「牛タンのキッチンカーに興味があるけど、どうやって開業するのだろうか?」
「キッチンカーで牛タンを販売して儲かるの?」
「他のメニューに比べて牛タンってどうなの?良いの?悪いの?」
こんな疑問を持っていませんか?
その気持ちはよく分かります。なぜなら、私自身がキッチンカー開業に向けて、事業計画を考えていた際にも同じような疑問を抱いたことがあるからです。
キッチンカーの知識も経験も無い状態から、独学でキッチンカーを開業した経験のある私が、牛タンのキッチンカーに関する情報をまとめました。
この記事では、
- キッチンカーで牛タンを扱うメリット・デメリット
- 牛タンキッチンカー開業に必要な初期費用
- 牛タンのキッチンカーは儲かるのか?の検証結果
- キッチンカーを始めるために必要な資格と開業までの手順
- 牛タンのキッチンカーを成功させるためにやるべきコツ
- おすすめの牛タンキッチンカー
をお伝えします。
キッチンカー運営の経験も踏まえて、牛タンのキッチンカー開業を少しでも考えている人が知っておくべき情報をまとめましたので、ぜひ最後までお読みください。
目次
キッチンカーメニューとしての牛タンのメリット3選
牛タンが持つメニューとしての特徴の中から、キッチンカーで販売する場合にメリットとなるものを三つ紹介します。牛タンのメリットを生かした販売メニュー開発の参考にしてください。
1.高級感があり販売単価を高くできる
キッチンカーを成功させるためには、売り上げの確保が必須であり、売上金額を高めるためには客単価を上げる必要があります。牛タンは高級感があり、他の肉料理に比べて特別感を演出できる食材なので、販売単価を高くしやすいメリットがあります。特にイベントなど、来場者の財布のひもが緩みがちな出店場所との相性が抜群です。
また、固定店舗も含めて牛タン専門店が少ない地域では、競合相手との差別化が図れ、付加価値のある高価格帯商品として販売可能です。
2.食事から軽食まで販売機会が多い
食事に適したメニューをキッチンカーで販売すれば、ランチ時などを中心に短い時間で大きな売り上げを上げることが可能です。一方、軽食に適したメニューをキッチンカーで販売すれば、1日を通して長い時間にわたり売り上げを伸ばせます。
牛タンは、丼物・弁当・カレーなど食事メニューに出来ることに加えて、牛タン串・牛タンフランクフルト・牛タンつくね串など軽食メニューにも適した食材です。出店場所の特徴に合わせて、さまざまなメニューを準備できるので、出店機会・販売機会が多い点も牛タンの持つメリットです。
3.特別感があるのでイベントと相性が良い
一般的に牛タンは、普段あまり食べる機会がないので、特別感を持つ食材です。したがって、牛タンは非日常的な空間を作り出すイベントとの相性が抜群であり、イベントの客層と上手くはまれば1日で大きな売り上げを上げることも期待できるメニューです。
キッチンカーメニューとしての牛タンのデメリット3選
キッチンカーで販売することを考えた際に、牛タンが持つデメリットを三つ紹介します。それぞれのデメリットについて、どのように対処すれば良いかについても一緒にお伝えします。
1.原価率が高くなりやすい
牛タンは販売価格を高く設定しやすいメニューですが、その反面どうしても仕入価格も高くなってしまいます。仕入時期によっても価格が上下する可能性のある食材なので、仕入価格が上がったときには販売価格にも反映させないと、原価率が高くなってしまうデメリットがあります。
仕入価格に合わせて販売価格を調整することはもちろん、仕入れ方法にも工夫が必要です。例えば、牛タンを一本丸ごと仕入れ、自分で下処理すれば、スライスされた牛タンを仕入れるよりも、原価を下げることが可能です。
2.高価になりやすいので購入する層が限られる
牛タンの持つ高級食材のイメージはメリットである一方で、高価なメニューのため購入者が限られるデメリットもあります。丼物・弁当などの販売単価が高いメニューに加えて、牛タン串・牛タンつくね串・牛タンフランクフルトなど、手軽な価格のメニューも販売するなどして、購入者層を広げる工夫が求められます。
3.メニュー構成によってはオペレーションが煩雑になる
