「キッチンカーに設置するフライヤーってどうやって選んだらいいんだろう?」
「フライヤーの調理で使った油の処理はどうすればいい?」
「フライヤーで調理するメニューの中で、キッチンカーと相性が良いものは何だろう?」
こんな疑問を持っていませんか?
その気持ちはよく分かります。なぜなら、私自身が飲食業の経験0(ゼロ)からキッチンカーを開業したので、キッチンカーに設置するような業務用フライヤーに対する知識も全くなかったからです。
実際に保健所で飲食店営業許可を取得し、キッチンカーを開業した経験のある私が、キッチンカーにフライヤーを設置して営業することについて、情報をまとめました。
この記事では、
- キッチンカーに設置するフライヤーの選び方
- フライヤーで使った油の処理方法
- キッチンカーでのフライヤー調理にピッタリなメニュー6選
をお伝えします。
記事を最後まで読めば、キッチンカーに設置するフライヤーに関する情報はもちろん、販売メニューについても学べるので、ぜひ最後までお読みください。
キッチンカーのフライヤー選びのポイント2選
キッチンカーに設置するフライヤーを選ぶときのポイントは「フライヤーのタイプ」と「フライヤーの熱源」の二つです。「フライヤーのタイプ」は「卓上型」と「据え置き型」に分かれ、「フライヤーの熱源」は「ガス」と「電気」に分かれます。それぞれの特徴と選ぶ際に気を付けるべき内容を解説します。
1.卓上型にするか?据え置き型にするか?
キッチンカーに設置する業務用フライヤーには、作業台などの上に設置する「卓上型フライヤー」とキッチンスペースの床に直接設置・固定する「据え置き型フライヤー」があります。
「卓上型フライヤー」は、コンパクトなので限られたキッチンスペースにも設置でき、他の調理器具と入れ替えられるメリットがあります。調理器具の入れ替えができれば、キッチンカーで販売するメニューの種類を増やすことも難しくありません。
その一方で、「卓上型フライヤー」は「据え置き型フライヤー」に比べるとフライヤーの容量が小さいので、一度に調理できる量は少なくなるデメリットがあります。また、「卓上型フライヤー」の中には油排出用のコックが無い商品があるので注意が必要です。コックが無いと油を廃棄する際に、本体ごと傾ける必要があるので、大きな手間がかかります。
「据え置き型フライヤー」のメリットは、容量が大きいので一度に大量の揚げ物を調理できることです。イベントなど短時間で大量の注文に対応する必要がある場合には、大きな力となってくれるでしょう。また、「据え置き型フライヤー」には油排出用のコックが付いているので、油の排出作業も簡単にできます。
その一方で、「据え置き型フライヤー」設置のためには、十分なキッチンスペースが必要です。1.5t普通車トラックサイズのキッチンカーのようにキッチンスペースが広い車両なら問題ありませんが、軽トラックサイズのキッチンカーのようにキッチンスペースが狭い車両では、設置できない可能性があります。このように大きさの関係で、設置できるキッチンカーが限られる点がデメリットです。
卓上型のおすすめモデル|マルゼン MGF-12TJ
卓上型のおすすめモデルである、株式会社マルゼンの卓上型フライヤー「MGF-12TJ」は、急速加熱ができる抜群の熱効率が特徴で、コストパフォーマンスにも優れたロングセラー商品です。調理時の油量は12Lで、本体重量は25kgです。都市ガス・プロパンガスの両方で使えるので、キッチンカーにも設置できます。
据え置き型のおすすめモデル|マルゼン MGF-CE23
据え置き型のおすすめモデルである、株式会社マルゼンの据え置き型フライヤー「MGF-CE23」は、特殊楕円ホールヒートパイプを使っているので、調理能力はそのままで調理に使う油の量を削減した商品です。調理時の油量は23Lなので、一度に大量の揚げ物の調理が可能です。都市ガスに加えて、プロパンガスでも使えるので、キッチンカーにも設置できます。
2.ガスフライヤーにするか?電気フライヤーにするか?
