しが最短で行えるような調理器具の配置や、出店場所・来客数の状況によってはキッチンカー外のスペースも活用した人員配置なども考えなければなりません。
3.車検対応が簡単な8ナンバーのキッチンカーを選ぶ
軽トラック・普通車トラックをベース車両とするキッチンカーには、4ナンバーの車両と8ナンバーの車両があります。4ナンバーの車両を車検に通す際には、トラックの荷台に設置しているキッチンスペースを降ろさなければなりません。もちろんかなりの重量なので、専門的な設備を持たない人には車検ごとにキッチンスペースを降ろすことは現実的ではありません。
それに対して、キッチンカー製造後に加工車として構造変更登録し、8ナンバーの車両として登録したキッチンカーは、そのままの状態で車検を受けることが可能です。このように8ナンバーの車両と4ナンバーの車両では車検にかかる手間が圧倒的に異なるので、購入の際には必ず8ナンバー登録されたキッチンカーを選びましょう。
4.実績豊富なキッチンカー専門製作会社に依頼する
自分なりに「キッチンカーの内装をこうしたい」という考えがある程度固まったら、その考えを現実にするためにキッチンカー製作のプロ(製作会社)に相談するのもよいでしょう。製作会社にはこれまでに積み上げた知見により、限られたキッチンスペースの中で保健所の検査に合格できるように各設備を設置するために、ある程度決まった配置案があります。
したがって、キッチンカー製作会社に依頼する際には、ベースとなる内装の配置案をもとに、自分のお店の特徴を出せるように工夫が必要です。軽トラックをベースとするキッチンカーよりも、普通車トラックをベースとするキッチンカーの方がキッチンスペースが広いので、内装デザイン・配置の自由度が高くなります。
キッチンカー製作会社の中には、キッチンカーを専門に扱っている会社と他の本業(例えば一般的な自動車販売)の傍らでキッチンカー製作を行っている会社があります。内装について相談するなら、製作実績が豊富なキッチンカー専門の製作会社を選ぶことが必須です。実績については、各社のホームページ・各種SNSの発信内容からある程度は判断できます。
株式会社フードトラックカンパニーでは、年間360台を超える納車実績を誇ります。対外的にも積極的な情報発信をしており、さまざまな大手企業との取引もあり、信頼性が高いキッチンカー専門の製作会社です。同社が扱う4車種のキッチンカーについては、以下のページを確認してください。
» フードトラックカンパニーのキッチンカー4車種の詳細はこちらをクリック
理想の内装作りにピッタリなトラックベースのキッチンカー
キッチンカーのベース車両は軽トラック・普通車トラックなど「トラック」または、軽バン・普通車バンの「バン」のどちらかを使うのが一般的です。「トラック」の場合は、荷台に新たにキッチンスペースを取り付けてキッチンカーを製作します。
「バン」のキッチン用スペースと「トラック」に取り付けるキッチンスペースを比較すると、「トラック」に取り付けるキッチンスペースの方が容積はかなり大きくなります。また、「バン」を改装したキッチンカーでは、座ったままでの調理・接客が必要となり、首・肩・腰を中心に体への負担が避けられないので、長くキッチンカー運営を続けるつもりなら購入はおすすめできません。
したがって「保健所の検査に合格する信頼性」「お店のコンセプトを伝えるデザイン性」「運営をスムーズに行える機能性」を満たす理想の内装を実現するためにはトラックベースのキッチンカーを選びましょう。
まとめ
キッチンカーの内装は「床」「壁」「窓」「調理設備」で構成されており、それぞれに適した素材を使ってキッチンスペースを作り上げましょう。また、キッチンカーの内装には「保健所の検査に合格する信頼性」「お店のコンセプトを伝えるデザイン性」「運営をスムーズに行える機能性」という三つの要素を満たすことが求められます。
保健所での検査に合格するために内装に求められる条件は各保健所で基準を示しているので、キッチンカーの開業を検討し始めたら、まずは地域にある保健所を訪れて基準を確認しましょう。キッチンカー専門の製作会社では、内装を含め設備に関して多くの情報を把握しているので、プロの手を借りることも有望な選択肢となります。
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