牛タンメニューの基本的な調理法は「焼き」になりますが、繊維質が多いタン先はシチューなどの煮込み料理に適しています。焼きメニューと煮込みメニューを一度に販売する場合など、異なる調理方法を同時に行うとオペレーションが煩雑になるデメリットがあります。
ワンオペでキッチンカーを出店する場合には、調理工程が一つになるようなメニュー構成にすると良いでしょう。複数メニューを販売するためには、スタッフを雇うなどの工夫が求められます。
牛タンキッチンカーの初期費用は587万円
牛タンのキッチンカー開業に必要な初期費用は大きく二つに分かれます。一つ目である「設備購入費」には、キッチンカー車両・牛タン調理器具・厨房設備などの購入費用が含まれます。販売促進のための看板・のぼりや営業許可取得費用なども「設備購入費」に含まれる初期費用です。軽トラックサイズのキッチンカーで開業する場合には、「設備購入費」として314万円が必要です。
二つ目の初期費用は、牛タンのキッチンカーを開業した直後の「運営費用」になります。牛タンをはじめとする原材料の仕入れ費用や出店手数料に加えて、キッチンカー運営者の生活費も含みます。開業直後は思うように利益を確保できない可能性が高いので、安心してキッチンカー運営に打ち込むためにも生活費もあらかじめ準備しておきましょう。
「運営費用」としては、少なくとも3カ月分に当たる273万円を準備することをおすすめし、「設備購入費」と「運営費用」を合計すると587万円を初期費用として準備することが求められます。
牛タンキッチンカーで売上金額1,149万円・年収410万円も可能
牛タンのキッチンカーを開業してから、1年間でどれくらい売り上げを達成し、どれくらいの利益(年収)が得られる可能性があるのかをシミュレーションしました。今回のシミュレーションに使用した条件は以下の通りです。
- 平均客単価:850円
- 年間営業日数:260日(土日と平日3日に営業)
- 来客数:土日70人、平日40人
- 平均原価:315円(原価率:37.1%)
- 人件費:8千円/日(土日のみ1人アルバイトを雇用する)
- 出店料:売上金額の10%
- その他雑費(燃料費など):売上金額の10%
以上の条件で算出すると、1年間の売上金額は1,149万2千円、キッチンカー運営に必要な各種経費が738万9千円、売り上げから経費を差し引いた1年間の利益(年収・収益)は410万2千円です。今回のシミュレーションでは、週休2日を確保しつつ、牛タンキッチンカーで1,100万円を超える売り上げと400万円以上の年収を得られる可能性があることが分かりました。
牛タンに限らず、キッチンカー事業者の年収については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
» キッチンカー事業者のリアルな年収・月収と収入アップのコツ9選
牛タンキッチンカーに必要な資格と開業手順
牛タンを販売するキッチンカーの開業に必要な資格と取得方法を解説します。さらに、キッチンカーを開業するまでの手順についてもお伝えします。
必要な資格は食品衛生責任者のみ
牛タンのキッチンカーを開業するためには、営業地域を管轄する保健所で「飲食店営業許可」を取得しなければなりません。この許可を取得するためには、運転免許証に加えて「食品衛生責任者資格」が必要です。つまり、食品衛生責任者資格さえあれば、調理師など他の資格は不要です。
「食品衛生責任者資格」は、都道府県で随時開催されている「食品衛生責任者養成講習会」に参加すれば即日取得できます。都道府県によって講習費は異なりますが、1万円程度が一般的な目安となっています。
一般的なキッチンカーの手順で開業できます
牛タンのキッチンカーを開業する手順は、一般的なキッチンカー開業の手順と同様で、下記の3ステップです。
- 営業許可取得のための保健所での情報収集
- キッチンカー車両・厨房設備の発注
- 営業許可の取得・開業
牛タンのキッチンカーは、上記の3ステップを順番に進めて行けば、開業できます。営業許可の取得を中心とした、開業手順の詳細については、以下の記事で詳細を解説しています。
» 【2022年8月更新】キッチンカーの営業許可取得マニュアル5ステップ!