キッチンカーの設置に適したフライヤーには、ガスを動力源とする「ガスフライヤー」と電気を動力源とする「電気フライヤー」の2種類があります。どちらもキッチンカーに設置可能なので、自分の運営計画に適したタイプを選びましょう。
「ガスフライヤー」のメリットは、火力が強く短時間での調理を可能にするので、来客が多い時間帯でも待たせることなくメニューを提供できます。また、「ガスフライヤー」の方が、価格・燃料費が安くコストパフォーマンスが良い特徴があります。
一方、「電気フライヤー」は安全性の面で「ガスフライヤー」よりも優れているのが特徴です。例えば、油の温度が過度に高くなることを防ぐ安全装置が付いており、経験の浅いスタッフでも安心して調理作業を担当可能です。また、「電気フライヤー」は排熱が少ないので、揚げ物メニューのデメリットである「夏場にキッチンスペースが高温になる」を防ぐ効果が期待できます。
「電気フライヤー」の電源は三相200V・単相100Vのいずれかです。三相200Vの方が火力は強くキッチンカーに適していますが、出店時に自分で発電機を準備する必要があります。なぜなら、出店時に借りられる電源の多くは単相100Vなので、三相200Vの「電気フライヤー」を稼働させるためには、自分で電源を手配しなければならないからです。
電気フライヤーのおすすめモデル|マルゼン MEF-13TE
株式会社マルゼンの「MEF-13TE」は卓上型の電気フライヤーです。電源が三相200Vなのに加えて、調理時の油量は13Lなのでガスフライヤーにも負けない調理パフォーマンスを実現しています。その上で、電気フライヤーらしくスローダウン機構・跳ね上げ停止スイッチ・過熱防止機構などの、安全性を高めるための機能が充実しています。
電源の問題でどうしても単相100Vモデルが必要な人には、同じく株式会社マルゼン社製の「MEF-5TAE」がおすすめです。「MEF-5TAE」は、調理時の油量:5Lの卓上型・電気フライヤーです。スローダウン機構・跳ね上げ停止スイッチ・過熱防止機構などの安全機能は充実しています。調理にかかる時間や一度に調理できる容量が条件に適しているなら、手軽にキッチンカーに導入できるフライヤーです。
キッチンカーのフライヤーの油処理方法を解説
キッチンカーのフライヤーの調理で使った後の油は、十分に温度が下がったことを確認してから、処理・廃棄しなければなりません。高温のまま処理すると、思わぬ理由で油が飛び散ったときに大きなやけど・けがの原因になる可能性があるからです。また、調理後の油をそのまま排水と一緒に廃棄することはできません。
油の処理方法は「凝固剤で固めて燃えるごみとして捨てる」または「廃油缶などで保管してリサイクル業者に回収してもらう」のいずれかです。
家庭用・業務用を含め、油(廃油)用の凝固剤は簡単に入手可能です。所定の方法でフライヤーから抜き取った油を凝固剤で固めたものは、そのまま燃えるごみとして捨てられます。毎日の廃油の量にもよりますが、この方法で処理できれば、新たに契約・手続きする必要もなく簡単です。
油(廃油)はリサイクル業者に回収してもらうことも可能です。「(自分の活動拠点の)地域名 廃油 処理」でGoogle検索すれば、自分の地域で油回収事業を行っている会社を発見できるでしょう。回収の方法・保管容器などについては、そちらの会社に問い合わせて詳細を確認してください。
フライヤーで作るキッチンカーおすすめメニュー6選
キッチンカーにフライヤーを設置して、調理・販売するのにおすすめするメニューを6種類紹介します。食事系・軽食系・スイーツ系とさまざまな出店形態に対応できるメニューの特徴を紹介していますので、キッチンカーで販売するメニュー選びの参考にしてください。
1.キッチンカーの王道メニュー|鶏の唐揚げ
鶏の唐揚げは、クレープと並んでキッチンカーの王道メニューの一つです。イベント・学園祭・スポーツ大会など、キッチンカーが複数並ぶときには、鶏の唐揚げのキッチンカーを見ないときはないくらい、キッチンカーの定番メニューといえます。鶏の唐揚げは、老若男女を問わず幅広い客層に好まれるので、キッチンカーのメニューにピッタリです。
鶏の唐揚げの魅力の一つは、さまざまなメニュー(提供形式)として販売できることです。例えば、鶏の唐揚げ単品はもちろん、鶏の唐揚げ弁当や鶏の唐揚げ丼などの食事メニューとしても販売できます。多彩なメニューが販売できることにより、昼食・夕食はもちろん、ちょっとした軽食としても楽しめます。
キッチンカーで行う鶏の唐揚げの調理は、仕込んだ鶏肉を揚げるだけなので、特別な調理スキルは要らず、多くの人出が予想されるイベントに合わせて臨時で雇ったアルバイトスタッフでも対応可能です。また、作り置きも可能なメニューなので、計画的に調理を進めておけば、多くの来客が集中する時間帯でも待たせることがありません。キッチンカーでの、鶏の唐揚げ販売については、以下の記事で詳しく解説しています。
» 唐揚げのキッチンカーの特徴と成功のコツを徹底解説!売上や利益も紹介
2.軽食系の揚げ物メニューの代表格|フライドポテト
フライドポテトは、誰もが知っている定番メニューであり、子どもから若年層を中心に、性別を問わず多くの人に好まれています。フライドポテト単品で食べるなら、おやつなどの軽食としてピッタリですし、ホットドッグなどと組み合わせてランチタイムの食事メニューとしても販売できます。
キッチンカーでの調理工程は、仕込んだジャガイモをフライヤーで揚げるだけなので、高温の油を扱うことへの安全性さえ確保できれば、アルバイトスタッフでも問題なく対応可能です。ホットショーケースを使えば、作り置きも可能で素早く提供できるので、混雑時にも来客を待たせることがありません。
フライドポテトは、バーベキューソース・チーズソースなどのトッピングメニューや、ソフトドリンクとのセット、大盛りメニューなどを展開することで単価を上げることも可能です。キッチンカーでのフライドポテトの販売については、以下の2記事で詳しく解説しています。
» みんな大好きフライドポテトをキッチンカーで販売しよう!3つの成功のコツも紹介
3.見た目のインパクト大|ロングポテト
圧倒的な見た目のインパクトを持つロングポテトは、特に子ども連れが集まる場所に出店するキッチンカーメニューにピッタリです。食事には向いておらず軽食として需要がある場所への出店が中心となりますが、季節を問わず1年間売れるので、安定した売り上げが期待できます。
フライドポテトと同様に油で揚げるだけなので、難しい調理スキルは不要です。さらに、材料となるジャガイモパウダーは常温保存ができるので、冷蔵庫・冷凍庫の容量が最小限で済み、開業時の初期費用を抑えられるメリットもあります。ホットショーケースを使えば、作り置きできるので、注文から提供まで待たせる心配も不要です。
ロングポテトは元々価格設定が高くても売れることに加えて、ミートソース・カレーソース・チーズなどのトッピングを加えることで、さらに単価を上げることも難しくありません。もちろん、大盛メニューやソフトドリンクとのセット売りも、売り上げ・利益を安定させるために有効です。ロングポテトを扱うキッチンカーの開業については、下記の記事で詳細をお伝えしています。
» ロングポテトキッチンカーの開業・販売を徹底解説!3つの成功のコツも紹介!
4.持ちやすく食べやすい|チュロス
揚げ物スイーツの中でもチュロスはキッチンカーとの相性が抜群です。片手でも持ちやすく、食べ歩きにピッタリなことに加えて、チュロスのイメージ上、高めの値段設定にしても違和感を覚える人が少ないので、無理なく客単価を上げられます。
基本的な砂糖以外にも、ココア・抹茶・シナモンなどフレーバーを変えるだけで、簡単にメニュー数を増やせるのも魅力です。コーヒーなどのドリンクとの相性も良いので、セットメニューを販売して、客単価を上げることも可能でしょう。キッチンカーでのチュロス販売については、以下の記事で詳しく解説しています。
» チュロスキッチンカーの開業方法を6ステップで解説!成功のコツ3選も紹介!
5.揚げ物スイーツの王道|ドーナツ
揚げ物スイーツの代表格である、ドーナッツはキッチンカーとも相性が良いメニューです。片手で手軽に持ち運びができて、食べ歩きにもピッタリなので、イベントなどで他のキッチンカーや催し物を見ながら食べることも可能です。単価は安くなりますが、コーヒーなどの飲み物と一緒にセット販売することで、単価を上げる施策もできます。
ドーナッツの生地の種類を変えたり、チョコレート・ストロベリーチョコレート・砂糖などをコーティングしたりすることで、メニューの種類を増やすことが簡単にできます。キッチンスペースに余裕があれば、フライヤーの他にオーブンなども設置することで、さらにドーナッツの種類を増やすことが可能です。キッチンカーでのドーナッツ販売については、下記の記事に開業に必要な情報をまとめています。
» 移動販売(キッチンカー)でドーナツ屋さんを始めるための準備と方法
6.揚げたての特別なおいしさが魅力|揚げパン
キッチンカーなら、揚げたての揚げパンを販売できるので、なかなか固定店舗では提供できない魅力を楽しんでもらうことが可能です。主な材料はコッペパンのみなので、軽トラックサイズのキッチンカーでも十分に開業可能です。代表的な、砂糖(シュガー)・きな粉に加えて、ココア・シナモンなど、フレーバーを変えれば、メニュー数を増やせます。
コーヒーやソフトドリンクと一緒に販売するセットメニューを作ったり、異なる味を一緒に楽しめるセットメニューを販売したりすることで、販売単価を上げることも可能です。キッチンカーでの揚げパンの開業までの手順については、以下の記事で詳細をお伝えしています。
» 揚げパンのキッチンカー開業完全ガイド!おすすめの出店場所・メニューも紹介!
まとめ
キッチンカーに設置するフライヤーを選ぶ際には、「卓上型・据え置き型」のどちらにするか?熱源は「プロパンガス・電気」のどちらにするか?を自分の事業計画に合わせて考えましょう。調理が終わった後の油は、凝固剤で固めて燃えるごみとして処理するか、リサイクル業者に回収してもらうか、いずれかの方法で処理します。
フライヤーで調理するメニューの中で、キッチンカーと相性が良いものとして、「鶏の唐揚げ」「フライドポテト」「チュロス」などがあります。フライヤーメニューも含め、キッチンカー開業についてさらに学びたい人には、株式会社フードトラックカンパニーが主催する「キッチンカー開業セミナー」がおすすめです。
全国4カ所(東京都目黒区・大阪府大阪市・愛知県名古屋市・福岡県福岡市)の会場に加えて、オンラインでも開催しています。参加費は無料なので、全国どこからでも気軽に参加できます。セミナー後には、キッチンカーの専門家に質問をしながら、キッチンカーの実車を見学することも可能です。