牛タンキッチンカーの成功に必要なコツ3選
牛タンのキッチンカー営業を成功させるためには、絶対にやるべき施策がいくつもあります。成功のために特に欠かせない三つのコツを紹介します。
1.出店場所に合わせたメニューを販売する
キッチンカーは出店場所・時間帯によって、お客様に求められるメニューの特徴も異なります。例えば、平日のランチ時には、しっかりとした食事メニューが求められますし、土日のイベント出店の午後の時間帯は、手軽に食べられる軽食メニューが好まれるでしょう。
牛タンの場合は、丼物・弁当・カレーなど、しっかりとした食事メニューも販売できますし、牛タン串・牛タンつくね串・牛タンフランクフルトなどの軽食メニューも販売可能です。このように、牛タンの特長を生かして出店場所に合わせたメニューを販売することが、大きな売り上げと十分な利益を確保するためには欠かせません。
2.仕入方法とメニューを工夫して原価率を下げる
牛タンは食材の特性上原価率が上がりやすいデメリットがあるので、利益を残すためには少しでも原価率を下げる工夫が必要です。例えば、加工済みの牛タンを仕入れるよりも、牛タン一本を丸ごと仕入れて、自分で加工した方が原価率を下げることが可能です。
また、牛タンは部位ごとに特徴が異なり、適したメニューも異なります。例えば、タン先は価格が安いものの繊維質が多く硬いので、焼きものには適していません。しかし、シチューなどの煮込み料理に使えば、原価率を下げつつメニューの幅を広げることも可能です。
3.ピーク時にも素早く提供できる体制を整える
キッチンカーはランチ出店時やイベント出店時には、限られた時間内で一つでも多くの商品を提供することが求められます。特に牛タンの場合は、1枚ずつ(串焼きの場合は1本ずつ)焼き上げることが求められるので、調理時間がかかることが多い食材です。したがって、少しでも提供速度を上げるために調理工程の見直し・改善が常に求められます。
さらに、調理以外の面での作業の迅速化を図るために、スタッフの動線・調理機器の配置・作業スペースのレイアウトなどにも、工夫が必要になるでしょう。
おすすめ牛タンキッチンカー3選
牛タンを使ったメニューを中心に営業するキッチンカーの中から、開業に向けて参考になるおすすめ3店舗を紹介します。出店場所や販売メニューの参考にしてください。
1.おらいの牛たん
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「おらいの牛たん」は、宮城県仙台市を拠点に活動するキッチンカーで、仙台市内には固定店舗も構えています。キッチンカーの営業は、土日祝日が中心で宮城県はもちろん、福島県・山形県など県外で開催されるイベントにも出店しています。販売しているメニューは「牛たんわっぱ」などの弁当類と「牛たん串」「牛たんツクネ串」などの串焼きが中心です。
2.kitchen ステップ
今日の出店は
イオンモール津田沼さん!
1月ぶりの出店になります。
今日は朝から暑い!
こんな日は、ふわふわかき氷で
涼をとってください#イオンモール津田沼#キッチンカー #牛タン pic.twitter.com/4IqE2ySeN3— kitchen ステップ (@kitchen_STEPPE) June 12, 2024
「kitchen ステップ」は、千葉県・神奈川県・東京都を中心とする関東地方で活動するキッチンカーです。各地のイベント・商業施設・大学キャンパスなどに出店し、「牛タン串」「牛タンカレー」などを販売しています。
3.にこにこBUS
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「にこにこBUS」は、宮城県仙台市を中心に活動するキッチンカーです。土日祝日を中心に仙台市内など宮城県各地で開催されるイベントや商業施設で出店しています。牛タンを使った「牛タンソーセージドッグ」「牛タンプルコギチーズドッグ」を看板メニューにしています。
まとめ
牛タンのキッチンカーは一般的なメニューと同様に食品衛生責任者資格を取得し、保健所の営業許可を取得すれば開業できます。今回のシミュレーションでは、年間で1,000万円以上の売り上げと400万円以上の利益を残せることが分かりました。
他のメニューに比べると、高級食材なので販売価格が高くなりやすいメリットがある一方で、原価も高くなるデメリットもあります。メリットとデメリットの両面をしっかりと理解した上で、販売メニューの種類・価格を決めることが求められます。
牛タンのキッチンカーも含め、キッチンカーの開業に必要な情報を網羅的に学びたい人には、株式会社フードトラックカンパニーが主催するキッチンカー開業セミナーがおすすめです。セミナーでの座学に加えて、キッチンカーの実車見学も可能なので、より深い学びの機会になるでしょう。東京・大阪・名古屋・福岡・千葉に加えて、地方都市でも随時開催してます。